case #05

安定した社会インフラの一翼を担う
中国巨大市場攻略を見据えたモノづくり。

PROFILE
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
技術創造センタ プロダクト技術部
2015年入社/工学部機械工学科卒
PROFILE
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
技術創造センタ プロダクト技術部
2015年入社/工学部機械工学科卒

PROJECT

自動改札機や券売機といった駅務機器の分野で国内トップシェアを誇るオムロン。保有する高度なメカトロニクス技術の巨大市場・中国への展開が始動。求められるのは優れた「稼働品質」。業界シェアNo.1を目指し、競合他社を上回る紙幣処理機の開発プロジェクトに乗りだした。

中国市場での大成長をねらう開発案件

「どうだ、一から担当してみないか?」、上司にそう持ちかけられ、正直なところ不安半分、喜び半分だったが、気が付けば「やらせてください!」と即答していた。打診があったのは、中国市場向けの新しい紙幣処理機の開発プロジェクト。その開発の主担当である。
それまでは既存機種の改善開発を担当してきたが、今回はゼロからの新機種開発。しかも量産まで携わる。プレッシャーは大きい。それでも二つ返事で引き受けたのは、自身の成長につながるチャンスと考えたのと、中国という巨大市場にチャレンジするやりがいに惹かれたためだった。

新たに開発するのは、中国の鉄道駅に設置された券売機に内蔵される紙幣処理機だ。入金された紙幣を処理し、お釣りの紙幣を払い出す。線路も利用客も増える中で、求められるのは優れた「稼働品質」である。オムロン ソーシアルソリューションズとしては、稼働品質面で競合他社を上回る紙幣処理機を開発することにより、業界シェアNo.1をねらう構想だ。

競合を圧倒する製品品質の作りこみ

汚れ、破れ、変形など日本紙幣とは比べ物にならない劣悪な状態の中国紙幣を、如何に正確にハンドリングする技術を確立するかが課題。中国紙幣に関して社内に知見やノウハウがない。
ベテラン社員と連携し、中国市場向け紙幣処理機に対する新たな設計基準を作り、それに基づき設計を行った。

それだけでは競合を圧倒する品質を作り込むことは難しい。開発段階での現地テストを計画し、徹底的にテスト機の現地稼働品質を設計にフィードバックすることで、真に競争力のある品質を目指した。
これまで扱ったことのない紙幣搬送の仕組みや構造の理解から始め、ベルトやバネといった部材については緻密な技術計算を行った上で選定していった。初めてのことばかりで、文字通り手探りで設計を進めていった。
周囲に協力を仰いで課題を解決し、生産部や品質保証部とも連携し品質向上を図り、ようやくフィールドテスト用の試作機10台が完成。
フィールドテスト工程では、現地紙幣に起因する障害、障害発生につながる予兆、現地係員の機器操作方法を徹底的に把握・分析し、設計にフィードバックする作業を繰り返した。中国現地メンバとの連携、チームワークが鍵であった。 数多くの気づき、改善を設計反映させ品質を高めていった。
ついにお客様の設定する条件も、中国国内の紙幣処理機規程もクリアし、競合他社を圧倒する品質を実現することができた。「やった・・・」、ほっと胸をなで下ろした。

試行錯誤と苦労の末に

一息つくのも束の間、続いてすぐに量産の準備に取りかかった。生産を担当するのは、中国現地の成型メーカーや板金メーカーだったため、自ら現地へ飛んで技術的な打ち合わせを行い、製品化一歩手前まで来た。中国生産に起因する様々な問い合わせや部品の公差緩和要求が発生し、日々その対応に追われた。そうするうちにも、決められた市場投入日が迫ってくる。スケジュールに追われながら、それでもなんとか量産をスタートさせた。

再び工場を訪れたのは、初号機が出荷される頃のこと。次々と組み上がっていく紙幣処理機数十台がずらりと並んでいる姿を見て、「ついにここまできた」と胸を熱くした。試行錯誤を重ねて設計したものがこうして形になっていると思うと、これまで苦労してきたシーンが頭をよぎり、思わずこみ上げてくるものがあった。

評価された高品質、そして初受注の先へ

かくして新型紙幣処理機は中国市場に投入された。今回開発した新型機はその性能と品質が高く評価され、ほどなく、現地の鉄道事業者からの初受注が決定。中国市場における今後の事業拡大につながる大きな一歩を刻んだ。
技術者としても得るものの大きい開発案件となった。仕様検討から量産まで一貫して手がけたことで、視野が大きく広がった。また、この仕事への責任の大きさも痛感した。オムロン ソーシアルソリューションズが扱うのはBtoBtoCの社会インフラ製品で、膨大な人々が日常的に利用するもの。ひとたび問題が起これば社会的な影響は計り知れない。そうした製品の設計を担う技術者として、あらためて襟を正す思いにもさせられた。
次は、同機種の新市場展開版の開発が待っている。中国市場攻略に向けて、自信と責任感を胸に全力で駆けていく。

comment

本プロジェクトを完遂し、ゼロから新製品を立ち上げて、ようやく開発設計者としてのスタートラインに立った思いです。設計して終わりではなく、幅広いことをやらせてもらえたおかげで、社内外に人脈も広がり、後々につながるさまざまな経験をすることができました。
オムロン ソーシアルソリューションズは人々の生活に身近なモノづくりを手がける会社です。今後は、駅務機器システム分野で培った経験を生かして別分野にもチャレンジしたいと考えています。