私たちがめざすのは、会社と社員がより対等な関係性を構築しながら、ともに持続的成長を実現できる組織です。社会的課題の解決に向けて「オムロングループの経営と事業をリードする人財」、「多様な強みを持ち発揮できる人財」、「志を持って自律的に自己変革・自己成長に取り組める人財」の充足や育成を重点テーマに定め、環境整備や施策を行っています。
2030年のありたい姿を描いた新長期ビジョン「SF2030」において、事業を通じて社会価値を創出していく原動力は、担い手となる社員一人ひとりだとオムロンは考えています。会社と社員が、“よりよい社会をつくる”という企業理念に共鳴し、 常に選び合い、ともに成長し続ける未来について、オムロン株式会社 執行役員専務 CHRO 冨田 雅彦さんにお話を聞いてみました。
さまざまなスキルを持ったプロフェッショナル人財たちが、社会的課題を解決するためにプロジェクトごとにチームを組んで機動的にそのソリューションを創造していく。部門や国籍、さらには社内・社外といった組織の枠に縛られることなく、多様なスキルを持つ人財が集まり、企業理念を旗印にチームを結成して価値創出に取り組んでいる——そうしたプロフェッショナルの集合体が社内のあちらこちらに存在するような会社です。 例えとして私がよく使うのは、「オーシャンズ11」という映画です。 泥棒の映画なので、例として適切かという意見はありますが、あの映画では多彩なプロフェッショナルが集って、自律的に難題に立ち向かっています。それが、私のイメージする組織なんですね。 そのための重要な要素が、「ダイバーシティ&インクルージョン」だと考えています。
社会の在り方や経済状況が変化するなかで、この先10年においては人財の流動化が加速し、会社と個人との関係はより対等なものに変化していくと考えています。
「SF2030」は3つの中期経営計画で構成されていますが、その最初の中期経営計画となる「SF 1st Stage」の策定に当たり、オムロンの「ダイバーシティ&インクルージョン」について、何回も何回も徹底的に議論したんですね。
私たちが定義したダイバーシティとは「“よりよい社会づくり”へ挑戦する多様な人たちを惹きつける」こと、そしてインクルージョンとは「一人ひとりの情熱と能力を解放し、多様な意見をぶつけ合うことでイノベーションを創造し成果を分かち合う」こと。そして、その前提となるのが、チームで掲げる目的の実現に向けて、一人ひとりが主体者意識を高めて専門性を磨くことです。
世界各地の多様な専門性を持った人が社内外からつながり、不足する能力や経験を補完し合い、チームとなって社会的課題に取り組むことで、よりよい社会が実現されると考えます。オムロンは、それぞれの個性や知識・経験・体験にもとづく「知的多様性」を、未来への原動力としていきます。
先程述べた通り、オムロンでは会社と社員が選び・選ばれ、ともに成長する新たな関係を構築していくことを前提として、それぞれが社会から期待される存在になることをめざしていきます。そのなかで、個々人がプロフェッショナルになるということは非常に重要です。
「プロフェッショナルとは何か」を極力シンプルに考えると、目的を深く理解したうえで、その実現に向けて、主体者意識と専門性の双方を持ち合わせている人財のことだと思います。主体者意識とは、リーダーかメンバーかに関係なく、チームの目的実現と成果創出に対して、自分事として貢献する意欲とも言えます。つまり、自分が社会的課題の解決というドラマの主役である、という意識ですね。
専門性というと、高度な技術や資格のように捉えられがちですが、それだけではありません。チームに貢献するための得意技、チーム内での存在意義となる強みです。
「SF2030」でソーシャルニーズを創造し、よりよい社会をつくっていく力となるのは、オムロングループ社員の志です。「SF2030」のゴール達成に向けて、人財の育成や社員一人ひとりが活躍できる仕組みづくりに積極的に投資していきます。
プロフェッショナルに必要なことは、社会的課題の解決にチャレンジし、失敗や成功を通じて充実感や自分自身の成長を実感することです。オムロンはそうした活躍の機会の場を社員に提供することで、社員の力を引き出して社会的課題の解決を実現していきます。
具体的には、DXなどの新たなスキル獲得と強化、社外・海外への派遣によるリーダーの育成、コーチングやメンタリングなどの自分への気づきを与えるような自己啓発の取り組みを拡充していきたいと考えています。
さらに、多様なキャリア・働き方を実現していくために、「ジョブポスティング制度」をグローバルに拡大し、国や地域を超えたプロジェクト型のチームビルディングを加速させることで、一人ひとりがその能力を存分に発揮し活躍できる組織への変革を実施していきます。こうした取り組みを通じて、社員が国や組織にとらわれず、自由に社会的課題の解決に挑戦できる風土と環境をつくっていきます。
私たちが何より大切にしているのは、社員一人ひとりがそれぞれの「SF2030」を描き、自分が成長した未来の姿をイメージしながら、2030年に向けてビジョンと志を持つことです。自らが描く“よりよい社会”の実現のために、絶え間ない努力を続けられる人を全社でサポートします。
オムロンは、志があり、準備ができている社員に対し、惜しみなく平等にチャンスを与える会社です。社会の発展に貢献できるチャンス、新たなソーシャルニーズを創造するチャンス、そして皆さんが成長できるチャンスにあふれています。
2030年に向けたビジョン実現に向けて一丸となり、ともに成長し、ともに未来の社会を形づくっていきましょう。
オムロン株式会社 執行役員専務 CHRO
1989年、立石電機株式会社(現オムロン株式会社)に入社。電子部品事業などの事業戦略部長、企画室長などを経て、2012年にグローバル戦略本部経営戦略部長に就任。2017年よりグローバル人財総務本部長、2019年に執行役員常務 グローバル人財総務本部長、2023年には執行役員専務 CHROに就任。2024年から現職に就任。