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パワーエレクトロニクスで実現する、オムロンが描く脱炭素社会

パワーエレクトロニクスで実現する、オムロンが描く脱炭素社会

カーボンニュートラルの実現に向けて、技術革新を推進するオムロン株式会社。現在、同社では「パワーエレクトロニクス(以下、パワエレ)」領域の人材を集約した新センターを開設するなど、パワエレ事業の強化を図っています。今回、パワエレ領域に関わる人材採用を強化するにあたって、技術・知財本部 技術・知財戦略室の西川武男氏と、キャリア入社でパワエレの開発・研究を担う朴青云氏にお話を伺いました。

 

再エネ分野で業界をリードする、オムロンのパワエレ技術

740_2.jpg技術・知財本部 技術・知財戦略室/西川 武男(右)
技術・知財本部 アドバンストテクノロジーセンタ アドバンストテクノロジー開発部 エネルギーマネジメント2グループ/朴 青云(左)

──オムロンが注力するパワエレ領域について教えてください。

西川:オムロンは、ファクトリーオートメーションやヘルスケア、デバイス&モジュール、社会システム、エネルギーソリューションなど幅広い事業を展開していますが、パワエレが関わる分野で、特に注力しているのが再生可能エネルギー領域です。太陽光パネルで発電した電力を変換する「パワーコンディショナ(以下、パワコン)」や、家庭用蓄電池システムなど、オムロンの再生可能エネルギーの主力製品にはパワエレの技術が欠かせません。

また、工場で使われるロボットや装置を動かすモーター用サーボドライバ、各種センサー用の電源などもパワエレ技術によって成り立っています。

再生可能エネルギー市場も工場自動化市場も成長が続いており、それらに深く関わるパワエレ事業をさらに強化していきたいと考えています。

朴:パワエレは、電力の変換と制御を行う技術で、エアコンなどの家電から電車の制御まで、現代社会のあらゆる場面で使われています。特に再生可能エネルギーの普及には欠かせない技術で、省エネルギー化や環境問題の解決に直結する、社会的意義の大きい分野だと感じています。実際に、電気自動車(EV)の電気を家庭とつないだり、太陽電池や蓄電池と連携させたりといった「V2X(Vehicle to X)システム」の技術開発にも取り組んでいます。

──2025年10月に「パワーエレクトロニクスセンタ(仮)」を設立するとのことですが、どのような役割を担うのでしょうか。

740_3.jpgパワーエレクトロニクスセンタ(仮)を開設予定の桂川事業所

西川:パワーエレクトロニクスセンタ(仮)は事業部と社長直轄のコーポレートR&D組織である技術・知財本部をつなぐハブとしての役割を担います。事業部と研究所との連携強化を通して、パワーエレクトロニクス機器の小型化・高効率化に寄与する次世代デバイスの活用や再生可能エネルギー普及のためのエネルギー制御技術の開発を手がけるなど、「研究開発」から社会実装のための「商品開発」までを一気通貫、かつ、事業横断で推進したいという思いで、パワーエレクトロニクスセンタ(仮)の設立を決定しました。

 

事業と研究開発が一体で進める、社会実装への道筋

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──パワエレ領域におけるオムロンの強みは何でしょうか。

西川:オムロンは古くからパワコンを手がけていますが、特に「系統連系」技術に強みを持っており、デファクトスタンダードになっているものもあります。また、V2Xシステムには「パワエレの先端技術」とも言われる窒化ガリウム(GaN)デバイスを採用しました。このデバイスが6~7年前、まだサンプルの段階から開発を進めてきたもので、メーカーと密に連携しながら他社に先駆けて小型・高効率な製品を実現できました。こうした系統連系や先端技術を組み合わせることで、より先端的な製品開発を追求していることは強みの一つです。

朴:加えて、「エネルギーの高効率化」という点でも強みがあります。太陽光発電は天候の影響で不安定になりやすいのですが、消費電力に合わせて高精度で無駄なく負荷を追従させることにより、エネルギー効率を最大限に引き出す制御技術も開発しています。これも業界内で「新エネ大賞」という賞を取っている技術の一つです。

パワエレは、デバイス、回路トポロジー、制御、磁気、放熱など、幅広い技術領域が関わる分野です。一つの技術だけでは優れた製品は作れません。これらの技術を総合的にバランスよく組み合わせる力を持っていることが、オムロンの大きな強みです。

──実際にどのような技術開発を行っているのでしょうか。

朴:私は太陽光発電や蓄電池に関連するパワコンの技術開発を担当しています。研究開発だけでなく、事業部と密に連携しながら商品開発も進めています。複数の発電装置の電力フローを制御する上位コントローラなど、周辺機器も含めたパワコンシステムとして開発しています。ユーザーへのメリットを最大限にできるエネルギーフローの最適化制御など、システム全体を俯瞰しながら開発を進めているのが特徴ですね。

また、大学との共同研究にも参加しています。パワエレ分野でも著名な先生方と一緒に研究を進めており、仕事面ではもちろん、一人の研究者としても多くの刺激をいただいています。若手メンバーも一緒に打ち合わせに参加してもらい、最先端の研究に触れながら成長できる環境があると感じています。

 

オムロンは、研究成果の社会実装を実現する理想的な環境

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──オムロンで働く魅力は何でしょうか。

朴:前職では研究をメインに行っていたこともあり、なかなか研究成果を社会実装するフェーズまで到達できませんでした。一方、オムロンでは入社後すぐに事業部と密に連携し、商品開発と並行した技術開発テーマに参加することになりました。研究開発の成果を、スピード感を持って商品を通じて社会実装していけることは、オムロンで働く大きな魅力の一つですね。

また、先端的なGaNデバイスの駆動技術と実装技術の開発を続ける長期的な投資判断ができることも驚きでした。これまでは2年ほどで成果が出なければ研究テーマごと終えることも多かったのですが、オムロンは経営層が勇気ある判断をしてくれます。短期的な商品開発と長期的な研究開発のバランスが非常に良いと思います。

そして何より「人の良さ」も魅力です。採用面接終了後も、オファー面談や社内見学といった交流の機会がありました。当社の良い面だけでなくリアルな部分も垣間見ることができ、「この人たちと一緒に働きたい」と思えたことが入社の決め手になりました。

西川:一つ補足すると、事業部の技術力が高いことも研究者にとっては魅力的だと考えています。研究所で新しい技術に取り組んでも事業部側に受け取ってもらえないということがよくあるものです。しかし、オムロンの事業部は商品開発を通じた技術の理解が深く、多くのノウハウを持ち、研究者とも対等な関係でコミュニケーションを取ります。大学などとの共同研究フェーズから事業部が関わることもあり、研究の「出口」を定めて推進するイメージです。まさに「研究所だけで終わらない技術」が実現できる環境です。

──今回、パワエレ領域に関わる技術者を募集しますが、どのような方がマッチすると思いますか。

西川:今回は20名以上の方を採用し、ともに2030年に向けて新しい技術テーマを立ち上げる予定でもありますので、得意領域を持つ「尖った」人材も、技術を広く見られる人材も求めています。特に回路や制御系の専門性を持つ方であれば歓迎です。

とはいえ、パワエレ領域の人材は希少だと思いますので、技術的なスキルに自信がないと感じて謙遜されたとしても、ぜひご応募いただきたいですね。新しいことに前向きで成長意欲があり、技術を社会実装していきたいというマインドを重視しています。まさにチャレンジしたい方にとっては、良いタイミングだと思います。

朴:キャリア入社である私自身の体験も踏まえると、採用プロセスでは「自分が何をしたいのか、その方向性とオムロンが目指している方向性が合っているか」を重視しています。特に研究に近い領域では「本人のやりたいこと」が原動力になるので、方向性の合致は重要です。

私も4~5回の面談を通じて、自分のやりたいことと会社の方向性がマッチしていることを確認できました。私は当初から「研究開発と商品開発に半々ほどのバランスで携わりたい」と希望していましたが、それがかなっていますね。

 

自分の強みを生かせる、多様なキャリアパスを実現

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──入社後の成長機会やキャリアパスはどのようなものがありますか。

西川:新センター立ち上げという機会もあり、事業成長の中核を担っていただけるチャンスです。エンジニアとしての成長機会はもちろん、テーマリーダーとして全体を取りまとめる役割もあります。事業寄りの仕事をしたい方は事業部へ異動することも可能ですし、マネジメント層を目指す道もあります。もちろん、技術専門職としてスペシャリティを極める道もあります。年次面談や1on1を通じて、本人のキャリア志向を聞きながらサポートしていく体制を設けています。

朴:研究者としては、特許取得や論文投稿、学会活動などを会社が全力でサポートしてくれています。現在の部署は30代前半が中心で、20代から30代の若手社員が多い環境です。定期的なセミナーや社外研修の機会もあり、OJTでは先輩が全面的に指導してくれます。社会人ドクターコースへの進学も可能で、スキル不足を感じることなく成長できる環境が整っていると感じています。

──最後に、オムロンで感じる働き方の魅力について教えてください。

朴:働き方はフレキシブルで、リモートワークやフレックス・タイム制勤務も活用できます。ワークスタイルの選択肢があるので、ライフスタイルとのバランスも取りやすいですね。

新センターが開設される桂川事業所は、JR京都駅から東海道本線(京都線)で2駅の桂川駅より徒歩5分の位置にあります。私は現在の勤務地よりも通勤が大幅に楽になります。立地の改善は働きやすさに直結する要素だと思います。これまで出勤の観点など、働き方で迷われた方にもぜひ注目していただきたいです。

出典:ビズリーチ掲載記事(2025年06月11日公開)より転載

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