事業創造プロセスは、創業者 立石一真の新規事業創造における思考プロセスを“組織として”再現するための“型”です。
その拠り所は、創業者の思想「7:3の原理」。“7分どおりできると判断したら、勇気を出してやってみること。ただし、あとの3分は計算されたリスクとして、必ず救済策を考えておく”という経営の考え方で、肝は「現場でのスピーディな実行」と「経営での投資・リスクコントロール」の両立です。
「7」は過剰なコストと時間をかけずにスピード重視で可能性を見極めるためのフェーズ。ここでは、旗を立て、事業仮説を描いてテーマを設定し、ビジネスモデルの仮説検証や顧客価値の検証を行います。そして「3」は、厳選した可能性に思い切って投資をし、事業を成長させていくというフェーズから構成されています。
既存事業に比べ、新規事業では“何”に取り組むべきかを決めることが非常に難しいです。
そのため、誰が何に責任を持ち、どのように進めていくかが不明確となりがちです。
どのような状態を達成できればテーマを進められるのか、止めなければならないのかが決まらず、プロセスが無ければ意思決定が機能不全に陥ります。
プロセスに縛られるのではなく、基盤としてよりよいやり方を追求していくことで、
①テーマを企画し事業を創っていくメンバー
②事業創造の成功にコミットするマネージャー層
③全社視点で新規事業を俯瞰しオムロンの成長に責任を負う経営層
これら3者の目線を揃え、“何を明らかにすべきか?”について共通認識の下に議論し、
新規事業の創造に向かい、必要な支援とリソース提供をよりよく審議することができるようになります。
「7」のフェーズでは、過剰なコストと時間をかけずに多くの事業機会をスピーディに検討し、検証することで、「何に」取り組むかという事業性を見極めます。そして、「3」のフェーズでは思い切った投資を行い、スケーラビリティを検証します。
大量のトライ&ラーンで得られた学びのエッセンスを社内外に共有し、外部の力も惹き寄せ、組織能力を進化させ続けています。
事業性を見極めるためには、各フェーズの期間を区切り、“いま何を検証すべきか”に集中することが重要です。そのために、アウトプットを定義することで、メンバーとマネジメントが同じ目線となり、Go/Stopの判断が明確かつ素早くなります。また、各フェーズで求められるスキルも明確化され、適材適所のチームをつくることができます。