太陽光発電設備の安定稼働に向けた新サービス創出への挑戦

~業界初パワーコンディショナー定期貸出サービス~

地球温暖化の抑止は、持続可能な社会を実現するために必要不可欠な、世界共通の課題です。現在、日本を含む120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル※1」という目標をかかげ、取り組みを進めています。このカーボンニュートラルの実現には、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及が不可欠です。
日本においては、2011年の東日本大震災での原発事故をきっかけに再生可能エネルギーの価値が見直され、翌年施行された「FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)※2」導入以降、太陽光発電所が急速に拡大しました。しかしその10年後に見えてきたのが、事業者の約3割が機器故障などのトラブルを抱え、発電能力を十分に維持できていないという課題でした。この現実に着目したオムロン ソーシアルソリューションズ株式会社(以降、OSS)は、様々なステークホルダーと連携することで、これまでなかったパワーコンディショナー※3の定額貸出サービス「POWER CONTINUE(パワーコンティニュー)」の創出を実現し、太陽光発電の安定稼働に向けた課題解決に貢献しました。

※1 カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。産業活動により排出される二酸化炭素をはじめとする人為的な温室効果ガスの排出から、植林等の森林管理による温室効果ガスの吸収量を差し引いて合計を実質ゼロにすること
※2 「FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」は太陽光などの再生可能エネルギーを利用して発電した電気を、電力事業者が政府の定めた価格で買い取るように義務づけた制度
※3 太陽電池モジュール(ソーラーパネル)で発電した直流電力を、家庭や商用施設などで使える交流電力に変換し、発電システム全体を効果的・効率的に稼働させる機器

 

日本における太陽光発電事業の課題に直面

日本で太陽光発電が急速に普及した2012年以降、約10年が経過した現在の調査により、太陽光発電所の約3割が機器の故障や経年劣化、獣害、雑草による発電量低下といったトラブルを抱えていることが判明し、それらのトラブルによる発電低下量は原子力発電所約5基分に相当するものでした。この問題の背景には、日本の太陽光発電事業者を取り巻く構造的な課題がありました。太陽光発電所の施工から運営には、機器メーカー、機器の工事会社や運用会社、ファイナンス会社など、様々なプレイヤーが参画している状況でありながら、これらを繋いでワンストップで管理する機能が存在していなかったのです。

322_2.jpg太陽光発電事業者を取り巻く様々なプレイヤー

OSSエネルギーソリューション事業本部の吉田と平井は、このような業界の現状を目の当たりにし、この状況を打破する解決策の検討に乗り出しました。当時、ユーザーの声をヒアリングしていた平井は、次のように語っています。「トラブルが起きても誰に解決を依頼すればよいのかわからない、という事業者の声が数多く寄せられました。なかには、すでに事業を撤退したプレイヤーもおり、発電の維持管理ができないという深刻な状況も生まれていました。持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギーの普及には発電設備の長期安定稼働が欠かせません。この課題の解決に取り組むことは、太陽光発電の黎明期から、発電設備の開発・供給に取り組み、トップクラスの市場シェアを持つオムロンの責務だと考えました。」

 

業界初のサービス創出へ

OSSは、ユーザーの声をヒアリングした結果、パワーコンディショナーを定額貸出で提供するサービスのソリューションに行き着きました。それは、"機器の売り切り"という従来の常識を破り、性能の落ちた機器を定額貸出によって新機種と交換することで、太陽光発電の安定稼働を長期的に支援するサービスです。しかし、この取り組みには前例がなく、実現に向けては手探りでのスタートでした。
すべてのコストを定額におさめる貸出料金をいかに設定するのか、機器の補償はどこまでカバーするのか等、業種の垣根を越えて業界各社に声をかけ意見交換を重ね一つひとつ課題を可視化していきました。その過程で、オムロンの思いに共感し、協力を申し出るパートナーが急速に増えていきました。そこには長年パワーコンディショナーを開発・供給してきたOSSに対する信頼に加え、持続可能な社会の実現に向けて再生可能エネルギーの普及を目指したいという、強い思いに対する共鳴がありました。

そして、サービス検討開始から約1年が経過した2021年5月、業界初となるパワーコンディショナーの定額貸出サービス「POWER CONTINUE」を市場に提供開始しました。このサービスは、機器を定額貸出で提供するだけでなく、設備に障害が発生した場合は現場へ駆けつける保守管理サービスを組み合わせたものです。OSSは、業界の様々なプレーヤーを繋ぐことで、太陽光発電の安定稼働を効率的かつ長期的に支援し再生可能エネルギーのさらなる普及の実現に向けた新たな仕組みを構築しました。

322_3.jpg発電設備の維持管理をワンストップでサポートする「POWER CONTINUE」

 

持続可能な未来へ向けての挑戦は続く

サービス提供開始以降、「発電量の低下で困っていたが解決できた」という発電事業者からの反響はもちろん、業界を取り巻くステークホルダーからも多くの反応が寄せられ、サービスの提供件数は着実に広がっています。22年度は、前年度の数十倍の発電所へのサービス提供が見込まれています。サービスを利用する事業者や賛同するパートナーからは、「取り扱える製品のラインナップを増やしてほしい」といったさらなるサービス拡充への要望や、「保有している設備の管理を相談できないか」といった、定額サービスやメンテナンスサービスの枠を越えた新たなニーズも生まれています。「POWER CONTINUE」には、太陽光発電の普及に向けた、さらなる進化が期待されています。
吉田は、この取り組みを振り返り、こう語ります。「OSSの取り組みは、常に社会的課題から始まります。その多くは、企業単体で解決しえることではありません。これからも、関わり合う全ての方と共に、サステナブルな未来の扉を開いていきます。」

322_4.jpg『POWER CONTINUE』開発を担当した
OSSエネルギーソリューション事業本部 創発戦略部 吉田(左)・事業統轄部 平井(右)

人の知見を機械に組み込む「Sensing & Control + Think」技術。

この技術の最新動向をお届けします。

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