case #04

新たな技術が実現する、自動運転のクルマが走り出す日を夢見て。

PROFILE
オムロン株式会社
技術・知財本部
センシング研究開発センタ 画像センシング研究室
2004年入社/情報科学研究科
PROFILE
オムロン株式会社
技術・知財本部
センシング研究開発センタ 画像センシング研究室
2004年入社/情報科学研究科

PROJECT

交通渋滞の緩和や、安全面から注目を集めている「自動運転」。オムロンが誇る研究開発の中核拠点である「京阪奈イノベーションセンタ」では、「自動運転」を想定した障害物や路面状態を識別する画像処理のアルゴリズム開発に着手。4年という歳月を費やした研究室での“トライ&エラー”が、思い描いていたクルマの未来を実現しようとしている。

時代を先駆ける製品へとつながる、コア技術の進化

現在携わっている画像処理の研究は、オムロンのキーテクノロジーである「センシング&コントロール」を支えるコア技術だ。セキュリティカメラや健康医療機器、制御機器など、さまざまな製品に幅広く使われている。そんなコア技術をさらに進化発展させ、時代を先駆ける製品の創出へとつなげていくことがミッションである。

世界中のデジカメやスマホに採用された顔画像センシング技術「OKAO Vision」をはじめ、FAシステム用視覚センサなどの開発にかかわり、4年前からは新たなアプリケーションとしてクルマの「自動運転」を想定したセンサ「3D LIDAR(ライダー)」の開発プロジェクトに参加。障害物や路面状態を識別する画像処理のアルゴリズム研究を任された。4年という時間を費やして完成した試作品は、「第45回東京モーターショー2017」にも出展され、現在、市販車への搭載をめざして社内テストが行われている。

研究チームが成し遂げた、新世代センサの開発

クルマの衝突防止を目的にしたセンサは、すでに多くの市販車に搭載され、すっかり身近なものになっている。ただ従来のミリ波の電波を使ったセンサは、数メートル先に「何かある」ことは認識できても、それが人なのか、車なのか、壁なのかを見分けることはできない。またカメラを使ったセンサは、夜間や雨天など天候の影響を受けやすいのが弱点。近い将来に実用化が期待される自動運転車に適用するのは難しいといわれている。

「3D LIDAR」は、そんな現行センサが抱える課題をクリアし、自動運転車への搭載も視野に入れた新世代センサ。車両の周囲360度をくまなくカバーし、対象物が何であるかを正確に見分けることができる。所属する研究チームが2年がかりで開発したのは、このセンサの心臓部ともいうべき障害物や路面状態の認識アルゴリズム。距離情報を「点」ではなく「面」でとらえてカメラのような3次元画像をつくり、それを小型・高速・高性能に物体の状態を認識するという過去に例のない独自のアルゴリズムを生み出した。

ミリ波:可視光や近赤外線よりも波長が長く、チリや雨滴などによって減衰しにくい。そのため離れた距離にある物体の検知が可能。

飛躍のきっかけを作ってくれた上司の存在

全周囲の膨大な距離情報からどうすれば対象物の認識に有効な情報が取り出せるのか。独自のアルゴリズムをどうリアルタイム処理可能で車載可能な小型・高速なプログラムとして実装するか。開発にあたっては多くの課題が山積し、2年の歳月はまさに「トライ&エラー」の連続だった。何もかも初めての経験だけに、過去の知見だけではブレークスルーできない。手がかりを求めて国内外の研究論文に目を通したり、知識の幅を広げるために海外で開かれる学会にも積極的に顔を出して最新の研究発表に耳を傾けたり。もっと詳しく知りたいと思えば、各国の大学の先生を訪れ、直接話をきいた。「知見は、個人で広げていくもの」。そういって背中を押してくれた上司の存在がなければ、今でも暗中模索の霧の中から抜け出ることはできなかったかもしれない。

また同じ「画像センシング研究室」にとどまらず、他の研究室やグループの研究者や技術者からの助言やアドバイスも、多くの発見や気付きをもたらしてくれた。部署・部門の垣根を越えて協力しながら新たなものを生み出す“協創”の風土は、オムロンならではの強みだ。

「3D LIDAR」がクルマ社会を牽引する日を目指して

技術の飛躍的な進歩を背景として、クルマ社会は今、大きく変わろうとしている。「3D LIDAR」の開発では数えきれない失敗を経験し、思うように研究が進まずに悶々と過ごした時期もあった。それでも今最も注目を集める研究分野の最前線に身を置き、技術の変化、進化を目の当たりにできたのは、何よりもの喜びだったことは確かだ。

「3D LIDAR」が市販車に搭載され、町中を走り出すのも、そう遠い未来ではない。その日がやってくるのを夢に見ながら、技術のさらなる改良、高度化に取り組んでいく。

comment

開発を進めていく中で、研究室の外に出ていろんな方の意見を聞きながら広い視野を持つことが大切だと実感しました。
今後は、今回のプロジェクトでの経験を活かし、女性ならではの視点や見方で社会に貢献する新たな技術を生み出すことが、私の今の目標です。