OMRON

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商品を見せる、一歩先へ。
お客様が「未来の現場」を実感できる空間デザイン

工業用資材の直線的な構造と明るい照明で構成したオムロンの展示ブース全景
オムロンが描く未来のモノづくりを発信する展示空間

企業にとって展示会は、商品の機能や技術を伝える場です。しかし、お客様が本当に知りたいのは、その商品や技術によって自分たちの製造現場がどう変わるかということ。デザインセンターは、オートメーションと計測の先端技術が集まる国内最大級の展示会「IIFES」に企画段階から参画し、空間、展示物、動線、そして説明までを一つの顧客体験として設計してきました。単に技術の価値を伝えるだけでなく、お客様自身が課題を想起しながら、「少し先の自分たちの工場」を思い描ける空間へと変化させた取り組みです。

商品の機能から、顧客現場の変化へ

製造工程に沿って機器やロボット、説明用モニターを配置した展示
顧客課題の解決を体感できる展示空間

デザインセンターは展示会の企画において、対象とするお客様とコンセプトを企画部門と検討し、造作物、展示の配置、お客様の動線、情報の伝え方に至るまで、体験全体の設計を担っています。

従来の展示は、検出できる距離や処理の速さなど、制御機器単体の性能を伝えることが中心でした。一方で、お客様が求めている情報は商品単体の性能よりも、生産効率の向上や熟練作業者の技術継承といった現場の課題をいかに解決してくれるかです。そこで、オムロンの商品や技術を組み合わせたソリューションとして、現場課題の解決策を具体的に示す展示へと転換しました。

デザインセンターはお客様の現場で起きている課題と、オムロンが提案する解決策の両方を深く理解したうえで、お客様が「自分たちの現場にも当てはまる」と実感できる表現へ落とし込んでいきました。オムロンの商品・技術をただ前面に押し出すのではなく、「現場がより良くなる」というストーリーを顧客目線で描くためです。

「少し先の工場」を、素材と光でつくる

展示ブースの通路と、工業用資材で構成した天井や柱の接合部
工業用資材を活用し、「少し先の工場」を表現した空間デザイン

目指したのは、現在の工場をそのまま再現することではありません。展示されたソリューションによって、お客様自身の現場がこれからどう良くなるかを想像できる空間です。実際の製造現場に通じる臨場感と、少し先を感じさせる洗練された印象を両立させることが、空間設計の軸になりました。

ブース造作・什器には、実際の現場で使われる工業用資材を取り入れています。金属の質感で少し先を感じさせながら、工場と同じように無駄のない直線的な構成へ整えました。木材や印刷パネルとは違い、こうした資材は展示会や自社拠点で再利用できます。製造現場でも求められるサステナビリティを、展示会空間そのもので体現する考えです。

照明においても、先進的な世界観と現場のリアリティを大事にしました。展示会場全体はブース照明がなければかなり暗いため、少し先の工場を印象づけられるよう、ブースの照度をあえて高めに設定しています。ただし、照度の高さにより制御機器が誤作動などを起こさないよう、部分的に照度を落とすといった調整や照明レイアウトに工夫をし、製造現場の機能的なリアリティも追求した照明計画にしています。

展示物は、生産工程の流れや業界ごとにまとめ、お客様にとって違和感を抱かないレイアウトに整えました。大型の展示ほど多くのお客様が同時に見るため、十分なスペースと動線が必要です。営業担当者が案内しやすく、滞留が起きないよう、配置と密度を一つずつ調整する。素材、光、配置を細部までつなぐことで、現場の変化を歩きながら理解できる体験に仕上げました。

金属の天井構造と照明、モニターを組み込んだ工業用資材の壁面
現場らしさとサステナビリティを両立する工業用資材の活用

一度の展示を、共有される体験へ

OMRONのロゴを掲げ、製造ラインや機器の展示を配置したブースの正面
国内で培った顧客体験の考え方を展開した海外展示

IIFESのような大型展示会には、経営層から企画、開発、生産、営業まで、多くの部門と人が関わります。経営層の了承を得ることは必要ですが、それだけで進めてしまうと、展示が目指す方針から乖離してしまいかねません。そこでデザインセンターは、各部門のステークホルダーと何度も対話し、なぜお客様が自分ごととして捉えられる展示設計が重要なのか、その本質的な理解をそろえていきました。

この考え方は、日本国内の展示にとどまりません。最初のIIFESを終えてすぐ、国内外の展示で共有するためのガイドラインを整備しました。特定の素材や造作を一律に指定するマニュアルではなく、現地の条件に合わせながら、つくるべき顧客体験の考え方を示すものです。各地域が自ら運用していけるよう、なぜ工業用資材を使うのかという理由から、造作や動線といった具体的な内容まで、現地メンバーと対話しながら共有していきました。

海外の展示を担当する現地メンバーを日本に招き、実際の展示空間を体感してもらったことも大きな一歩でした。欧州や中国への初期展開では、空間のレイアウトや動線の設計にも伴走し、目指す方針に沿った展示を実現しています。

こうした積み重ねにより、社内の営業や技術者にも、顧客課題から商品・技術を語る視点が根づき始めています。お客様からは、製造現場を進化させるうえで信頼できるパートナーとしてオムロンを評価する声も寄せられました。展示空間の外観に対する意見が目立って上がらなかったのは、お客様が「ブース」という枠組みを意識することなく、自然にお客様自身の製造現場を思い描いていた証ではないかと捉えています。展示物と説明を含む体験全体が、お客様との信頼を育てる確かな接点になっています。

今後の課題は、お客様が自分ごととして捉えられる空間づくりと、オムロンらしさの印象を持ち帰っていただくというブランドコミュニケーションの両立です。「オムロン」を一方的に押しつけるのではなく、顧客現場を起点に技術の価値を組み立て、「ここに来れば課題を解決できる」という信頼につなげていく。展示会の空間デザインは、商品の価値にとどまらず、お客様に寄り添い、少し未来の現場がより良くなることを伝える、デザインセンターのブランドデザインです。

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