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CDXOメッセージ

顧客価値とビジネスモデルの
変革を成し遂げる

執行役員常務 CDXO 兼
データソリューション事業本部長
石原 英貴

SF2030実現に向けたCDXOの使命

長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」の実現に向けて、私はCDXOとして、2030年にデータサービス売上比率15%を達成することにコミットします。この実現に向け、オムロンがGEMBA DX企業へと転換するための基盤を構築します。そのうえで、インダストリアルオートメーションドメイン(IAドメイン)、ヘルスケアドメイン(HCドメイン)、ソーシャルソリューションドメイン(SSドメイン)の各ドメインにおいて、ハードウェアの強みを起点にデータサービスを継続的に創出し、事業として実装できる組織能力を確立します。

結果目標:2030年 データサービス売上比率15%。状態目標:データサービス売上比率15%を達成しているオムロンの状態として、2030年までに、GEMBA DX企業への転換に向けた基盤を構築し、インダストリアルオートメーションドメイン(IAドメイン)、ヘルスケアドメイン(HCドメイン)、ソーシャルソリューションドメイン(SSドメイン)の各ドメインで、ハードウェアの強みを活かしたデータサービス創出の組織能力を獲得、確立、実装する

社会的課題の複雑化に伴う顧客価値の変化とビジネスモデルの進化

オムロンは、これまで数々のデバイスの提供を通じ、社会や顧客の課題解決に貢献してきました。しかし、近年の日本をはじめとする超成熟社会においては、社会的課題や顧客課題が複雑化し、求められる価値のあり方も大きく変化しています。こうした変化は、オムロンが事業を展開する各ドメインで顕在化しています。例えば、製造現場では、生産性、品質、エネルギー効率といった複数の課題を同時に解決することが求められています。ヘルスケア領域では、超高齢化に伴う医療費高騰を背景に、治療中心の医療から予防へと重心が移りつつあります。社会インフラにおいても、インフラ老朽化や人手不足を背景に、限られた人財や資源で持続可能な運用を実現することが重要になっています。

こうした変化の中で、製品を提供して完結する従来の価値提供だけでは真の顧客課題を解決することは難しくなっています。顧客が求める価値は、製品そのものから、製品を通じて得られる成果へと変化しているのです。顧客に提供する価値が変われば、その価値を生み出すための事業のあり方も変わります。オムロンが目指しているのは、製品提供完結型のモノ中心のビジネスモデルから、顧客価値を継続的に創出する「モノ+サービス」のビジネスモデル、すなわちGEMBA DX企業への転換です。そして、この転換を実現する重要な手段の一つが、データサービス事業の拡大なのです。

私はCDXOとして、グループ横断でデータサービス事業の拡大をリードし、GEMBA DX企業への転換を加速させ、顧客への提供価値とビジネスモデルの変革を実現します。

GEMBA DX企業への転換を支える組織能力への進化

各ドメインにおいて、データサービスの市場機会は既に見え始めています。しかし、この市場機会を捉え、事業として継続的に収益化するためには、従来のオムロンとは異なる組織能力が必要です。顧客課題を起点に新たなサービスを生み出し、顧客との接点を通じて価値を磨き込みながら事業として成長させていく。そのために重要なのが、事業開発や事業運営をつかさどる社内の意思決定や判断基準などの基本的な仕組み、すなわち「組織OS」の進化です。

オムロンは長年にわたり、品質と信頼を支えるモノづくりに最適化した仕組みを築き上げてきました。あらかじめ定めた機能と品質を確実に実現する、ウォーターフォール型の運営は、オムロンの競争力を支える重要な基盤です。一方で、データサービス事業では、顧客課題を発見し、素早く検証しながら価値を磨き込んでいく俊敏さが求められます。そのためには、アジャイル型の判断や開発、運営の仕組みが不可欠です。

オムロンが、「モノ+サービス」を提供するGEMBA DX企業へ転換するうえで重要なことは、既存の組織OSを新しい組織OSに置き換えることではありません。品質と信頼を支えるウォーターフォール型の強みを活かしながら、データサービス事業に必要なアジャイル型の強みを取り込み、両立させることです。ものづくりで培ってきた強さと、データサービス事業に求められる俊敏さ。その両立こそがビジネスモデル変革の成否を左右する鍵であり、両立できる組織能力を私のリーダーシップで構築していきます。

既存事業とデータサービス事業を両立する組織能力の構築

ではその組織能力をどうやって構築するのか。私は大きく2つの手段で取組みを進めています。

第一の手段は、パートナーシップを通じた外部能力の取り込みです。組織OSの進化は、GEMBA DX企業への転換を支える重要な鍵です。しかしそのすべてを自社で実現しようとすれば、多くの時間を要します。ビジネスモデルの変革を確実にやり遂げるためには、社内で組織能力を進化させるオーガニックな取組みに加え、外部の知見や能力を積極的に取り込むことが不可欠です。協業や戦略的な提携を通じてパートナーが持つ技術やデータを獲得します。さらに、データサービス事業を立ち上げ、成長させるためのノウハウ、データサービス事業に適した組織運営の仕組み、そしてこれを実践できる人財を取り込むことで、ビジネスモデル変革のスピードと確度を高めます。

この具体的な一歩が、JMDCです。JMDCはヘルスケア領域でデータサービスを成長させてきた実績と組織能力を有しています。私たちはJMDCとの連携を通じて、データサービス事業を構想し、成長させるための知見や仕組みを、今まさに学習し、体得しています。

JMDCとの連携を通じて改めて確信したことがあります。それは、外部能力を取り込む際に重要なのは、パートナーをオムロン色に染めてはいけないということです。パートナーが持つ強みやカルチャーを尊重しながら、必要なガバナンスと自律性を両立させることが、シナジー創出の鍵となります。彼らのデータサービス事業における強みを失わせることなく、オムロンが持つ顧客接点や事業基盤とつなげることで、オムロン全体の変革を加速させます。

そして、今後はHCドメインにとどまらず、IAドメインやSSドメインにおいても、外部能力を積極的に取り込み、データサービスを生み出す組織能力を確立・実装します。

第二の手段は、このように獲得した外部能力と既存事業をつなぎ、オムロン内部からも変革を広げることです。外部から獲得した能力は、それだけでオムロン全体の変革につながるわけではありません。重要なのは、それらを既存事業と連携させ、ビジネスモデルの進化へと結び付けることです。

オムロンの各ドメインには、世界中の現場で使われ続ける強いハードウェアと、そこから得られる現場データ、さらに顧客課題の解決を通じて蓄積してきた顧客理解や現場知があります。これらは、新たなデータサービスを生み出すためのオムロンならではの強みです。一方で、製造業が持つこれらの強みと、データサービスの外部能力を連携させるためには、異なる組織OSを理解し、融合させる機能が必要です。

その機能を担うのが、2023年12月に設立したデータソリューション事業本部(DSB)です。DSBは、M&Aによって獲得したグループ企業を傘下に収め、自らデータサービス事業を推進します。同時に、各ドメインのデータサービス事業化に伴走し、外部から獲得した知見や能力を既存事業へつなぐ役割を担っています。私はDSBを、既存事業と外部能力、ウォーターフォール型とアジャイル型という異なる組織OSを融合させる「界面活性剤」と位置づけています。実際に、例えばSSドメインで注力するマネジメント・サービス(M&S)事業では、DSBが持つデータサービス事業開発の知見を取り入れることで、新たな案件創出やパイプラインの拡大が進んでいます。

私は、CDXOであると同時にDSBの責任者でもあります。この立場のもと、DSBに取り込んだデータサービス事業の組織能力と、既存事業が培ってきた顧客理解や現場知を掛け合わせます。これにより、従来は捉えきれなかった顧客課題を明らかにし、新たな顧客価値の創出へとつなげていきます。その積み重ねこそが、GEMBA DX企業への転換をオムロンの内側から加速させる原動力になると確信しているからです。

確かな強みを力に、GEMBA DX企業への転換を成し遂げる

最後に、オムロンがこの変革を実行できると確信している私の自信と、この変革をやり切る私自身のコミットメントをお伝えします。

私の自信を裏づけるのは、オムロンが長年にわたり築き上げてきた確かな強みです。それは、現場の変化を捉えるデータと、その意味を読み解く顧客理解・現場知の双方を持つことです。オムロンには、顧客に選ばれ続ける強いハードウェアがあり、これらは世界中の顧客現場で使われています。顧客現場に実装された広範なハードウェアを通じて、オムロンは現場の状態変化を捉える、質・量ともに意味のあるデータを蓄積しています。さらに、データだけでなく、顧客課題の解決に取り組む中で培ってきた、顧客理解や現場知があります。強いハードウェア、世界中の顧客現場との接点、そこから得られるデータ、そして顧客理解や現場知。これらをあわせ持つことが、オムロンならではの競争優位であり、これによって、現場データを顧客価値へと変換することが可能となります。

データサービス事業を成長させるうえで重要なのは、データを保有することではありません。データから顧客課題の本質を捉え、具体的な顧客価値へと変換することです。オムロンが持つ顧客理解や現場知は、現場で起きている変化の意味を読み解き、データを顧客価値へと変える出発点になります。

ただし、顧客価値を生み出すには、これだけでは十分ではありません。変化がどのような結果につながるのかを理解する必要があります。オムロンのハードウェアを通じて得られるリアルタイムの状態データと、その先にある成果や結果データを結び付けることで初めて、顧客課題の本質や改善機会が見えてきます。私は、これこそがデータサービスの本質だと考えています。

HCドメインを例に取ると、オムロンが持つ日々のバイタルデータとJMDCが持つ医療結果データを組み合わせることで、健康状態の変化とその先の結果との関係を予測することができます。これにより、新たな予防サービスの創出を実現しています。同様に、IAドメインにおいても、現場の稼働・状態データと、生産性や品質、エネルギー効率といった結果データを結び付けることで、市場機会を具体化し、新たな顧客価値の創出につなげることが可能になります。

こうした取組みを通じて、データサービス事業は各ドメインで着実に形になり始めています。私は、この進展に強い手応えを感じています。単に新たなサービスが生まれつつあるということではありません。オムロンが持つ現場データと顧客理解に、外部パートナーが持つデータや組織能力を組み合わせ、新たな顧客価値を創出し、事業へと育てる。この再現性が見え始めていることへの手応えです。

一方で、データサービスを事業として成長させるには、価値あるサービスを生み出すだけでは十分ではありません。その価値を必要とする市場やエコシステムそのものをつくる視点が欠かせません。社会的課題が複雑になるほど、オムロンだけで解決することは難しくなります。だからこそ、顧客、パートナー、行政、業界と連携し、データを安全かつ有効に活用できる環境やルールを整えながら、新たな市場を形成していく必要があります。例えば、2023年6月にオムロンとJMDCが発起人となり、代表幹事企業8社(現在は9社)で設立した健康経営アライアンス(会員企業531社、2026年8月31日時点)は、経営のコミットメントの下で社員の健康を促進する、職域ヘルスケア市場の創造につながる取組みです。オムロンが生み出す価値を社会全体へ広げるためのこうした環境づくりも、CDXOとして果たすべき重要な責務です。

私が目指すのは、顧客への提供価値とビジネスモデルを変革すること、すなわちGEMBA DX企業への転換を実現することです。そのために、2030年までに転換に向けた基盤を構築し、各ドメインにおいて、ハードウェアの強みを活かしたデータサービス創出の組織能力を獲得、確立、実装していきます。CDXOのリードのもと、各ドメインが持つ現場データ、顧客理解、現場知を起点に、外部パートナーとの協業や戦略的な提携を通じて、不足するデータや能力、事業基盤を獲得します。そして、それらを既存事業と融合することで、顧客課題を解決するデータサービスを各ドメインで創出・拡大します。これにより、顧客との関係をさらに深化させるとともに、新たな収益機会の創出と既存事業の付加価値向上を実現していきます。

こうした変革の進捗と成果を示す重要な結果指標が、2030年のデータサービス売上比率15%です。これは単なる売上目標ではなく、オムロンがGEMBA DX企業へどこまで転換できたかを示す成果の証です。私は、すでに見え始めている確かな手応えをオムロンの次なる成長へと結実させます。そして、CDXOとして、SF2030の目標達成に責任を持ち、GEMBA DX企業への転換を確実に成し遂げます。

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