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サステナビリティ
製造現場の未来をこの手でつくる。エッジコントロール技術の挑戦

製造現場の未来をこの手でつくる。エッジコントロール技術の挑戦

中期ロードマップ「SF 2nd Stage」のもと、注力技術へ集中投資を進めるオムロン株式会社。新たに始動したストラテジックR&D本部では、ITとOTの融合による「GEMBA DX」で製造現場の変革を推進しています。今回は全社横断で中核技術を創出するコントロール&コンピューティングセンタ(以下、CCC)をけん引する2名に、オムロンが挑む技術革新の最前線と技術者として得られる新たな可能性について伺いました。


製造現場に新たな息吹を。「GEMBA DX」をけん引する最前線


ストラテジックR&D本部 コントロール&コンピューティングセンタ長/金井 聡庸(右)
ストラテジックR&D本部 コントロール&コンピューティングセンタ ソフトウェアシステムグループ長/栗田 真嗣(左)


──中期ロードマップ「SF 2nd Stage」で示された方向性と、オムロンが目指す「GEMBA DX」についてお聞かせください。

金井:オムロンは2026年度から2030年度までの中期ロードマップにおいて、データを活用して顧客の本質的課題を特定し、その解決策の立案から導入・運用・改善までを一貫して支援する「GEMBA DX企業」への転換を目指しています。「GEMBA DX」は、「デバイス」「データ」「ノウハウ・知見」「技術」を組み合わせ、価値ある情報へ変換することで、顧客の本質的課題を解決するデータサービスのコンセプトです。特に、当社の強みである産業機器のエッジ領域を起点に情報化社会へとつなげていくことを目指しています。

その方針のもと、ストラテジックR&D本部は、従来の研究開発機能を基盤に、注力事業にひもづく重要技術を全社横断で強化し、事業価値の創出を推進する役割を担っています。

栗田:「GEMBA DX」を実現するには、当社の強みであるデバイスをさらに進化させ、高精度かつ高品質なデータを取得する土台づくりが欠かせません。

そのなかで私たちCCCは、全社重要技術の一つである「エッジコントロール」領域を担っています。OT(製造現場の設備や制御を支える技術)と、IT(AIやクラウドなどの情報処理技術)を融合し、デバイスの性能と使いやすさを高める技術基盤を創出します。各事業部門と連携し、その成果を事業横断で展開することで、デバイスの競争力強化と「GEMBA DX」の実現に貢献していきます。

──なぜ今、全社横断で「エッジコントロール」に注力しているのでしょうか。

金井:止められない、変えられない。そんな産業機器でさえクラウドや生成AIとつながる現代において、先端技術との連携やセキュリティを担保する「エッジコントロールの進化」は不可欠です。

ファクトリーオートメーション(FA)やヘルスケアなど、多彩な事業を展開するオムロンにとって、この情報化への適応は全社を挙げた変革と言えます。だからこそ、各事業部の個別最適にとどめず、ストラテジックR&D本部が集約・主導することで、全社の開発スピードを一気に加速させているのです。

栗田:「GEMBA DX」の成否は、エッジコントロール側でいかに高精度なデータを取得し、制御できるかにかかっています。現場の多様な変化を捉え、真に価値あるデータを吸い上げる。その土台を築くためにも、機器単体の性能を極限まで高めるエッジコントロール技術の研さんが欠かせません。

金井:その点オムロンには、センシングから制御までを一貫して手掛け、自社工場ですぐに実証できる環境があります。高精度・高周期なデータ制御にこだわり抜いてきた歴史的な蓄積があるからこそ、データが競争力の源泉となる今、私たちの強みが最大限に発揮されると確信しています。


製造現場に変革をもたらす、技術起点のアプローチとは


──そうした強みを駆使して、製造現場の未来をどのように切り開いていくのでしょうか。

金井:私たちは今、大きく3つの軸で製造現場のあり方を根本から変革しようとしています。

1つ目は、極限までデータを高精度化する「高度な制御」。2つ目は、熟練者の不足が深刻化する現場において、専門知識に依存せず誰もが高パフォーマンスを引き出せる「容易なエンジニアリング」。そして3つ目が、機械自らが状況を判断して動くことで現場の負荷を抜本的に解消する「現場の自律化」です。

これらの実現には、リアルタイムなOSを駆使した組込ソフト開発や、セキュアな通信・実行環境といった盤石な基盤が求められます。さらに、クラウド連携における最適な計算資源の配分や、現場機器の遠隔アップデート技術など高度な要求にも応えていく必要があります。

栗田:将来的には、生成AIによって「人と機械が自然に対話する」世界を実現したいと考えています。例えば、技術者が意図を伝えるだけで装置が最適に稼働し、デジタルツインによって実機を動かさずとも事前検証が完結するような未来です。

私たちが目指すのは、単なる技術の追究ではありません。最小限の工数で機械を運用できるシステムを提供し、製造現場におけるお客様の「意思決定のあり方」を根本から変えていくこと。それこそが、私たちの最大の使命だと考えています。


現場起点で挑むアジャイル開発で、製造業の未来を切り開く


──現在、CCCではどのような開発に取り組んでいますか。

栗田:FA機器の主力商品の一つ「PLC(プログラマブルロジックコントローラ)」において、蓄積された膨大なプログラム資産を生成AIで検索・活用し、開発を効率化する仕組みを構築しています。

従来の製造現場では、新たな装置を立ち上げる際、ゼロからプログラムを組むことが常識でした。類似の開発実績や熟練者のノウハウがあっても引き継がれない──この長年の非効率を打破し、立ち上げ期間を劇的に短縮することが私たちの狙いです。

本機能は、事業部門と連携しながら開発を進めており、すでに展示会でお披露目し、実用化に向けたブラッシュアップの段階にあります。企画当初は、お客様にとって本当に必要な機能なのかと半信半疑でしたが、実際にお客様へ提案したところ大きな反響を得て、その価値を確信しました。直感的な操作性を極める開発は困難を伴いますが、現場に変革をもたらすエキサイティングな挑戦です。

金井:私たちの研究開発は、最短半年から1年という圧倒的なスピードが求められます。そのために、入念な品質検証を行う一方、いち早く現場へ投入し、リードユーザーのフィードバックを得て改善するアジャイルなプロセスを実践しています。

かつての研究組織は技術先行になりがちでしたが、現在は「技術力」が創出する「事業価値」に強くコミットしています。エンジニア自らが事業部と共にお客様の工場へ足を運び、実機の稼働状況や操作感を直接肌で感じ取る。リアルな現場を起点に、真に価値ある技術を生み出し続けています。

──組込ソフトや制御技術のバックグラウンドを持つエンジニアがCCCに参画することで、どのような成長機会やキャリアの広がりがあるでしょうか。

栗田:特定領域を極め抜くスペシャリストから、広い視野で全体を俯瞰するアーキテクトまで、豊富なキャリアパスがあります。これまで要素技術の開発に専念してきた方なら、事業価値の検証まで踏み込む経験ができますし、組込技術に特化してきた方なら、クラウド連携やUI/UXを追求するツール開発へと、意欲次第で専門領域を拡張させることが可能です。

大切なのは「自身がどう活躍したいか」という意志です。まずは、ご自身の描くビジョンや強みを私たちに思い切りぶつけていただきたいですね。

金井:CCCには多様なバックグラウンドを持つキャリア入社者が集い、すでに中核として第一線で活躍しています。私たちが挑むのは前例のない高度なミッションであり、あらかじめ用意された正解はありません。だからこそ、メンバー同士で知見を掛け合わせながら、未知の壁を乗り越えていくカルチャーが根付いています。

また、経営層との距離が極めて近いフラットな組織構造も特徴です。私の直上は執行役員で、提案や課題意識を迅速に届けられる環境があります。立ち上げフェーズの組織だからこそ、キャリア入社者を含む開発メンバーが積極的に意見やアイデアを発信しており、そうした声が取り入れられやすい風土があります。自分の考えを開発や技術戦略に反映しながら、次世代のR&D組織そのものを形づくっていく醍醐味も味わえます。


不確実性を楽しみ、未知の領域へ越境しながらキャリアを磨く


──どのような方に仲間になってほしいですか。

金井:現在私たちは、エッジコントロールの組込ソフトウェアからネットワーク、クラウドまで、コンピューティング領域全般で新たな仲間を募っています。未知の領域に知的好奇心を持って越境できる方であれば、活躍の場は無限に広がっていきます。自らの可能性を拡張していくプロセスを楽しめる方は大歓迎です。

栗田:ソフトウェア開発の経験や、FA・製造現場におけるドメイン知識をお持ちであれば、即戦力として存分に力を発揮していただけます。しかし、最初からスキルが完璧にそろっている必要はありません。前例のない挑戦が多い環境だからこそ、重要なのは仮説検証を粘り強く繰り返し、自律的に思考して行動できる姿勢です。実務を通じて、自らをアップデートし続けられる意欲あふれる方をお待ちしています。

──最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

金井:CCCは、オムロン全社のコンピューティング技術を根幹から強化する中核組織です。ここで創出する技術はグループ全体の競争力を底上げし、事業の持続的な成長をけん引していきます。

特に注力事業であるFA領域では、事業成長の原動力となる全社重要技術を事業部門と伴走しながらつくりあげる、エキサイティングなフェーズを迎えています。製造業の未来を支える基幹技術を、ぜひ一緒に形にしていきましょう。

栗田:CCCにおける技術開発は、「今後社会に必要なものは何か」を事業部と対等に議論するところから始まります。そうして生み出した技術を多様な製品やサービスに展開し、社会実装していくプロセスは、まさにエンジニアとしての醍醐味に満ちたものです。

製造業が直面する構造的な課題に正面から向き合い、現場に変革を起こす技術を自らの手で生み出す。この志に共感し、共に挑んでいただける仲間にお会いできることを、楽しみにしています。

※記事の内容は公開時点のものです。

出典:ビズリーチ掲載記事(2026年10月22日公開)より転載

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