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サステナビリティ
人手不足時代のものづくりを支える、オムロンが描く制御盤の進化

人手不足時代のものづくりを支える、オムロンが描く制御盤の進化

「設備の心臓部」を、もっと使いやすく―

製造業では自動化や省人化への投資が進む一方で、その設備を設計し、立ち上げ、維持する人材も不足しています。こうした課題に長年向き合ってきたのが、オムロンの制御盤ソリューションです。制御盤は設備や生産ラインを制御するための重要な役割を担い、「設備の心臓部」とも呼ばれる存在ですが、一方で、制御盤の設計や製造、保守には専門的な知識や経験が求められ、多くの工数を生んでいました。

オムロンはこれまで、制御盤内機器の小型化や標準化、配線工数削減などを通じて、お客様のものづくりを支えてきました。そして今、人手不足や生産方式の変化という新たな課題に向き合いながら、制御盤のあり方そのものを進化させようとしています。今回は、オムロンが長年取り組んできた制御盤ソリューションの今について、オムロン制御機器事業の商品事業本部・コンポ事業部のプロダクトマネージャーの澤井さんとグループ長の鷹取さんにお話を聞きました。

オムロンのIP67・パワーサプライを手に持ち笑顔で並んで座る、商品開発を推進したコンポ事業部の澤井氏(左)と鷹取氏(右)
商品開発を推進してきた、コンポ事業部の澤井(左)と鷹取(右)


制御盤づくりの常識を変えてきた、これまでの制御盤ソリューションの取り組み

まず私たちが過去から取り組んできた制御盤ソリューションについてお話しします。私たちは長年、制御盤に関わるお客様の課題解決に取り組んできました。
制御盤は設備にとって欠かせない存在ですが、その設計や製造には多くの工数が必要です。また、設備が高度化するほど配線や機器選定も複雑になります。そこでオムロンは、2016年に「Value Design for Panel」という制御盤ソリューションのコンセプトを打ち出し、制御盤内機器の小型化や統一サイズ化、配線工数削減などを進めてきました。私たちが目指したのは単なる製品性能の向上ではありません。設計しやすい、製造しやすい、保守しやすい制御盤づくりを通じて、お客様の業務プロセス全体を改善することでした。
制御盤は設備の心臓部です。しかし、心臓部であるからこそ、お客様にとって扱いやすく、長く安心して使える存在でなければなりません。私たちはこれまで一貫して、「現場で本当に役立つこと」を起点に制御盤ソリューションを進化させてきました。

工場内の設備や装置を動かすFA機器がきれいに収められ、内部が明るく照らされた大小2つの制御盤(盤内イメージ)
工場内の設備・装置を動かすFA機器が収められた制御盤(盤内イメージ)


現場で起きている変化とは

最も大きな変化は人手不足です。製造現場ではオペレーター不足が注目されることが多いですが、私たちが日々お客様と接するなかで強く感じるのは、設備を設計する人、制御盤を製作する人、設備を保全する人も不足しているということです。

例えば自動車業界では、生産ライン1本あたり数百台、多い場合には700〜1000台もの制御盤が使用されるケースがあります。それらを設計し、立ち上げ、維持し続けるためには、高度な知識と経験を持つ人材が欠かせません。しかし、熟練技術者の高齢化や人材不足が進むなかで、これまで当たり前に存在していたノウハウの継承が難しくなっています。

実際にお客様からは、「設備を増設したいが設計者が足りない」「海外工場を立ち上げたいが保全人材を確保できない」「限られた人数で設備を維持しなければならない」といった声をいただくことが増えています。人手不足は単に現場作業者の問題ではありません。設計、製造、保守を含めた、ものづくり全体の持続性に関わる課題になっているのです。

生産ラインに必要な制御盤(自動車溶接ラインと多数の制御盤の例)と、生産ラインの柔軟性を阻害する課題(設計・変更の制約、制御盤設計・製造における高度スキル人材不足、少数資格者での保全によるダウンタイム増加)を対比した図


環境変化による、制御盤に求められる役割の変化

従来は、一度構築した生産ラインを長期間運用することが一般的でした。そのため、制御盤の中に機器を集約し、安定して設備を稼働させることが重視されていました。

しかし現在は、EV化や地政学リスクへの対応、需要変動への柔軟な対応などにより、生産ラインの変更や設備追加が以前よりも頻繁に発生しています。工場の立上期間も短縮が求められています。つまり、設備には「安定稼働」だけでなく、「変化への対応力」も求められるようになったのです。

私自身、お客様の工場で保全担当者の方々とお話しする機会がありますが、「故障箇所の特定だけで何時間もかかる」「ベテランがいないと設備に触れない」といった声を聞くことがあります。設備が高度化しても、それを使う人や維持する人がいなければ、本来の価値は発揮できません。

だからこそ私たちは、制御盤そのものではなく、お客様の設計・立上・保守という業務プロセス全体を見ながら、どのような形が最適なのかを考えるようになりました。制御盤の中に配置した方がよい機能もあります。一方で、現場に近い場所へ配置した方が、設計や保守の負荷を下げられる機能もあります。

制御盤をなくすのではなく、お客様のものづくりに合わせて制御機器を最適に配置する。その考え方が、これからますます重要になると考えています。


現場の声から生まれた新たな挑戦

2026年に発売した耐環境型IP67・パワーサプライ/DC遮断BOX「形S8NR-S/S8R-BB」や、耐環境型リモートターミナル「NXR-Sシリーズ」は、設備設計の柔軟性向上、そのための現場での作業工数の低減を目的として開発しました。

現場では、盤内スペース不足や配線工数、設備変更時の作業負荷など、多くの課題があります。私たちは、そうした課題を解決するために、制御盤の中と外を分けて考えるのではなく、「お客様にとって最適な場所に最適な機能を配置する」という発想で開発を進めました。

金網の背景に設置された、耐環境型IP67・パワーサプライの「形 S8NR-S」と「形 S8R-BB」の本体
耐環境型IP67・パワーサプライ|形S8NR-S/S8R-BB


また、開発にあたっては現場作業者の視点を徹底的に重視しています。「誰でも状態が分かること」「誰でも安全に交換できること」「誰でも迷わず接続できること」。こうした一つひとつの積み重ねが、人手不足時代のものづくりを支えることにつながると考えています。

実はこの考え方は、制御盤ソリューションだけの話ではありません。既存設備のデータ活用を支援するData Flow Controllerや、センサーと設備をより簡単につなぐIO-Link対応機器なども含め、オムロンが目指しているのは、限られた人材でも持続的に価値を生み出せる現場づくりです。

人手不足が進むなかでも、現場の知見や技術を最大限活用しながら、生産性と品質を両立する。そのための基盤づくりに私たちは取り組んでいます。技術で人を置き換えるのではなく、人がより価値の高い仕事に集中できる環境をつくる。それが私たちの考えるものづくり支援です。

優れた耐環境性能により、制御盤の外側にある黄色い安全柵の金網フレーム上に直接配置されたIP67パワーサプライなどのコンポーネント耐環境性能で制御盤外へのコンポーネンツの配置も可能


現場を支える人を支えるために

私たちが目指しているのは、制御盤を進化させることで、お客様のものづくりをより柔軟にすることです。今後もお客様起点で、設計しやすく、接続しやすく、保守しやすいソリューションを追求していきます。

制御盤は目立つ存在ではありません。しかし、設備の安定稼働や生産性向上を支える重要な基盤です。そして今後は、人手不足や技能継承といった社会課題への対応という観点からも、その重要性はさらに高まっていくと考えています。
私たちが向き合っているのは、制御盤そのものではありません。その先にいる、お客様の現場です。設計者、設備技術者、保全担当者、オペレーター。それぞれの人がより安全に、より効率的に働ける環境をつくることが、結果としてものづくりの持続的な成長につながると信じています。

人手不足が進む時代だからこそ、現場を支える人を支える。オムロンはこれからも、お客様の現場に寄り添いながら、変化に強いものづくりの実現に貢献していきます。

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