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サステナビリティ
製造現場のデータ利活用をもっとシンプルに

製造現場のデータ利活用をもっとシンプルに

現場効率と経営戦略をつなぐ「データフローコントローラ|DX1」

労働人口減少に歯止めがかからない日本。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、経営に直結する深刻な課題となっています。製造業においても、就業者数*は過去20年間で150万人以上減少し、人材不足が深刻化しています。一方、生産性を高めるために、多くの製造業がDXに取り組んでいるものの、その実現に向けてはさまざまな課題を抱えているのが現状です。

2025年9月、オムロンは製造現場のデータ利活用を劇的に加速させる「データフローコントローラ|DX1」(以下、DX1)を発売しました。各種センサーや制御コントローラ(PLC)などの制御機器が稼働する現場において、専用のプログラムや個別のソフトウェアを使わず、データの収集から分析、可視化までを1台で可能にする革新的なエッジコントローラです。

製造業が抱えるDXへの課題を打破すべく、開発されたDX1。どのような思想のもとに生まれ、現場に何をもたらすのか、オムロン制御機器事業でDX1商品開発に携わったコントローラ事業部の植木さんに伺いました。
*経済産業書「ものづくり白書」2024

インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 コントローラ事業部の植木さん


製造業・製造現場が直面する課題

現在、製造現場では、従来の生産性の向上や品質の追求といった価値観だけにとどまらず、GHG(温室効果ガス)排出量の削減をはじめとする環境負荷低減、つまりサステナビリティとの両立が不可欠な時代になりました。エネルギー効率を最適化し、無駄を減らすためには、現場のあらゆるデータを取得・利活用してIoT化を進めることが大前提となります。

しかし、いざそれを実行しようとすると非常に高い3つ壁が立ちはだかります。

1つ目は、デジタル技術に精通した人材の圧倒的な不足です。データサイエンティストのような高度なIT人材を全ての工場に配置することは不可能ですし、現場の熟練技術者が思考錯誤しながら改善しているのが現状です。

2つ目は、データの取得と活用手段が標準化されていないことです。工場内には異なる年代の装置が稼働しており、それらを制御している機器のメーカーもバラバラです。

そして3つ目が、既存設備への影響リスクです。稼働中の設備からデータを取ろうとすると、既存のPLCの制御プログラムを書き換える必要が出てきます。これはライン停止のリスクや再検証の手間など、膨大な工数を伴うため、データ活用の重要性を理解しつつも、最初の一歩を踏み出せない企業様が非常に多いのが現状です。

経営としては重点テーマに挙げられるDXの取り組みですが、これらの壁に阻まれ、なかなか具体的な手が打てていないのが現状です。


コンセプトは「明日からできるデータ利活用」

一言で言えば、今ある設備を一切止めず、専門知識がなくても、明日からすぐに使える仕組みです。高度なITシステムを導入すれば、多くの費用と工数がかかりますし、導入後の仕様変更のたびにコストが発生します。また、設備を止めなければならず、その間の生産ロスも発生してしまいます。お客様が本当に求めていたのは、既存の設備を止めることなく、現場の作業者や保全担当者が自らの手で、直感的にデータを集めて可視化できる環境でした。
また、工程や装置ごとに異なるメーカーのPLCが使われている中で、オムロンの機器だけでなく、他社製PLCからも同様に、かつ後付けで簡単にデータを吸い上げたいという強いニーズがありました。さらに、集めたデータをどう見せるかについても、工場長のような管理層が見たい工場全体の稼働状況と、現場が扱う設備ごとの稼働データでは粒度が異なります。見たい人の目的に合わせて、必要な情報を整理して表示できる柔軟性も必要でした。


求めたのは「使いやすさ」と「繋ぎやすさ」

DX1は、オムロンが長年培ってきた制御プラットフォーム”Sysmac”の信頼性を引き継ぎつつ、エッジ領域でのデータ活用に特化したコントローラとして開発されました。コンセプトとして掲げたのは、「データ収集から活用までの機能を、1台のハードウェアに集約する」ことです。そして、現場のエンジニアにとっての、「使いやすさ」と「繋ぎやすさ」にこだわりました。


①専門スキルがなくてもデータを可視化できる「使いやすさ」

従来のデータ収集システムでは、データを集めるコントローラ、それを蓄積・加工するミドルウェアを入れたPC、さらに可視化するためのソフトウェアなど、複数の要素を組み合わせてシステムを構築する必要がありました。PCに専用ソフトをインストールするだけでも、工場のIT・セキュリティ管理部門の許可が必要だったり、OSのアップデート対応に追われたりと、現場には大きな負担になります。


DX1は、本体にデータ加工・分析のためのミドルウェア*やウェブベースのグラフ表示ツールをあらかじめ標準搭載しています。つまり、面倒なソフトウェアのインストールやサーバーの構築は一切不要です。DX1を既存のネットワークにポンと置くだけで、データ収集から分析、ダッシュボードでの可視化までがその日のうちに完結します。この導入ハードルの下げることこそが、私たちが開発において最もこだわったポイントです。
*ソルティスター社が提供する「SpeeDBee SynapseR」搭載


②他社製の制御機器にも接続できる「繋ぎやすさ」

製造現場ではさまざまなメーカーの制御機器が稼働していると言いましたが、DX1はオムロン製のPLCだけでなく、国内の主要メーカー*のPLCと接続することができます。国内主要メーカーの複数のPLCに対応しており、既存の設備を稼働させたまま、制御プログラム(ラダープログラム)を変更することなく、イーサネットケーブルを差すだけでデータ収集が可能です。これにより、設備を止めることなく、初期投資コストと導入リードタイムを大幅に削減できます。
*三菱電機-MELSECシリーズ、ジェイテクト-TOYOPUCシリーズ、キーエンス-KVシリーズ、パナソニック-FPシリーズ、オムロン-NJ/NX/CKCS/CJ/CP/NSJシリーズに対応


そして、2026年5月のアップデートでは、DX1のデータ収集機能と接続性を大幅に強化しました。まず、欧州で広く使用されている産業用標準通信規格のOPC UA Client機能追加やシーメンス社の通信プロトコルへの対応により、グローバル環境で活用できるように機能を拡大しました。さらに、シリアル変換器を介したレガシー装置への接続にも対応し、旧型設備を含む幅広い現場のデータ活用にも対応しています。

また、オムロン製機器の自動接続機能やIO-Link対応機器との接続性向上。加えて、データベース接続やスプレッドシート連携の機能を強化しました。これらのアップデートにより、現場データをシームレスにつなぎ、収集したデータをそのまま業務システムや分析環境へ活用できるようになりました。
*OPC UA:産業オートメーションなどの業界で、安全で信頼性あるデータ交換を行うために策定されたオープンな国際標準規格
*IO-Link:国際規格IEC 61131-9で規定されたセンサ/アクチュエータとI/Oターミナル間のオープンな情報通信技術


お客様とともに進化するデータ活用基盤に向けて

まずは、既存の生産設備がフル稼働しているもののDXへの一歩を踏み出せずにいる工場や、大規模なIT投資が難しい中小・中堅企業様をメインターゲットとして、広くご提案していきたいと考えています。現場の見たい・知りたいがその場でタイムリーに可視化されることで、現場改善のスピードが上がるだけでなく、経営層へのレポーティングもスムーズになり、データに基づく迅速な経営判断(データドリブン経営)を支援できます。すでに、目的に合わせたダッシュボード・パッケージを用意しており、現場のエンジニアと経営層が、データを使って目線を合わせながらコミュニケーションを図ることができます。


今後は、データ活用のためのテンプレートや追加機能の拡充を通じて、現場ごとに異なる課題に柔軟かつ迅速に対応できるプロダクトへと進化していきます。特定業界のユースケースに最適化された機能や、省エネルギー・カーボンニュートラルといった社会要請に応えるソリューションを拡充し、お客様が自社の目的や環境に応じて最適な形でデータ活用を実現できる環境を提供していきます。

そして、私たちはこのDX1を、お客様の声を迅速に反映しながら継続的に進化していくプロダクトとして位置づけています。2025年9月の発売以降、お客様の声に応えながら、現場データをつなぐデバイスとして進化させてきました。これからも、生産現場のデータ利活用へのニーズをいち早く捉え、それに対応するとともに、単なるプロダクツとしてでなく、お客様と共に進化するデータ活用基盤へと進化させていきます。常に現場に寄り添い、価値を提供し続けるソリューションでありたいと考えています。

オムロンが2021年に掲げた長期ビジョン「SF2030(Shaping the Future 2030)。2026年からは新ステージ「SF 2nd Stage」に入りました。オムロンは今、コア技術「センシング&コントロール+THINK」を進化させ、強みのデバイスとデータを組み合わせたソリューションの開発に取り組んでいます。創業以来、オートメーションで新たな社会ニーズを生み出し、その実現に応えてきたオムロンの挑戦はこれからも続きます。

■関連情報
制御機器事業サイト|データフローコントローラ
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3948/
https://www.fa.omron.co.jp/product/promotion/dx1/

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