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ゴール目前でクラッシュ…リベンジ誓う若手レーサー×パラ陸上世界ランク6位 十川裕次選手
車いすランナーなら誰もが目標とする世界最高峰のレース「第43回大分国際車いすマラソン」が、いよいよ2024年11月17日(日)に開幕します。今年は、全国31都道府県と海外13の国と地域から223人のランナーたちが集結し、最高時速70kmで大分市内を駆け巡ります。
※オムロンはプラチナパートナーとして本大会へ協賛しています。大会の詳細は、こちらをご覧ください。
今大会、並々ならぬ思いでリベンジに燃える選手がいます。オムロン太陽株式会社でリレーソケットの製造に携わっている、笹原拓歩(ささはら たくみ)選手(24)です。拓歩選手は、8歳の頃、同社所属の笹原廣喜(ささはら ひろき)選手が北京の国際大会で銀メダルに輝く姿を見て、オムロンで車いすマラソンの選手になることを決意。2023年4月に入社後、憧れの廣喜選手も出場する前回大会(2023年11月)で、念願だったOMRONのユニフォームを着ての出場を叶えました。
憧れの笹原廣喜選手(左)と出場した前回の様子
しかし...結果は、ゴール目前でまさかの中央分離帯に激突。車いすのホイールが割れて走行不能となり、ゴールまで走り切ることができませんでした。今年こそ、最後まで走りきることができるのか―
オムロン太陽にはもう1人、世界ランク6位(2024年11月時点)のパラアスリートがいます。オムロン太陽で広報を務める、十川裕次(とがわ ゆうじ)選手(陸上1500m/T20)です。車いすマラソン本番を目前に控え、拓歩選手と対談!パラスポーツにかける情熱を語りました。
十川裕次 選手(オムロン太陽)
大分県大分市出身の28歳
陸上1500m/T20(知的障害) 世界ランク6位(2024年11月時点)
<主な国際大会での成績>
2018年 インドネシア2018アジアパラ競技大会 3位
2021年 東京2020パラリンピック競技大会 9位
2023年 WORLD PARA ATHLETICS GRAND PRIX 2位
2024年 神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会 3位
パリ2024パラリンピック競技大会 6位
十川選手:去年の大会、転倒してゴール目前で棄権したんですよね?一体何があったんですか。
拓歩選手:大会直前にレーサー(競技用の車いす)を交換したのが失敗でした。前輪に微妙なガタツキがあったみたいで下り坂で真っ直ぐ走れず、中央分離帯に突っ込みました。時速40kmオーバーだったのでレーサーごと右前に半回転して気づいたら身体がレーサーから飛び出していました。あと3km進めばゴールだったので帰りの救護車の中で悔し泣きしましたね。
十川選手:本番にピークを持っていけるように何カ月も前から厳しい練習を耐え抜いていたと思うので、大会の途中で棄権ってすごく辛かったでしょうね。
僕も前回のパリで思うような順位になれなくて悔しい思いをしました。でもゴールできなければそれ以前に"やりきれなかった"という思いで終わっていたはず。結果が出なかったときとは全く別物の後悔だと思います。なんとか今年こそしっかり体調と準備を整えてスタートラインに立って最後まで完走してほしいです。
拓歩選手:ありがとうございます。今回は前回の反省を活かしてマシンはもちろん、グローブ(樹脂の部分)までミリ単位で削って調整しているんですよ。
十川選手:そんなにシビアなんですね。すごい。
拓歩選手:同じ失敗はしたくないのできっと開幕ギリギリまで削って微調整していると思います。徹底的に準備してまずはとにかく完走。それと今回地元の後輩が出場してくるので、彼に負けないように色々戦略を考えています。
十川さんは数々の国際大会で成績を残していて経験値は僕よりはるかに上。あれだけの大観衆の中、試合当日にパフォーマンス出せるのはすごいと思います。
十川選手:とてもいい経験でした。でもライバルたちは思っていた以上に身体つきから違っていて"世界"の速さを思い知りました。今度はロスでリベンジ頑張りたいです。
拓歩選手:うち(オムロン)は職場の理解があるから仕事と両立してスポーツに打ち込めますよね。
十川選手:わかります。僕の場合、3時までの時短勤務にさせてもらってしっかり練習する時間を取らせてもらっています。
拓歩選手:僕も遠征で職場を離れることがあっても皆さん嫌な顔1つせずフォローしてくれて、思いっきり競技に集中できていてありがたいです。
十川選手:あと、オムロンに入ってから競技面だけでなく仕事の面でもすごく成長を感じるようになりました。就労訓練を経て今年(2024年)1月にオムロンに入るまで、A型事業所で働いていました。当時の仕事は掃除でしたが、今はオムロン太陽のダイバーシティ&インクルージョン推進グループで広報の仕事をさせてもらっています。主にSNS運用などの担当で最初は難しかったですが、頭を使う(クリエイティブな)仕事に挑戦できるようになって今はすごく楽しいと感じています。
十川選手:オムロンはやさしさだけじゃなくて責任感も持たせてくれる。それがやりがいにつながっていると感じますね。僕たちアスリートはずっとスポーツだけでやって生きていける訳じゃない。でもパラの国際大会に出場している選手のほとんどが僕たちのようには仕事と両立できていないのが現状です。だからこうしてクリエイティブな仕事に打ち込めて成長を感じられることは引退後のセカンドキャリアにもつながるので、すごくありがたいと感じています。
オムロンでよく言われる言葉で好きなのは「『障がいがあるからできない』のではなく、『どうやればできるか』を考える」という言葉。それは仕事でも競技でも同じで、今日より明日、何か1つでも成長できるようにチャレンジを続けていきたいと思います。
拓歩選手:僕も頑張らないと。でもとにかくまずは大分国際車いすマラソンの完走!
十川選手:当日僕も中村裕賞(特別賞)プレゼンターとしてゴールの競技場で待ってますので!
拓歩選手:このマシンでリベンジできるように頑張ります。ゴールで会いましょう。