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デジタルソリューション事業(DSB)

市場環境

データソリューション事業本部(DSB)は、オムロングループ全体をモノづくりからソリューションビジネス(モノ+サービス)へと進化させることを目指しており、その市場環境は、オムロングループが展開する制御機器事業、ヘルスケア事業、社会システム事業の各領域の市場環境そのものです。現場での人手不足や超高齢社会の進行に伴う医療資源の最適化など、社会課題がますます大きくなるに伴い、課題解決のためのデータやAIを活用したソリューションが求められ、市場が急速に拡大しています。DSBはその変化を事業機会ととらえ、オムロングループのデータを活用してソリューションを開発・提供することで事業成長につなげていきます。またJMDC社のヘルスビッグデータ領域においては医療データ利活用の拡大が続く見込みです。

事業の強み

DSBは制御機器を中心としたモノづくりを通じてオムロンが培ってきた事業やそれにまつわる知見、人財、顧客基盤といった資産と、データドリブンなソリューション事業を展開するJMDC社の強みを融合させることで、オムロングループ全体の事業成長をリードします。

これまでモノづくりの会社としてオムロンが築いてきたのは、企画から開発、製造、販売に至る工程を順番に完了させていく、いわゆる“ウォーターフォール型”のプロセスです。他方、ヘルスビッグデータを活用したソリューション事業で急成長を遂げたJMDC社は、スピード感をもってβ(ベータ)版を提供し、徐々にサービスを進化させていく“アジャイル型”でサービスを提供してきました。異なるプロセスそれぞれに最適化したオムロンのモノづくりとJMDC社のソリューション開発の強みを融合し、オムロングループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現すること、そのDX推進力こそがDSBの強みです。

「SF2030」実現に向けた成長戦略

DSBの成長戦略とは、すなわちオムロングループのDXの進展であり、モノ+サービスのソリューション型のビジネスモデルへの進化に他なりません。

その進化のマイルストーンとして、オムロングループにおけるDSBの売上高は2027年度に1,000億円を目指します。今後も力強い成長が期待できるJMDC社の事業に加え、DSBはオムロンの既存事業が培ってきた強いハードウェアや顧客基盤と、DSBおよびJMDC社のデータマネジメント力とソリューション開発力を掛け合わせ、「現場DX」を実現する6つの事業を推進しています。なかでもプロアクティブヘルス事業は、オムロングループのヘルスケア機器から得られる家庭用データとJMDC社の医療データを活用することで、ビッグデータに基づいて健康リスクを可視化する新しい健康管理の枠組みを提供していきます。ヘルスケア業界では技術の発展に伴って健康にまつわる様々なサービスや製品が増えている一方、年1回の健康診断や検査と日常の健康状態を結びつけることはこれまで難しく、重篤な疾患を未然に防ぐような手立ては確立されていないのが現状です。プロアクティブヘルス事業は、オムロンの医療機器品質のハードを支える高い技術力と信頼、国内外で圧倒的な規模を誇る高品質なヘルスデータにJMDC社のデータ活用力を掛け合わせ、デバイスの体験価値を向上するとともに、個々人に最適化された健康改善の在り方を実現します。

※ 詳細はプロアクティブヘルス事業をご覧ください

データソリューションのアプローチで新たな価値を創造できるのは、ヘルスケア領域に限りません。社会システム事業や制御機器事業領域にも機会が十分にあり、これまでオムロン単独では参入が困難だった新しい市場や領域が、JMDC社との連携により現実的な事業機会として見えてきています。

スマートM&S(マネジメント・サービス)事業は社会システム事業と連携して事業推進をしている例です。かねてからオムロンフィールドエンジニアリングがマネジメント・サービスを提供している社会インフラ事業においては、豊富な経験と実績、現場データ、そして顧客との長期的な信頼関係があります。スマートM&S事業では3つの軸で事業変革と事業拡大を推し進めています。一つは、既存のフィールドサービスにおけるDX化です。保守・エンジニアリング業務の自動化と最適化を進めることで、サービス提供の生産性を高め、人的リソースへの依存度を低減します。また、BPOなど間接業務支援を含むサービス領域の拡大により、顧客接点と収益機会の拡充にも取り組んでいきます。さらに、これらの業務を通じて蓄積されるデータを活用し、業務プロセスの可視化や再構築、意思決定の高度化等を支援する新たなサービスモデルの構築を目指します。

※ 詳細はスマートM&S事業をご覧ください

このようにDSBはオムロンの長年のモノづくりで蓄積された圧倒的な規模のデータや事業アセットを活用し、オムロンの既存事業のビジネスモデルを進化させることで、SF2030の重要な成長ドライバーの一つとなります。

事業ハイライト

事業別売上構成比
2024年度 | 売上高427億円、JMDC社の既存事業99%、成長加速させる事業1%、●プロアクティブヘルス事業●スマートM&S事業ほか
「モノづくり」の強みを活かしたビジネスモデルの進化:インダストリアルオートメーション、ソーシャルソリューション、ヘルスケア
売上高/営業利益/営業利益率の推移

                                  2023年度:174(売上高),22(営業利益),12.6%(営業利益率)、
                                  2024年度:427(売上高),28(営業利益),6.6%(営業利益率)、
                                  2025年度(見通し):505(売上高),50(営業利益),9.9%(営業利益率)

2024年度の売上高の状況

JMDC社における契約健康保険組合数や、データ利活用先である製薬企業および保険会社との年間取引量、さらに遠隔読影サービスを利用する医療機関数の拡大により、売上高は増加しました。

2024年度の営業利益の状況

ソリューション事業創出に向けた投資を着実に実施した一方、JMDC社の売上高が増加したことにより、営業利益は堅調に推移しました。

INPUT 投資・主要活動
  • 研究開発費 : 1 億円(前年比なし
  • 設備投資費 : 39 億円(前年比なし
  • 株式会社iCAREと資本業務提携(2024年7月)
  • 自立支援事業が日本初の介護予防領域に特化した支援ICT「ハレクルWith」をリリース(2024年9月)
  • 自立支援事業は、大分県が国から採択されたデジタル田園都市国家構想交付金を活用する事業を受託。オムロンのICT活用でケアマネジメントの質を向上し、業務時間を最大37%削減できることが確認された(2025年5月)
OUTPUT 実績
  • 売上高 : 427 億円(前年比なし
  • 営業利益 : 28 億円(前年比なし
  • データ活用ソリューション事業が提供するpengu(ペング)がITトレンド上半期ランキング2025 RPAツールで1位を獲得(2025年7月)
  • 「健康経営アライアンス」に参画する企業・団体数:500

※ データソリューション事業は2024年3月期第3四半期連結会計期間に新規に設定したセグメントであり、
増減率については比較の比率として有効でないため、表示していません。

OUTCOME 創出する社会的価値と対応するSDGs
  • データソリューションによってオムロングループ全体のビジネスモデルを進化させるとともに、社会的課題の解決につながる成長事業を創造
  • オムロングループ全体をソリューションビジネスに変革することで、オムロンが挑む社会的課題、カーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸を加速
SDGs ゴール3.4.1
SDGs ゴール3.4.1
SDGs ゴール8.2.1
SDGs ゴール8.2.1
SDGs ゴール13.2.1
SDGs ゴール13.2.1