電子情報技術産業協会(JEITA)発表では、AI活用の普及などにより、半導体や電子部品など電子デバイス分野の世界市場規模が2025年に初めて1兆ドル(約155兆円)を超えると見通しています。また、エネルギー・モビリティ市場においても、太陽光発電システム、電気自動車(EV)や充電インフラへの投資により、市場は堅調に拡大していくと見込んでいます。
DMBが注力する市場においては、2025年度は半導体市場でのデバイス検査装置の高周波化、高速通信や大容量化による通信インフラの設備拡充による高周波関連機器の需要拡大を見込んでいます。また、エネルギーマネジメント市場では、太陽光発電・蓄電システムおよびEV関連機器の直流化・高容量化、大容量電流の安全遮断の需要が高まると見込んでいます。
このように注力事業での需要の高まりと中長期的な市場成長を受け、DMBでは今後も継続的な成長が見込める市場へのアプローチとお客様のニーズを捉えた新商品の創出を強化し、市場成長スピードを上回る事業成長を目指します。
DMBは、“繋ぐ・切る”をコア技術として、創業以来、リレー、スイッチ、コネクタ、センサなどのデバイス&モジュールの高機能化と品質向上に取り組んできました。独自の微細加工技術や多彩な機能をコンパクトにパッケージ化する技術により、専業メーカーにはない高機能・高性能かつ独自性のあるデバイスやモジュールを創出することができます。例えば、2024年発売の高容量パワーリレーでは、多様な電子部品で培ってきたモノづくり技術に加え、独自のシミュレーション解析技術などを採用し、製品寿命への影響を及ぼす通電時の発熱を軽減するとともに、同じサイズでの最大開閉電圧を従来比で約30%も高め、長寿命化と機能・性能のさらなる向上を実現しました。また、幅広い業界のリーディングカンパニーのニーズに応えるため、グローバルにソリューションを提供する販売ネットワークと長年にわたり磨き続けてきた品質と技術への信頼性がDMBの強みです。
そして、これらの強みに加え、「グリーン」「デジタル」「スピード」を軸とした新たな価値の提供に取り組んできました。取り組みの推進として、2023年にはグリーンプロジェクトを立ち上げ、商品・生産プロセス・購買の3つを連動させ、バリューチェーン全体でお客様のカーボンニュートラルに貢献する取り組みを推進しています。2024年度にDMBの国内全拠点において消費電力の再生可能エネルギー由来への切り替えを完了し、2024年5月からは欧州向け製品を中心にグローバル基準にもとづいたカーボンフットプリントの算出とその提供を開始しました。DMBは、今後も環境負荷低減に向けた取り組みを通じて、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
※ 詳細はDMBグリーンプロジェクトをご覧ください
SF2030の実現に向けてDMBが注力するのは、中長期的な事業成長を見据えた自走的な成長構造と収益構造の実現です。
一つ目の成長構造では、「新たな成長の柱の創出」に取り組みます。収益基盤となるコンポネンツで着実に利益を稼ぐとともに、新エネルギー・EVおよび半導体を事業の成長領域と位置づけ、次の成長の柱となる事業を育てています。具体的には、エネルギーマネジメントシステムの直流化・高容量化、半導体・デバイス検査装置の高周波対応による市場の成長を捉え、DC機器向けリレーや高周波機器向けリレーなど6つのキープロダクツを設定し、商品開発を強化します。2027年度には同領域での売上規模を、DMB事業全体の売上構成比30%となる500億円規模に成長させるため、経営資源を集中します。また、現地のニーズにスピーディーに応え、成長をさらに加速させるため、中国現地向け製品の開発体制を強化しました。試作用金型を無くし、また専用設備を汎用化したことで、試作工程のリードタイムを従来比1/10に短縮するなど、すでに大きな成果を生んでいます。
二つ目の収益構造では、「コスト抑制に頼らない安定した収益構造への転換」に取り組みます。具体的には、製造での自動化・省力化による生産性向上に加え、部材の現地調達率の改善や商物流の集約による購買改善、需要統計予測の導入による生産効率の向上に取り組み、さらに販売代理店様とのリレーション強化や生産から納品までのプロセスを改善した供給体制強化、高付加価値商品の販売促進での連携に取り組みます。これらの取り組みにより、安定した収益基盤の再構築を目指します。
2024年度の売上高の状況
民生業界向けの需要は、中国などの一部エリアや先端半導体関連など一部の業界では回復が見られるものの、欧州や日本では、顧客での在庫消化の停滞や生産計画の見直しなどにより低調に推移しました。自動車業界向けの需要は、中国では増加したものの、欧州ではEV優遇施策見直しにより低調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で減少しました。
2024年度の営業利益の状況
売上高減少に加えて原材料価格高騰などの影響もあり、営業利益は前期比で大きく減少しました。
※ 中国・シンセン工場で開発された新商品の2024年度売上