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時代の要請を、未来の社会を照らす「新たな価値」へ

時代の要請を、未来の社会を照らす「新たな価値」へ

世界中で加速し続ける「脱炭素」の潮流。それは今、製造業にとって不可逆な変革の波となっています。日本では2050年ネットゼロ実現に向け、GHG排出量を2013年度比で、2035年度に60%、2040年度には73%まで削減する高い目標を決定し、中国も「双炭(ダブルカーボン)」目標を掲げ、国を挙げて産業構造の転換を進めています。そして、さらに厳しい環境規制を主導するのが欧州(EU)です。

2024年、欧州で「バッテリー規則」におけるカーボンフットプリント(CFP)の申告が義務化されました。原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのCO2排出量を「見える化」し、一定基準を満たさない製品を市場から排除する。この動きは、バッテリーを皮切りに、今やあらゆる工業製品へと波及しようとしています。

環境データが出せない製品は、市場にお届けすることすらできなくなる。かつて懸念されていた未来は、もはや現実のものとなりつつあります。私たちはこの大きな変化を、お客様、そして社会とともに新しい価値を生み出す「機会」としたい。オムロン 電子部品事業(以下、DMS)が掲げるグリーン戦略は単なる規制対応にとどまらない、サプライチェーンに関わるすべての皆様と手を取り合い、持続可能な未来を手繰り寄せるための挑戦です。

その最前線でプロジェクトを推進する経営戦略部の岡田の想いとともに、2026年現在の到達点をお伝えします。

751_02.jpgオムロン デバイス&モジュールソリューションズカンパニー(DMS)
企画室 経営戦略部|岡田 和幸(おかだ かずゆき)

 

グループの先陣を切る、「DMSグリーンプロジェクト」

「DMSグリーンプロジェクト」が始動したのは、今から約5年前、2021年のことでした。

当時、社内でも「環境対応はコストアップにつながり、競争で他社に勝てない」という現実的な議論がありました。しかし、電子部品という、あらゆる機器・装置に組み込まれ、今やなくてはならない製品を扱う事業だからこそ、真っ先に変わらなければならない。DMSが変わることで、お客様の製品、ひいては社会全体の脱炭素化に貢献できるはずだ。その信念のもと、「どこよりも早く・広く」にこだわり、プロジェクトをスタートさせました。

戦略の核となるのは、Product(製品)・Process(生産)・Purchase(調達)の「3つのP」です。

■DMSグリーン戦略「3つのP」

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Product(製品)
商品の供給を通じてカーボンニュートラルに貢献します。例えば、リレー製品における「低発熱設計」でファンやヒートシンクを削減し、小型化や長寿命化による廃棄ロス削減に貢献するなど、設計段階から環境負荷低減を組み込んでいます。

Process(生産プロセス)
自社工場の徹底した省エネルギー(生産効率向上・エネルギーロス削減)活動に加え、再生可能エネルギー導入を加速。ものづくりの過程で排出されるCO2(Scope1・2)を極限まで減らし、クリーンなものづくりを目指します。

Purchase(調達)
原材料における環境負荷物質の低減はもちろん、カーボンフットプリント(CFP)への取り組み、サプライチェーン全体での排出量の見える化を推進します。サプライヤー様と協働し、調達部材そのものの低炭素化を目指します。

 

「見えないCO2」を価値に変える、グローバルでの挑戦と成果

DMSのグリーン戦略を実行していく中で、私たちが注力してきた取り組みの一つが、「Purchase(調達) 」で掲げるカーボンフットプリント(CFP)の算定です。岡田が手にしている高容量パワーリレー「G9KB」は太陽光パネルや蓄電システムといった再生可能エネルギー関連機器向けに開発された基幹商品であり、最初にCFP対応に取り組んだトップバッターの製品です。
以降、DMSではCFP対応製品のカバー率を急速に高めており、欧州向けのCFP対応製品カバー率は2027年度に90%へ達する見込みです。

しかし、ここに至るまでには、グローバル展開における「ルールの壁」がありました。「CFP算定のルールは国際的な規定で決まっているものの、その解釈は国や検証機関によって微妙に異なります。そのため、各国のルールに合わせ、現場で運用を細かく調整しながら横展開するという地道なプロセスを積み重ねてきました」(岡田)

751_04.jpgCFP算定の仕組みづくり取り組んだプロジェクトメンバーたち
左:オムロン深圳(中国)右:オムロンリレーアンドデバイス(日本)

最初にCFP算定の仕組みづくりに着手したのは、2023年の中国・深圳工場でした。その後、生産拠点ごとに現地の検証機関と対話し、各国に合わせた導入・運用を進めていきました。2024年には国内の2拠点で導入を完了し、2025年には中国・上海工場、インドネシア工場、マレーシア工場へと拡大。そして、2026年度中には、DMSグループの生産拠点すべてにこの仕組みを導入する計画です。

CFPへの取り組みを着実に進め、現在、主要な5機種で第三者機関の検証を受け、CFP保証を取得するまでになりました。しかし、データの算定だけでなく、第三者機関による検証や以降のデータの管理・更新には多くのリソースを要します。そこで、すべての機種でCFP保証を取得するのではなく、お客様からの要請の多いものから優先的に取得するという方針をとりました。

そのために、私たちが選んだアプローチが、「算定ロジックの確立」と「準拠品の拡大」です。国際規格(ISO14067)に基づいた正しい算定ロジックを確立し、顧客からの要請の高い主要な機種で第三者認証を取得。その「認められた計算式」を用いて自社評価した製品を「準拠品」として展開しています。

第三者検証を受けた製品とこの準拠品を含めたCFP対応製品は、2025年度に34機種、2026年度には66機種にまで拡大させる予定です。「いつでも第三者認証が取れるという状態にしておくことで、お客様の問い合わせに即座に実数値で回答できる体制を整えました。これが、規制を競争力に変えるための、私たちの解の形です」(岡田)

751_05.jpg第三者検証によりCFP保証を取得した製品

 

パートナー様への感謝と、「三方よし」の精神

部品のCO2排出量を正しく測ることは、一社の力では決して実現できません。データの算出は、原材料を供給してくださるサプライヤー様にとっても多大な工数を要する作業です。そのご負担をお願いする立場として、大切にしたのは「共創」の姿勢でした。

「ただデータの提供をお願いするだけでなく、DMSが先行して培った算定のノウハウやツールを公開し、共有することにしました。そうすることで、パートナー様の業務負荷を少しでも減らし、ともにステップアップしていきたいと考えました」(岡田)

自社のCO2排出量が見えるようになることは、パートナー様にとっても、他社への提案力強化というメリットにつながります。お客様、パートナー様、そしてDMS。「売り手よし、買い手よし、世間よし」。近江商人の精神にも通じるこの「三方よし」の関係こそが、持続可能なサプライチェーンを築く鍵だと信じています。

 

「2027年」への決意。誰よりも早く、未来へ

私たちDMS自身も、誰よりも高い目標に挑み続けています。DMSは、2027年度までに「Scope2(自社の電力使用によるGHG排出)ゼロ」の達成を掲げています。業界の多くの企業が2030年や2040年を目標とする中、私たちはどこよりも早く実現することにこだわり、前倒しで計画を進めています。

751_06.jpgScope2ゼロに向けたGHG排出削減のロードマップ

これは、2021年度から着実に削減を進め、2027年度にはScope2ゼロを目指すロードマップです。「DMS自身がScope2でのGHG排出ゼロを達成することは、そのまま製品の製造段階におけるCO2排出量削減、つまりCFPの低減につながります。これは、オムロンの部品を使っていただくことが、お客様の製品の環境価値向上に直結することを意味します」(岡田)

欧州では、製品の材料やリサイクル情報、CFPなどを電子的に記録する「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」の導入が進んでいます。バッテリー分野ですでに始まっているこの規制は、2029年頃には電子機器全体へ対象が広がると予測されています。その時、私たちの製品が「選ばれる理由」となるよう、準備に余念はありません。

「世の中に先駆けて取り組むこと。部品メーカーとしてのその挑戦が、お客様、そしてその先の社会の環境価値につながっていく」。かつては高いハードルに見えた環境対応も、バリューチェーン全体の皆様と手を取り合うことで、乗り越えられる課題に変わりつつあります。

小さな電子部品から、大きな未来を変えていく―。これからもオムロンDMSは、お客様、そしてパートナー様とともに、脱炭素という地球規模の課題に真摯に向き合い続けてまいります。

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