新型コロナウィルス感染症(以下、コロナウィルス)の拡大によって、私たちの日々の暮らしは一変しました。コロナウィルスは私たちの健康だけでなく、日々の生活にも大きな影響を与え、これまで当たり前だと思われてきた常識が激変しました。一方で、従来のやり方にとらわれないイノベーションが登場するきっかけにもなりました。その一つが、自動ピペッティングソリューションです。
オムロン ドイツのロボットエンジニア、スヴェン・カルーザ(以下、スヴェン)はこう語ります。「コロナウィルス拡大ピーク時に私たちが実現した "自動ピペッティングソリューション"は、オムロンの革新的な技術によって社会課題解決に貢献した事例です。」
ピペッティングとは、コロナウィルス検査の工程において、微量の液体を容器から吸い取り別の容器へ正確に分注するという非常に時間のかかる作業のことで、その繊細さゆえに機械による自動化が難しくすべて人手で行われていました。
スヴェンは協業パートナーであるGriPS Automation社のエンジニアチームと、コロナウィルスのパンデミックに関わる自動化関連の課題分析をした際、ピペッティング作業を自動化する"自動ピペッティングソリューション"というアイデアを閃き、コロナ禍の社会課題解決に向けて取り組み始めました。
このソリューションを導き出したのは、オムロンがモノづくりの現場革新に向けて提唱する価値創造コンセプト"i-Automation! "における3つの"innovation"「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の新しい協調)」でした。
彼らは、オムロンのオートメーション技術と、ロボット、センサー、二次元コードリーダー、制御システムなどの多様な製品ラインナップを活用することで、ピペッティング作業の全工程(サンプル採取から液体除去、管への注入、2次元コードの読み取り、サンプル充填量の計測、その他すべての関連作業)の自動化に成功しました。
この自動化ソリューションにより、コロナウィルス検査における取り扱いサンプル数が画期的に増加しました。また、作業者の負担も軽減しより付加価値を生む仕事に注力できるようになったため、全体的な品質向上にも貢献しました。
今回の取り組みを振り返り、スヴェンはこう語ります。「私たちはこの取り組みで、オムロンのオートメーション技術によって、子どもたちのよりよい未来につながる新たなソリューションを提供できたことを誇りに思っています。」
「ロボットを活用した自動化ソリューションは、ピペッティング作業のように、人間が担う集約的な作業を今より減らすことで、充足感のある作業に費やす時間を今より増やし、人間の能力を引き出してくれます。未来のより良い社会に向けて、まだまだ展開の余地があると信じています。」彼らはこれからも社会課題解決に貢献するために、前例にとらわれない様々な挑戦をしていきたいと意欲を燃やしています。