現場に寄り添うエンジニアが、モノづくり現場の難題に挑む ~人の生産性を向上させるのは、人の知恵~

ロボットをいかに使いこなすか?

「ベルトコンベアで運ばれてくる製品を箱詰めする工程にかかる人手を減らせないか?」といった、モノづくり現場の悩みが日々オムロンに持ち込まれている。

こうしたお客様の中にはすでにロボットを導入されている現場も多い。しかし、それでも悩みが尽きないのは、ロボットを自分たちの現場に合わせて使いこなさないといけないから。 

例えば、コンベア上を運ばれてきた製品を、ロボットが掴み、箱詰めする工程。このとき一定の間隔で製品がロボットの下を通ればよいのだが、実際には製品同士の間隔が狭かったり、いくつも重なってコンベア上を流れてきたりする。こうしたランダムな間隔は、最悪の場合、ロボットの取りこぼしを生んでしまう。

せっかく人を箱詰めという作業から解放できるロボットがあるのに、そのロボットのフォローを人がしないといけない現場も生まれてしまっている。 

鍵は、コンベア上の製品の整列にあり

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ものづくり現場の最前線で常に自動化の難題と向き合うエンジニアたちがオムロンにいる。オートメーションセンターの中心メンバーである清田もその一人。

生産ラインを大きく作り変えてしまえば多くの問題は解決する。しかし、設備の入れ替えにかかる多額の費用や工事をしてまで生産をストップさせるのは現実的ではない。モノづくり現場ではいかに、今ある設備を効果的に使って、生産性・品質・安全性を高められるかを追求している。

「最初から製品が整列して運ばれてきたら、ロボットが確実かつスピーディに製品をキャッチし続けられるのではないか?」

清田が着想したのは、一塊になっている製品をバラす方法。この仕組みは、ランダムに流れてきた製品に対して、コンベアの速度を制御することで、等間隔に"バラして"整列させることができる。ロボットに合わせて製品の供給を行えるので取りこぼしがなく、人がフォローする必要もなくなる。

同時に、ロボットにも工夫を凝らす。金属などの硬い物質でできた製品を掴むのはロボットもお手の物だが、食品業界の製品は柔らかかったり形が不揃いだったりと掴むのが難しく、また制御を間違えば製品自体の形が崩れてしまう。そこで、オムロンのカメラ、ロボット、そしてそれらを動かすコントローラをひとまとめにするシステムをつくり、ロボットがモノの形を見て、形に合わせる掴み方を考えられるようにする。これによって、コロッケや饅頭といった従来であれば柔らかさゆえにピックアップの難しかった製品でも1分間に60個以上という驚異的なスピードで対応できるようになったのだ。

実際のデモマシン

ロボットだけでなく、生産ライン全体にとって最適なスピードを追求

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オートメーションセンター エンジニア 清田勇祐

しかし、生産ライン内の一つの場所が速く、過剰に製品を供給すれば製品が溢れ生産ライン全体が停止してしまう。清田は、お客様から依頼された工程だけでなく、生産ライン全体の効率を提案した。

依頼された工程の改善だけではない、工場全体の生産性を考えた清田の提案は、期待を大きく上回り、お客様の「やってみよう」という声につながった。こうして完成したシステムは、現場の作業に大きな改善をもたらした。

新たな技術が生まれるのはお客様の現場

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オートメーションセンターと呼ぶ社内のラボでは、お客様の課題を検証できる

しかし、この解決はモノづくり現場が抱える問題の一部でしかない。100の現場があれば100の課題と解決策がある。その一つひとつに入り込み、モノづくりに精通したエンジニアが、お客様とともに知恵を絞っていく必要がある。

これを実現させるのが、「オートメーションセンター」だ。オートメーションセンターは、お客様と一緒に、最適な生産ライン構築を実機で検証することができる、製造業向け最先端FA技術の開発拠点である。

「一つひとつの現場に合った課題解決、そして、新たな課題に直面したときは、知恵を出し合いながら、新たな生産ラインの構築のお手伝いができるのがオムロンの強みです。お客様がモノづくりを究め続ける限り、私たちの挑戦も終わりません」

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