オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長 CEO:辻永順太)の社員が、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)主催の「令和7年(第74回)電機工業技術功績者表彰において、奨励賞を受賞しましたことをお知らせいたします。
電機工業技術功績者表彰は、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)が昭和27年以来毎年1回、電機工業の進歩発達に貢献した者を表彰するもので、今年度で74回目を迎えます。今年度は、オムロンから、ものづくり部門で2テーマ、IoT・AI・DX部門で1テーマが受賞いたしました。
■ものづくり部門
【受賞テーマ】
シミュレーションを活用した汎用電源機器の電気的外乱ロバスト評価技術の開発
【受賞メンバー】
技術・知財本部 デジタルソリューションセンタ デジタルデザイン部 CAE・最適化Gr.
藤田浩志、福田雅也、辻亮輔
【受賞内容】
様々な環境で使用される産業用の汎用電源製品では、その多岐に渡る厳しい使用環境に応じた外乱へのロバスト性が求められます。また、近年、開発生産性向上の手段の1つとしてCAEが普及していますが、複雑な製品においては膨大な計算量となるため実用性に乏しく、外乱の検証においては活用が進んでいませんでした。
今回、当社が開発した技術により、これまで実機検証依存であった、制御を含む複雑な動作の電気機器製品の外乱ロバスト性の検証を、実機に頼らず設計の中で実行できるようになりました。その結果、不安定な動作条件の発見に要する工数を従来比で最大約50%にまで削減し、開発工数の大幅な削減を見込めるようになりました。
■ものづくり部門
【受賞テーマ】
安定性解析とシミュレーションを活用したサーボドライバパラメータ調整技術の開発
【受賞メンバー】
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 ドライブ事業部 開発部
原田浩行、藤岡巧、海田僧太
【受賞内容】
変種変量生産においては、個々の装置でのタクトアップと立ち上げ時間の短縮が求められます。しかし、現在主力となっているパラメータの調整手法では、位置決め時間や追従誤差といった実現性能を十分に引き出せない、また装置の個体差やワーク変更といった僅かな動作環境の変化で制御が不安定になる可能性があるといった問題がありました。
今回、当社が開発技術により、安定性を定量的に評価し、調整の専門家ではなくても装置の最大性能を短時間に引き出せるサーボパラメータのオートチューニングが可能となりました。その結果、現場作業者には難解な調整完了条件設定が不要となり、またこれまで数日かかっていた調整時間を数分にまで短縮することができました。
■IoT・AI・DX部門
【受賞テーマ】
製造現場での機械学習運用におけるコンセプトドリフト検知手法
【受賞メンバー】
アドバンストソリューション事業本部 ビジネスデザイン部 川ノ上真輔
【受賞理由】
近年、製造現場では機械学習を用いた製品不良予測のための異常検知の導入が増加しています。しかし、製品の多様化や製造効率化に伴う、作業員や機械・材料・手法に起因する様々な変動により、従来の異常検知モデルでは誤検知の発生が増加する傾向にありました。
今回の当社の取り組みでは、多岐にわたる異常検知アルゴリズムの中から、高速な推論を特徴とする手法を採用し、運用面で課題だったリアルタイム性や運用面でのスキル・コストについても効率化することができました。また今後は、過去の異常度を用いた新たな評価や多数の異常検知モデルの統合などの用途の拡大が見込まれ、数学的知見を必要とする機械学習の運用課題を解決する取り組みとして、その効果が期待できます。
<関連情報>
▸JEMA表彰事業|電機工業技術功績者表彰
<オムロン株式会社について>
オムロン株式会社は、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品、そしてこれらの事業をつうじて取得した多種多様なデータを活用したデータソリューション事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、現在では全世界で約2.7万人の社員を擁し、130ヶ国以上で商品・サービスを提供し、よりよい社会づくりに貢献しています。詳細については、https://www.omron.com/jp/ja/ をご参照ください。