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公益財団法人 立石科学技術振興財団 第4回立石賞 受賞者決定のお知らせ

  • 2016年3月9日
  • 公益財団法人 立石科学技術振興財団

公益財団法人 立石科学技術振興財団(理事長:立石義雄・オムロン株式会社名誉会長、所在地:京都市下京区)は、このたび、第4回立石賞の受賞者を決定しました。

立石賞は、2010年の立石科学技術振興財団設立20周年を記念して創設した顕彰事業です。賞の授与を隔年で実施しており、今年が第4回目となります。立石賞は功績賞と特別賞の2つで構成しています。功績賞は、過去に財団から研究助成を受け、その後の研究活動において顕著な業績をあげた研究者に対して授与する賞です。また、特別賞は、財団の趣意に沿った日本発の研究・技術開発において顕著な業績を上げた研究者に対して授与する賞です。各賞に対し、賞状、賞碑および賞金(500万円)をもって顕彰します。今年は、公募で受け付けた推薦の中から、当財団選考委員会および理事会にて、以下のとおり、功績賞2名と特別賞1名を選出しました。

立石賞 受賞者一覧

【功績賞】
氏名/年齢 染谷 隆夫(そめや たかお)/47歳
所属機関・職位 東京大学大学院 工学系研究科 教授
授賞表題 人間と機械を調和する伸縮性エレクトロニクスに関する先駆的研究
氏名/年齢 山本 裕(やまもと ゆたか)/65歳
所属機関・職位 京都大学 名誉教授、CentraleSupélec (パリ) 客員教授
授賞表題 デジタル制御によるアナログ特性復元技術の確立と実用化
【特別賞】
氏名/年齢 浅川 智恵子(あさかわ ちえこ)/57歳
所属機関・職位 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 IBM フェロー
授賞表題 WEBアクセシビリティ技術開発の先駆者的貢献

各授賞理由と受賞者のプロフィールについては「授賞理由と受賞者のプロフィール」を参照ください。

表彰式および記念講演について

表彰式と受賞者による記念講演を次の通り公開します。一般の聴講も可能です。

日時 : 5月18日(水)午後1時30分~5時
場所 : グランドプリンスホテル京都(京都市左京区宝ヶ池)
聴講申込方法 : 立石科学技術振興財団HP(http://www.tateisi-f.org/)参照

立石科学技術振興財団について

当財団は、技術革新と人間重視の両面から真に最適な社会環境の実現に寄与することを目的に、エレクトロニクスおよび情報工学の分野で、人間と機械の調和を促進する研究および国際交流に対する助成活動を行っています。故立石一真(当社創業者)および故立石孝雄(当社元代表取締役会長)がそれぞれ保有するオムロン株式会社の株式を拠出し、さらにオムロン株式会社が寄付金を出捐して設立されました。基本財産はオムロン株式会社の株式2,625,000株です。

授賞理由と受賞者のプロフィール

第4回立石賞 功績賞 受賞者
氏名 染谷 隆夫(そめや たかお)
所属・職位 東京大学大学院 工学系研究科 教授
授賞表題 人間と機械を調和する伸縮性エレクトロニクスに関する先駆的研究
受賞者の業績

受賞者は、「人間と機械の調和を実現するためには、“人間と親和性の高い柔らかいエレクトロニクス”が本質的に必要である」という認識にたち、有機材料を活用して既存の固いデバイスを補完する伸縮性エレクトロニクスの分野で、その黎明期から先駆的な貢献をしている。伸縮性エレクトロニクスは、既に携帯電子機器の曲面タッチパネルなどに実用化されつつあるが、特に受賞者は「大面積化の容易さ」と「曲げやすさ」という有機半導体の二大特徴を巧みに捕らえ、世界で初めて「アクティブマトリックス方式による大面積なフレキシブルセンサ」の開発に成功した。このセンサは、皮膚のように伸縮自在で、自由曲面上で温度分布と圧力分布をリアルタイムで同時に計測できる電子人工皮膚として有望視されている。この成果に基づきベンチャー企業が設立され、皮膚感覚のウェアラブルデバイスであるE-skinの産業化を目指している。触覚と温度感覚を付加した衣服を着ることで、姿勢や動作、体表温度分布を自然な状態で測ることができ、スポーツ科学における計測、安心で快適な環境の提供、高齢者の支援活動など幅広く利用される。

なお受賞者は、2003年に当財団から「情報活用社会に整合するプラスティック高集積回路の試作研究」の課題で助成を受け、その成果も本研究活動の充実と発展に寄与した。

専門技術の
概要・説明
アクティブマトリックス方式による大面積なフレキシブルセンサ
個々の画素にトランジスタを組み込んで能動的にディスプレイの各画素を駆動する方式(アクティブマトリックス方式)にヒントを得て、柔軟なシート上に作りこんだフレキシブルな有機トランジスタのアクティブマトリックスを使い、膨大な数のセンサからデータを個別に感度良く読み出す方式を考案した。このセンサは、ヒトの表面に貼り付けて装着感なく生体情報を計測するシート型システムへと発展している。これらは、ウェアラブルエレクトロニクスやヘルスケア・医療への応用が期待されるなど、人間と機械を調和する新しいエレクトロニクス分野を拓いている。
学歴
1992年3月 東京大学工学部電子工学科卒業
1997年3月 東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了、博士(工学)
職歴
1997年4月 東京大学生産技術研究所 助手、1998年4月 同 講師
2000年1月 東京大学先端科学技術研究センター 講師、助教授を歴任
2003年5月 東京大学工学系研究科量子相エレクトロニクス研究センター 助教授
2009年4月 東京大学工学系研究科電気系工学専攻 教授(現在に至る)
その他、2009年 米国プリンストン大学Global Scholar、及び2015年 理化学研究所 主任研究員、創発物性科学研究センター チームリーダーを兼務
主な受賞歴
2009年3月 第5回日本学術振興会賞「有機トランジスタの基礎と大面積エレクトロニクスへの応用に関する研究」
2014年4月 市村学術賞 第46回功績賞
氏名 山本 裕(やまもと ゆたか)
所属・職位 京都大学 名誉教授、CentraleSupélec (パリ) 客員教授
授賞表題 デジタル制御によるアナログ特性復元技術の確立と実用化
受賞者の業績

受賞者は、デジタル化によって失われた自然界のアナログ情報の復元をライフワークとし、機械による効率的処理と人間の五感にとって心地よい出力との両立を実現した。その基礎理論として、デジタル制御理論におけるリフティングという画期的な手法を世界に先駆け提唱、推進し、さらにこの理論にもとづいたアナログ信号復元技術は、受賞者のイニシャルから“YYフィルタ”という通称で呼ばれ、この分野における日本発の標準として確立している。この成果は、画像処理や補聴器用のフィルタ設計特許として認められ、その特許に基づく音響処理用LSIは、多くの携帯音楽プレイヤーや携帯電話等に搭載され、世界中で利用されている。その数は、累計6,000万個に及んでいる。

さらに、受賞者は過去10年にわたりIEEEのControl Systems Societyの運営を通じて同Societyの発展と日本の制御コミュニティの国際化にリーダーシップを発揮してきた。

なお、受賞者は、1992年に当財団から「デジタル制御系の最適化・知能化の研究」の課題で助成を受け、その成果も本研究活動の充実と発展に寄与した。

専門技術の
概要・説明
リフティング:
この手法は、デジタル制御においては学会の標準(G. S. Axelby Award受賞)となり、また音響処理、画像処理においては、失われた細部情報(高周波情報)を最適補間する新しい手法として応用され、国際的に高い評価を受けている(IEEE CSS Transition to Practice Award)。現在、この手法は制御分野で標準となり、基本設計プログラムに組み込まれるだけでなく、必要以上に速いサンプル周期を採る必要がなくなり、デジタル制御系の性能向上に大きく貢献し、世界の制御学会においてあまねく知られている。
学歴
1972年3月 京都大学工学部、数理工学科 卒業
1974年3月 同大学院、工学研究科 数理工学専攻 修了
1978年8月 米国州立フロリダ大学、大学院数学科博士課程修了、Ph. D
職歴
1978年10月 京都大学工学部、数理工学科 助手
1987年5月 同大学大学院、工学研究科 応用システム科学専攻 助教授
1997年8月 同大学大学院、工学研究科、同専攻 教授
1998年4月 同大学大学院、情報学研究科、複雑系科学専攻 教授
2015年3月31日まで同教授
2013年 IEEE Control Systems Society President 就任
2015年4月 京都大学 名誉教授
主な受賞歴
1996年 IEEE Control Systems Society, G. S. Axleby Outstanding Paper Award 受賞
2007年 文部科学大臣表彰、科学技術賞(研究部門)受賞
2009年 システム制御情報学会 産業技術賞
2012年 IEEE Control Systems Society, Transition to Practice Award 受賞
第4回立石賞 特別賞 受賞者
氏名 浅川 智恵子(あさかわ ちえこ)
所属・職位 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 IBM フェロー
授賞表題 WEBアクセシビリティ技術開発の先駆者的貢献
受賞者の業績

受賞者は、IBMで一貫して情報アクセシビリティの研究開発に取り組んできた。1980年代にはデジタル点字データをネットワーク上で共有するシステム、1990年代にはWebを視覚障がい者(視障者)の新たな情報源にするための音声合成を用いた様々な技術開発とその体系を確立、その後、アクセシビリティを考慮したWebコンテンツの作成編集・変換技術やその評価ツールなど技術基盤を構築した。これら一連の技術は、IBM「ホームページリーダー」やEasy Web Browsing、aDesignerなどに代表される製品化、Webアクセシビリティの標準化・法制化に結び付けられた。そのソフトウェアは無償公開され、日本のみならず世界の視障者の情報環境を一変させ、そのQuality of Life(QOL)を著しく高めた。さらに、女性および障がいを持つ人々を応援し、メンターやコーチとして世界中の若手技術者や研究者をサポートしている。また最近では、障がいを持つ人だけでなく、高齢者や発展途上国の非識字者など、様々な困難を持つ何人も情報化社会に参加できることを目指し、技術によって多くの人々のQOLを向上させることに情熱をもって取り組んでいる。

専門技術の
概要・説明
IBM「ホームページリーダー」:
11ヶ国語に対応した世界初の実用的な音声WEBブラウザ。視障者が独力で情報検索やオンラインショッピングなどを可能にする情報基盤。
Easy Web Browsing:
高齢者や障がい者のアクセシビリティが配慮されていないWebコンテンツを効率的に変換し補助するWebアクセスツール。全国の自治体Webサイトや海外などで広く活用されている。
aDesigner:
障がい者がWebアクセスする際に遭遇する問題点を制作者が一目で効率よく発見修正できる視覚化ツール。「ホームページリーダー」の一部として製品化されると共に、総務省が日本工業規格JIS X 8341-3の普及促進に向け無償公開した評価ツールの技術基盤として採用されるなど、WEBアクセス環境の改善、評価などに広く利用されている。
学歴
1982年3月 追手門学院大学英文科 卒業
2004年3月 東京大学工学系研究科 先端学際工学専攻 博士課程修了 博士(工学)
職歴
1984年3月 日本アイ・ビー・エム(株) 東京基礎研究所入社
2005年1月 同 Senior Technical Staff Member 就任
2007年4月 同 Distinguished Engineer 就任
2009年6月 同 IBM Fellow 就任 現在にいたる
2014年9月 カーネギーメロン大学 客員教授
(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究所)
主な受賞歴
1999年12月 厚生省 障害者自立更生等厚生大臣表彰
2003年6月 Hall of Fame(WEBアクセシビリティ向上への貢献)
WITI (The Women in Technology International)
2004年12月 日経BP社 日本イノベーター大賞(IT分野でバリアフリーの実現に大きく貢献)
2009年5月 情報処理学会 喜安記念業績賞(Webアクセシビリティ技術普及への貢献)
2010年3月 情報処理学会フェロー
2010年11月 Achievement Award(視覚障害者のITアクセシビリティへの貢献)
SWE (Society of Women Engineers)
2011年3月 Women of Vision Award(アクセシビリティ分野の研究においてリーダーシップを発揮)ABI (Anita Borg Institute for Women and Technology)
2011年4月 文部科学大臣表彰 科学技術賞 開発部門
2013年4月 紫綬褒章 科学技術 (音声WEBアクセス技術の開発)
2015年10月 津田梅子賞

公益財団法人 立石科学技術振興財団の概要

名称 公益財団法人 立石科学技術振興財団
所在地 京都市下京区塩小路堀川東入南不動堂町801番地
設立年月日 平成2年(1990年)3月6日
目的 エレクトロニクス及び情報工学の分野で、人間と機械の調和を促進する研究に関する活動を支援し、もって技術革新と人間重視の両面から真に最適な社会環境の実現に寄与することを目的とする。
事業内容 エレクトロニクスおよび情報工学の分野で、人間と機械の調和を促進するための研究に関する活動を支援する。
(1)研究への助成
・研究助成(A)  250万円以下/件、20件程度/年
・研究助成(B)  500万円以下/件、2件程度/年
・研究助成(C)  50万円以下/件・年(博士課程後期在学中、最長3年)、10件程度/年
・研究助成(S)  3,000万円/3年、2015年度は3件程度(非定期実施)
(2)国際交流への助成
・国際会議発表   40万円以下/件
・短期在外研究   70万円以下/件
 ※上記合わせて20件程度/年
・国際会議開催   100万円以下/件、15件程度/年
(3)研究成果に対する顕彰
・立石賞 功績賞  2件程度/隔年、副賞500万円/件
・立石賞 特別賞  2件程度/隔年、副賞500万円/件
(4)研究成果の普及
・成果集の発行 1回/年
(5)その他、本財団の目的を達成するために必要な事業
事業年度 毎年4月1日から翌年3月31日まで
事業実績 設立以来2015年度までに累計985件、総額16億4,222万円の助成(立石賞7件含む)
評議員 9名
役員 理事長  立石 義雄(オムロン株式会社 名誉会長)
常務理事 田中 敏文
他 理事7名 監事2名
基本財産 オムロン(株)株式2,625,000株
特定財産 現金11億円

立石賞の概要

  1. 設立の目的
    立石賞は、オムロン株式会社創業者立石一真氏および当財団の初代理事長立石孝雄氏の産業・技術の発展に対する功績および人材の育成に対する貢献を記念して設立しました。

  2. 対象者および賞の種類
    顕彰の対象者は、エレクトロニクスおよび情報工学の分野で、人間と機械の調和を促進し、技術革新と人間重視の視点において顕著な業績をあげた個人で、次のとおりとします。

    (1)過去に本財団の研究助成を受け、顕著な研究業績をあげた者。
    (2)当財団の趣意に沿った日本発の研究・技術で顕著な業績をあげた者。

    (1)に対するものを立石賞功績賞(Tateisi Prize, Achievement Award)と称し、
    (2)に対するものを立石賞特別賞(Tateisi Prize, Grand Award)と称します。

  3. 顕彰
    顕彰は、賞状・賞牌及び賞金(500万円)をもって行います。立石賞は隔年実施とし、1回につき立石賞功績賞2名程度、立石賞特別賞2名程度、合計4名程度への贈呈を予定しております。ただし、該当者がいない年度においては顕彰を実施いたしません。

  4. 第4回立石賞の募集期間
    2015年4月1日~2015年6月30日

  5. 第4回立石賞の表彰式・記念講演
    2016年5月18日(水) 午後1時30分より グランドプリンスホテル京都にて開催

詳細お問合せ先
公益財団法人 立石科学技術振興財団 
事務局長 麻 潤三(あさじゅんぞう)
〒600-8234 京都市下京区塩小路堀川東入南不動堂町801番地
TEL:075-365-4771 
http://www.tateisi-f.org/

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