センサネットワーク実現化のための「スマート・センシング・モジュール」を開発-環境分野などに対する全体最適化に向けた技術開発-

  • 2010年9月29日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長:作田久男)は、センサネットワークの実現に不可欠な次世代小型センサ機器「スマート・センシング・モジュール(Smart Sensing Module)、以下SSM」を開発しました。
これまで、センサネットワークの実現に向けては、センサ機器に内蔵する電池を長寿命化するための省電力化が課題でした。また、数多くのセンサ機器を設置すると継続的にセンサのデータを測定するために、センサ機器とサーバ間の通信量が膨大となることから、ネットワークの負荷軽減に向け通信量を減らす必要がありました。

当社は、この状況を踏まえSSMの電子回路の工夫とともに、ソフトウェアによるアルゴリズムを知恵としてSSMに組み込みました。具体的にはSSMがセンサのデータをサーバに送信し、サーバで生成した知恵を受け取り、その後継続収集したデータを自律的に分析・判断し価値あるセンサ情報として選定します。その選定した情報のみをサーバに通信するために通信頻度を最適化します。
これにより、電力消費量が最も多い無線通信とセンサの測定頻度を大幅に低減し、電池の長寿命化とネットワークの負荷低減を実現します。結果、従来比で通信量を5分の1以下、電池の寿命を5倍以上(5年以上)にすることができ、センサネットワークの実用化が可能と判断される性能に達しました。

SSMを活用したセンサネットワークが実現すれば、電源の配線レス化やセンサ機器の設置費と保守費のローコスト化が図れます。活用事例としては、製造現場の場合は、生産設備などにSSMを取り付けて、機器毎の稼動状況、消費電力量、作業者の行動、照明設備や空調設備の状況を把握することで、生産効率やエネルギー効率を最適化するという要望に応えます。また、オフィスビル、駅や商業施設では、SSMを領域内の様々な場所に配置することで、温度や人の有無だけではなく、人の流れや混雑の状態を予測し、空調をきめ細かく制御することが可能です。これにより空調を最適に制御し、省エネルギー化の要望にも応えることができます。

今後、SSMの知恵を高度化させ、SSMに学習機能を付加することや、SSM同士の協調により予測・判断の性能を向上させていきます。また、製品化に向けて環境マネージメント、生産管理、セキュリティおよびヘルスケアなどの分野で、実証実験を進めていく予定です。
なお、10月5日(火)から9日(土)まで、幕張メッセで開催される「シーテックジャパン2010」に、SSMを技術出展します。

技術解説

  1. SSMの技術概要
    測定されたセンサのデータ内容を分析・判断し、無線通信とセンサの測定頻度を変化させる知恵を初めて試作機に組み込みました。また、SSMを構成する機能部品を任意に組み合わせることを可能とする設計思想で開発しました。これにより、多彩なセンサを用途に応じて組み込むことができます。また電源として電池の換わりに既開発の環境振動発電デバイスを採用することも可能です。このため安心・安全、健康および環境分野など幅広い分野で、用途に柔軟に対応したSSMの製品化を容易にします。

  2. SSMの構成
    今回の試作機は多様な分野の実証実験に対応させるため、センサを多数取り付けるコネクタを装備するなど、機能部品を柔軟に組み替え可能な構造としました。

    表1.SSMの構成
    制御部 SSM全体を制御する部分。知恵となるソフトウェアによるアルゴリズムを搭載。
    センサ 人や物の状態や物理量を検出する部分。最大12種類のセンサによる同時センシングや複数のセンサの組み替えが可能。
    センサの種類:温度、湿度、照度、加速度、CO2、気体フロー、赤外線、絶対圧およびON-OFFセンサ
    (今後の搭載予定:マイクロフォン、GPS、カメラモジュール、電流センサ)
    無線通信 SSM同士やサーバ間で無線通信をする部分。
    ZigBee®またはWiFi
    電源 低消費電力でSSMを駆動するための電源制御機能を搭載。
    電源は、環境振動発電デバイス、太陽電池、電池、AC電源から選択可能
    寸法 縦90mm 横55mm 高さ20mm(電池CR123A含む)

  3. SSMの技術的特長
    (1) 拡張性の高い共通基板(プラットフォーム)
    SSMの構成要素であるセンサ、無線通信、電源の各機能を分離し、メイン基板とコネクタ接続にすることで、簡易な拡張性を実現しています。
    センサ: 最大12種類のセンサ接続では、共通コネクタ(MicroUSB)を利用し、センサの追加や付け替えを行う場合でも、ユーザはSSM内部のソフトウェアを書き変えることなく、自動的に計測可能な状態にするアルゴリズムをプラットフォームに実装しました。
    無線: メイン基板と無線モジュール間の通信プロトコルを共通化することにより、無線モジュールを付け替えるだけでZigBee®とWiFiの切り替えが可能です。
    電源: 電池やAC電源、太陽電池などの入力電源に対応するために、電源制御回路は個別の電源モジュールとして設計しました。
    特に振動発電に関しては、オムロン独自の電源モジュールです。
    これらセンサや無線通信方式、電源を組み替えることにより、センサネットワークの活用が期待される様々な用途への対応が可能となります。
    (2) 計測・送信タイミングの動的変化
    従来は送信間隔が一定であったため、データの重要性に関わらず単純に送信を行っていました。試作機においては、状態変化タイミングの予測により、データの重要性を判断することで計測タイミングを動的に変化させ、データ量を削減しています。データ量の削減に伴い、電力消費が大きい無線通信の頻度が減ることで電池の長寿命化が可能となります。
    図1.計測タイミング事例
    図1.計測タイミング事例

外観

図2.SSM試作機 外観
図2.SSM試作機 外観
  図3.用途限定モデル 外観
図3.用途限定モデル 外観

右:

加速度センサ1種、振動発電モジュール
寸法 縦25mm 横25mm 高さ21mm

左:

温度、湿度、照度センサ3種、ボタン電池
寸法 縦24mm 横24mm 高さ11mm

詳細お問い合わせ先
オムロン株式会社
コーポレートコミュニケーション部長 笹田 淳
〒600-8530 京都市下京区塩小路通堀川東入
TEl : 075-344-7175

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