「20mの長距離検出」を実現したセーフティライトカーテンを発売
- 2008年1月10日
- オムロン株式会社
オムロン株式会社は、下記の新商品を1月11日から発売します。
セーフティライトカーテン 形MS4800シリーズ <イメージ写真>
セーフティライトカーテンに対するニーズの変化
セーフティライトカーテンは、産業用ロボットや機械設備の危険箇所での労働災害防止を目的として、作業員の人体検出に使われている光電式の透過型センサの1種で、主に「進入、通過検知」用途に使用されます。これは主に機械やロボットの定常運転時に、作業員の指、手、腕、脚など人体の一部が検出範囲に進入・通過した場合、それを検知し、機械を停止する、もしくは再起動を許可しないといった使い方です。
当社では、1997年に国際安全規格適合のセーフティライトカーテンを初めて商品化して以来、顧客ニーズの変化に対応しながらセーフティライトカーテンの商品バリエーションを拡大してまいりました。特に近年では「安全性と生産性の両立」を実現するための機能を搭載したセーフティライトカーテンを開発・販売しております。
昨年4月の労働安全衛生法の改定により、機械・装置メーカによる機械本体への安全装置の組み込みだけでなく、機械のユーザによるリスクアセスメントの実施が法令化され、機械設置後のユーザによる安全確保の取り組みが拡大しております。また従来安全対策が充分ではなかった生産設備に対して、後から追加の防護方策を実施するケースも増えています。
このような機械設置エリアでの作業員防護のためには、生産ライン全体を物理的な柵で囲う方法が最適ですが、生産性やメンテナンス性が犠牲になる場合もあるため、柵の代わりにセーフティライトカーテンを設置するアプリケーションが増えています。
従来のセーフティライトカーテンは、検出距離が最大9mであったため、ある程度大きな設備が複数台併設されている場合などは、セーフティライトカーテンを複数台使って機械を囲う必要がありました。また液晶業界のように素材サイズが年々大きくなる傾向にある設備では、従来品の検出距離では不十分なケースが増えてきました。
今回発売の形MS4800シリーズは、検出距離を一挙に従来比2倍以上の20mまで伸ばすことで、今後更に増加することが予測される長距離検出の必要な防護アプリケーションを実現します。
主な特長
大型設備に最適な最大検出距離 20mを実現
投受光光学系と回路系の最適化設計により、従来比2倍以上の最大検出距離20mを実現しました。 機械設備の2側面からの人体進入を検知する場合、従来品では2台のセーフティライトカーテンを1面毎に設置する必要があった場合も、光量減衰率が10%程度の反射ミラーで光線を90度折り曲げることで、1台のセーフティライトカーテンで2側面を同時に防護できるようになりました。
個別光軸表示灯の装備により長距離でも簡単な光軸合わせを実現
多数個の投受光光軸が内蔵されるセーフティライトカーテンにおいては、投光器と受光器の光軸を一致させる作業に時間がかかり、特に検出距離が長くなるほど光軸合わせが困難になるという課題がありました。
形MS4800シリーズのセンサ本体には、光軸1つひとつに入遮光状態を示すLED表示灯(個別光軸表示灯)を装備しました。これにより検出幅の長いセーフティライトカーテンでも、どの場所が位置ずれしていて光軸が合致していないのかが一目で判断できるようになり、全光軸を合致させる作業時間を大幅に短縮いたしました。振動、衝撃の多い現場に最適な堅牢ケースを採用
完全な自動化ラインではなく、作業者がワーク供給と加工指示を手作業で行うようなセル型設備では、金属の大型ワークなどをセーフティライトカーテンと衝突させてしまうとライトカーテンが破損してしまうといった課題がありました。
形MS4800シリーズでは、従来品に比べて肉厚(最薄部で3mm以上)な堅牢タイプのアルミケースを採用。振動や衝撃の多い設備へも安心して設置していただくことができます。直観的に操作可能なプログラミング診断モジュールで設備を止めることなく作業を継続
セーフティライトカーテンの設置される機械の状況に応じて、光軸を一部分無効にするためのブランキング機能などアプリケーション毎の設定変更が必要な場合や、動作状態やエラー発生状態のモニタを行うために、液晶表示付きの専用ハンディツールを別売アクセサリとして用意しました。セーフティライトカーテン本体のツール接続用コネクタに本ツールのコネクタ付きケーブルを接続し、液晶ディスプレィに表示されるメニュー画面に従って直観的に設定変更やモニタを行うことができます。 また従来品ではこのような設定用ツールを接続すると安全用の出力が即座にオフするため、実稼働中にオンラインでの使用は不可能でしたが、今回発売するツールは実稼動中に接続しても安全用出力をオフしないため、オンラインでのモニタ作業やプログラム作業が可能になりました。
国際規格に適合
リスクアセスメントに基づく安全防護策として使用される人体検出センサにおいては、国際規格への適合商品であることが今や必須条件となっています。形MS4800シリーズはセーフティセンサの国際規格であるIEC61496-1/IEC61496-2に適合し、安全方策としてカテゴリ4までの要求を満足する「タイプ4」と呼ばれるセンサです。
EU公認機関であるTUV Rheinlandおよび米国第三者認証機関であるUL/CSAから国際規格適合の認証を取得しています。専用コントローラ無しでカテゴリ4の安全回路を実現可能
形MS4800シリーズ ではセンサ本体に外部リレーモニタ機能を内蔵しています。形MS4800の出力と接続して機械停止・再起動に使用されるコンタクタやセーフティリレーのNC接点をこの外部リレーモニタ入力と接続することで出力接点の溶着を監視するためのフィードバック回路を構成できます。これにより安全方策カテゴリ4の安全回路を専用コントローラ無しで実現します。
主なアプリケーション
自動車組立ライン、液晶生産ライン、工作機械や金属加工機械、成型機などの自動運転エリア、産業用ロボット稼動エリア、自動倉庫などにおける人体進入、通過検知用途で、特に長距離検出が必要とされるアプリケーション
販売目標
5000台/年
価格
形MS4800シリーズ 本体:オープン価格
(専用ケーブル、プログラミング診断モジュール、反射ミラー、ミューティングターミナルなど別売)
生産工場
OMRON SCIENTIFIC TECHNOLOGIES, INC.(米国)
主な仕様
分類 | アドバンスドシリーズ (ブランキング機能、ミューティング機能内蔵) |
ベーシックシリーズ (基本機能のみ) |
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形式 | 単独使用 | MS4800A-30 | MS4800A-40 | MS4800B-30 | MS4800B-40 |
直列連結用 | MSF4800A-30 | MSF4800A-40 | MSF4800B-30 | MSF4800B-40 | |
センサの種類 | タイプ4 セーフティライトカーテン | ||||
検出距離 | 0.3 ~ 20m (工場出荷時 0.3~8m、プログラミング診断モジュール(PDM)で選択可能) |
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最小検出物体 (不透明体) |
直径φ30mm | 直径φ40mm | 直径φ30mm | 直径φ40mm | |
光軸ピッチ | 20mm | 30mm | 20mm | 30mm | |
光軸数 | 14~106 | 12~68 | 14~106 | 12~68 | |
検出幅 | 280~2120mm | 360~2040mm | 280~2120mm | 360~2040mm | |
有効開口角(EAA) | IEC61496-2に基づく。 投光器、受光器とも検出距離3m以上の時±2.5°以内 | ||||
光源(発光波長) | 赤外LED(波長870nm) | ||||
電源電圧(Vs) | DC24V±20%(リップルp-p10%以下) | ||||
制御出力(OSSD) | 出力トランジスタ PNP×2個、負荷電流625mA以下(DC24V時) | ||||
その他の出力 | 補助出力×1 | ||||
出力動作モード | 制御出力:入光時ON | ||||
補助出力:設定ツールで設定可能 | 補助出力:制御出力同期 | ||||
テスト機能 | セルフテスト(電源投入時および通電時) 外部テスト (テスト入力による投光停止機能) |
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安全関連機能 | オートスタートモード、インターロックモード切替 外部リレーモニタ ミューティング(MSF4800Aのみ、別売アクセサリ 形MS4800-RM6が必要) 各種ブランキング機能 |
オートスタートモード 外部リレーモニタ |
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直列連結 | 形MSF4800Aもしくは形MSF4800Bのみ 連結数:4セットまで、総光軸数:256光軸まで |
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相互干渉防止機能 | プログラム診断モジュールにより、スキャンコード(A/B)切り替え | ||||
保護回路 | 出力負荷短絡保護、電源逆接続保護 | ||||
応答時間(単体使用時) | ON→OFF:14ms~32ms以下、OFF→ON:320ms以下 詳細は、取扱説明書を参照ください |
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電源投入後立上がり時間(単体使用時) | 3.5s 以下 | ||||
保護構造 | IP65(IEC60529) | ||||
接続方式 | 電源コネクタ(M12、投光器:5ピン、受光器:8ピン) 直列連結コネクタ(M12、投光器:4ピン、受光器:4ピン) |
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適合規格 | IEC61496-1,EN61496-1,UL61496-1: タイプ4 ESPE (Electro-Sensitive Protective Equipment), IEC61496-2,prEN61496-2, UL61496-2:タイプ4AOPD(Active Opto-electronic Protective Devices) IEC61508: SIL3 |
- 詳細お問い合わせ先
- オムロン株式会社
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
セーフティコンポ事業部
商品開発部 商品計画課 三角文彦
〒600-8530 京都市下京区塩小路通堀川東入
TEL:075-344-7093