中国農村部の子どもたちに公平な学びの機会を 読書を通じて子どもたちの心に輝きをもたらし、よりよい社会を実現する

広大な土地に14億の人口を擁する中国において、全国民への平等な教育機会の提供は、国家の最重要課題の一つです。2022年、政府は、都市部と農村部の教育資源の格差是正に向けた、農村活性化戦略を打ち出しました。そのような中、オムロン 中国は、現地の公共財団法人『中国光華科技基金会(China Guanghua Foundation)』と連携し、農村部における教育機会の平等化を目指す取り組みを開始しました。

 

子供たちの読書機会に関する地域格差の現状

2021年、農村部の子どもたちの読書機会の実態把握を目的に、陝西省の都市部と農村部の小学生を対象にアンケート調査が行われました。その結果、財政事情や文化的背景の違いにより、子供たちの読書資源へのアクセスに格差が存在することが明らかになりました。続いて2022年に行われた調査では、農村部の小学生児童においては、持っている本の数が10冊未満の子供が、全体の3分の2以上であることが判明し、都市部と農村部で子供たちの読書機会に不均衡が存在していることが示されました
また同年、剣閣県四川盆地の北端に位置する小学校と、貴州省貞豊県にある田字格必克実験小学校の児童を対象に行われた調査においても、学校の図書館に貯蔵される本の数が児童数に対して十分確保できておらず、蔵書の入れ替えもあまり頻繁でないなど、読書に関する児童のニーズを満たしきれていないという結果が明らかになりました。

Data Survey 「農村部と都市部の子どもの読書習慣の違い」https://www.163.com/dy/article/G8E1N7AH0524SJAP.html
「2022年 農村部の小学生の読書の実態調査報告書」 Nanwang Zhixing Education, Development Fund and Chinese Academy of Press and Publication

 

オムロン中国の取り組み:読書を通じて子どもたちの心に輝きを

このような現状に対しオムロン中国は、公共の福祉の増進を目標に掲げる『中国光華科技基金会(China Guanghua Foundation)』と協力し、農村部における教育水準の向上・活性化を目指した公益プロジェクト『Fostering Fairness in Education and Brightening the Child's Heart(公平な教育を実現し子どもたちの心を明るくする)』を立ち上げました。そして、その基金を通じて、剣閣県の小学校に21,068冊、貴州省貞豊県にある小学校に23,913冊の本を贈りました。児童1人当たりの本の数が大幅に増え、ジャンルも広がったことから、子どもたちの読書に対する関心が飛躍的に高まり、手あたり次第に本を手に取る子もいれば一冊の本をじっくり読む子もおり、目の前に大きく開けた刺激的な世界を楽しんでいる子供たちの様子が私たちに報告されました。
小学校から届いたお礼の手紙には、このように記されていました。「本は希望をもたらし、希望は夢につながり、夢を持つことで素晴らしい人生の設計図を描くことができます。」

662_2.jpg届いた本を手に取って読む田字格必克実験小学の児童

 

公共福祉のプロと手を携えて、農村部における教育の充実を推進

オムロン中国の取り組みはこれにとどまらず、現在、中国光華科技基金会の協力のもと、農村部に質の高い教育資源の拡充を図る二つの公益事業「光華珠海公益工程(Guanghua Shuhai Project)」と「童心港湾(Children's Harbor)*⁴」への参画を推し進めています。前者は本の寄贈を募る活動を、後者は中国農村部の取り残された子どもたちを支援し、特に家族の絆や情緒面のケアといったニーズを満たすことを目的とした活動を行っています。中国光華科技基金会との連携を皮切りに、オムロン中国は、これからも現地のパートナーや専門家と協力し、よりよい社会づくりに貢献していきます。

光華珠海公益工程:中国光華科技基金会が2005年に立ち上げたプロジェクト。中国中央・西部の文化・教育水準の向上を目指し、公共福祉グループを介して各方面から本の寄贈を募っている。
*⁴ 童心港湾:中国農村部の取り残された子どもたちの支援を目的として中国光華科技基金会が立ち上げたプロジェクト。特に家族の絆や情緒面でのケアといったニーズへの対応を目指している。

オムロンは、2022年4月、2030年に向けた長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」をスタートしました。そのなかで、長期ビジョンとしては、初めてサステナビリティ重要課題を特定。10の全社共通目標と、グローバル各地域のトップマネジメントがそれぞれの地域社会に対して約束する目標を合わせた、「10+1」の非財務目標を掲げています。

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オムロン中国の社長 徐堅氏は次のように語ります。「オムロングループは、長期ビジョン「SF2030 」において、社会全体の豊かさと、個人の成長が両立する社会の実現を目指すというビジョンを打ち出しています。私たちオムロン中国は、このビジョンに則り、教育の機会均等を目指す活動を3年計画で推し進めていきます。今後、中国全土の社員は一致団結し、農村部の教育充実化に励み、豊かで持続可能な未来を共に作っていきます。」