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長期ビジョン「Shaping The Future 2030」

オムロンは、オムロンの存在意義、そして2030年に向けて変化する社会を見据え、2022年度から新たな長期ビジョン「Shaping The Future 2030(略称 SF2030)」を設定、スタートさせました。「SF2030」には、オムロングループの全社員がコア技術「センシング&コントロール+Think」を軸に、企業理念を実践し持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていくという思いを込めました。

SF2030ビジョンステートメント

人が活きるオートメーションで、
ソーシャルニーズを創造し続ける

近未来を描き、ソーシャルニーズを感知・発掘し、オートメーションで新たな価値を創造する。
私たちはこれを、“ソーシャルニーズの創造”とよび、
創業以来この実践を通じて、よりよい社会づくりに貢献してきました。
持続的発展が可能な社会・経済システムづくりへの貢献は、オムロンの存在意義そのものです。
私たちは、これからも変わることなく企業理念経営の実践に取り組みます。

工業社会で必要とされたオートメーションは、機械による人の作業の代替でした。
“自律社会”で求められるのは、代替、協働、融和を最適に組み合わせて
人の能力を最大限に発揮させるオートメーションです。
これからのオートメーションを、 “人が活きるオートメーション”と定め
その実現に向けて、センシング&コントロール+Think技術を進化させていきます。

多くの社会的課題が生じる次の10年、私たちは存在意義を発揮し、
“人が活きるオートメーション”によって、
カーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸に貢献し、
社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する自律社会の実現を目指します。

オムロンの存在意義

オムロンの存在意義は、企業理念の実践そのものです。「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」であり、社会がどのように変化しようとも、これは、変わることはありません。

オムロンが想定する2030年の社会

私たちは、効率や生産性を追求する「工業社会」を経て、物質的な豊かさを手に入れました。しかし人々の価値観は、モノの豊かさから心の豊かさに大きく変化しています。例えば、人々の環境問題に対する意識、仕事に対する価値観は大きく変わってきています。サステナブルな製品や生活を選択することはもちろん、仕事においても、自分の能力を発揮できる仕事をつうじ、ワークライフバランスを見つめなおす動きが加速しています。

オムロンは、新たな社会・経済システムへの移行期である現在、そして次の10年は新旧の価値観がぶつかりあい、社会・経済システムへのひずみが生じることにより社会的課題が次々に発生する時代の転換期にあると考えています。オムロンは、これらの社会的課題を解決することで社会価値を創出し、社会全体の豊かさと自分らしさの追求が両立する社会の実現に貢献し続けます。

オムロンが創出する社会価値

私たちオムロンは、多くの社会的課題が噴出するこれからの10年を、新たな市場と事業を創造する大きなチャンスと捉えました。SF2030では、このチャンスを確実に捉えるために優先する社会の変化因子を、「高齢化」「気候変動」「個人の経済格差の拡大」の3つに絞りました。この3つの変化因子から、オムロンが捉えるべき社会的課題を3つ設定しました。具体的には、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」です。この3つの課題は、社会に与えるインパクトが大きく、そして、オムロンの強みであるオートメーション、そして顧客資産や事業資産を活かす観点から設定しました。

カーボンニュートラルの実現においては、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステムづくりに貢献します。デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的かつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラづくりに貢献します。そして、健康寿命の延伸においては、あらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで、高齢化社会における問題解決に真正面から取り組んでいきます。

社会的課題と創出する社会価値
オムロンが
捉える
社会的課題
カーボンニュートラルの
実現
デジタル化社会の実現 健康寿命の延伸
創出する
社会価値
安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム あらゆる制約から解放され、楽しく創造的で、かつ持続可能な社会を実現するモノづくりやインフラ あらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステム

これらの3つの社会的課題を解決するために、グループのドメインを見直し4つのドメイン、「インダストリアルオートメーション」「ヘルスケアソリューション」「ソーシャルソリューション」「デバイス&モジュールソリューション」に設定するとともに、同領域での社会価値を定めました。

インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献。そして、デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。

オムロンが各ドメインを通じて創出する社会価値
社会的課題
ドメイン
カーボンニュートラルの実現 デジタル化社会の実現 健康寿命の延伸
インダストリアル
オートメーション
「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献
ヘルスケア
ソリューション
「循環器疾患の
“ゼロイベント”」への貢献
ソーシャル
ソリューション
「再生可能エネルギーの普及・効率的利用と
デジタル社会のインフラ持続性」への貢献
デバイス&モジュール
ソリューション
「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献

オムロンの進化の方向性

オムロンは、社会価値の創出に向け私たちの価値のつくり方を、「“モノ”から“モノとサービス”」に進化させていきます。それは、商品を中心としたモノだけでなく、モノと社会が抱える本質的価値を解決するサービスの組み合わせによる価値の実現です。社会や市場の転換期において、本質価値を捉え直した場合、価値の実装形態はモノだけに留まりません。例えば、制御機器事業の i-BELTにおけるコンサルティングサービス、運用支援サービス、改善サービスなどです。また、自社のリソースに こだわらずパートナーと共創することで、実行スピードと実現可能性を高めていきます。

モノ+サービスでの価値の実現、また、パートナーとの共創には、そのベースとなるデータプラットフォームの構築が重要になると考えています。自社のデバイスやサービスから生成されるデータとパートナーのデータとの連携によるデータプラットフォームを構築し、そのデータの活用により、モノ+サービスによる新たなソリューションを開発していきます。

本コンセプトのもと、中長期でグループ全体の事業構造を転換し、モノだけでなく、リカーリング型サービスモデルも加えた収益構造に転換していきます。

サステナビリティ重要課題

SF2030では、事業を通じて社会価値と経済価値の創出に取り組むことで企業価値の最大化を狙います。そのために、長期ビジョンとして初めてサステナビリティ重要課題を特定しました。
オムロンの存在意義は、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」であり、社会がどのように変化しようとも、変わることはありません。その使命を持続可能なものとするためにSF2030および中期経営計画「SF 1st Stage」は、サステナビリティ重要課題との完全統合を図って設定しました。
オムロンにとってサステナビリティとは、社会と企業の両方の持続可能性を追求することです。これからも社会の持続的な発展とオムロンの持続的な成長を目指してまいります。

SF2030における
サステナビリティ重要課題
SF2030目標

  • 1 事業を通じた社会的課題の解決 事業を通じた社会的課題の解決により、社会価値を創出するとともにオムロンの持続的な成長を牽引する SF2030でフォーカスする社会の変化因子「高齢化」、「気候変動」、「個人の経済格差」から、全社で捉える3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」を解決し、持続可能な社会の発展に貢献している状態
  • 2 ソーシャルニーズ創造力の最大化 オムロンの持続的成長のために競争力となるビジネスモデルの進化と新たな事業創出の取り組みの拡大 必要なコア技術開発の進化やビジネスモデルへの組み込みなどを通じて、既存事業および新規事業の領域でソーシャルニーズ創造力を発揮し、新たな事業を生み出し続けている状態
  • 3 価値創造にチャレンジする
    多様な人財づくり
    オムロンの持続的成長の源泉となるオムロンで働く多様な人財の能力やスキルを引き出す人財マネジメントの進化
    オムロンで働く多様な人財が成長できる機会を提供するとともに、能力・スキルを最大限引き出す人財マネジメントへと進化し、国籍・性別・働き方と関係なく、多様な人財が集まり、誰もが活躍している状態
  • 4 脱炭素・環境負荷低減の実現 気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築 バリューチェーンにおける温室効果ガスの排出削減と資源循環モデルの構築を通じて、社会的課題を解決すると共に、更なる競争優位性が構築されている状態
    ● Scope1・2*1:2016年度比▲65%
    ● Scope3 カテゴリー11*2:2016年度比▲18%
  • 5 バリューチェーンにおける人権の尊重 企業の社会的責任として、自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対する影響力の発揮 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って自社のみならずバリューチェーンで働く人々の人権の尊重に対して影響力を発揮し、人権侵害を許さない、発生させない風土と仕組みが形成されている状態
  • *1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス
  • *2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出。

重要課題の特定にあたっては、「企業理念と存在意義」「2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング」「環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請」の3つの観点から検討。社内での議論及び外部有識者との対話による示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねた結果、5つを重要課題として特定しました。

サステナビリティ重要課題抽出の観点

特定のステップ

  • STEP 1 長期ビジョン検討 オムロンの企業理念や経営の羅針盤であるSINIC理論、2030年の世界観などから、社会とオムロンの持続的発展に影響する社会の変化因子を特定し、長期ビジョンの方向性と目指すべき社会像を検討
  • STEP 2 サステナビリティ重要課題特定において重視する3つの観点を整理
    • 企業理念と存在意義
    • 2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング
    • 環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請
  • STEP 3 サステナビリティ重要課題を仮説 以下の2軸でサステナビリティ重要課題を仮説
    • 長期ビジョンを実践するための重要度
    • ステークホルダーからの期待や要請
  • STEP 4 経営レベルでの議論 CEOが議長を務め執行役員が出席する執行会議で議論を実施(21年4月、6月)
  • STEP 5 ステークホルダーとの対話 仮説に基づき、機関投資家や有識者、NPO等との対話を実施し、当社グループへの期待や要請を確認し、サステナビリティ重要課題を整理
  • STEP 6 長期・中期目標の設定 整理したサステナビリティ重要課題に基づき、長期・中期の事業戦略と運営戦略を策定し、長期・中期目標を設定
  • STEP 7 取締役会による承認 執行役員が出席する執行会議での議論を経て取締役会にて決議(22年2月)

サステナビリティ重要課題への取り組みと企業価値の最大化

事業とサステナビリティを統合し、社会価値と経済価値の両方を創出することで、企業価値の最大化を目指します。

財務資本・製造資本・知的資本・人的資本・自然資本・社会関係資本→5つのサステナビリティ重要課題→社会価値+経済価値 企業価値の最大化