We are Shaping the Future! 私たちが手繰り寄せる未来ストーリー
近年、地球温暖化に伴う異常気象の激化により、洪水などの自然災害が深刻化しています。
排水インフラが十分に整備されていないことにより台風や突然の豪雨に対処できない都市も多く、道路や地下鉄の駅の浸水といった被害が世界中で生じています。洪水により人命や財産が失われるなど、地域住民に深刻な影響を与えるケースもあり、人々の安心・安全な生活を脅かしています。
制御機器事業を主力とするオムロンは、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」を存在意義としています。長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」では、2030年までに生じる社会の変化因子の一つとして気候変動を捉え、これに起因する社会的課題の解決に取り組んでいます。
技術・テクノロジーの力で自然災害を予防することはできないか。オムロンは、都市型洪水という喫緊の課題を受けて、地球上の生態系のバランスを保ちながら社会の持続可能な発展を促進する革新的ソリューションの開発に取り組んでいます。
一般的に洪水は、台風や豪雨・融雪が原因となって発生します。とくに近年は集中的な豪雨で河川や排水管の水量が許容量を超え、堤防・排水管を浸食・決壊する被害が多く報告されています。
集中的な豪雨の原因として考えられているのが地球温暖化をはじめとする気候変動です。
温暖化により大気中の水蒸気量が増加したり、大気が不安定になったりと降水パターン変化します。その結果、一部地域では極端な豪雨が、また別の地域では干ばつが発生するといった災害が頻発しています。
洪水リスクとしては、河川の周辺土地が宅地として開発されることで、地面に染み込まなくなった雨水が河川に集中し、水かさが増えやすくなっているという都市開発の弊害もあるようです。
災害予防と対策を念頭に置いた都市開発が求められています。
チームはまず、中国のH市が抱える洪水の課題に対策を講じるため、原因調査に乗り出しました。H市は排水の配管が細く、河道が詰まり、排水トンネルの処理が追いついていない状況がありました。また、複数の管理機関が個別に排水システムを管理し、緊急時に各所が連携した対応が遅れているという課題がありました。
そこでチームは、関係機関・部署と連携を図り、排水トンネルを機能させながら、緊急時には迅速な対応ができる統合的な排水システムの構築に乗り出しました。
最初に協力を仰いだのは、排水トンネル業界です。設計事務所や土地所有者、提携企業など、あらゆる関係者と広範な検討・協議を重ねた結果、都市における排水トンネルの洪水を防止・低減するためには、トンネルのインテリジェント化/デジタル化の強化と、排水ポンプ場の支援が必要であることを突き止めました。
チームはまず、中国のH市が抱える洪水の課題に対策を講じるため、原因調査に乗り出しました。H市は排水の配管が細く、河道が詰まり、排水トンネルの処理が追いついていない状況がありました。また、複数の管理機関が個別に排水システムを管理し、緊急時に各所が連携した対応が遅れているという課題がありました。
そこでチームは、関係機関・部署と連携を図り、排水トンネルを機能させながら、緊急時には迅速な対応ができる統合的な排水システムの構築に乗り出しました。
最初に協力を仰いだのは、排水トンネル業界です。設計事務所や土地所有者、提携企業など、あらゆる関係者と広範な検討・協議を重ねた結果、都市における排水トンネルの洪水を防止・低減するためには、トンネルのインテリジェント化/デジタル化の強化と、排水ポンプ場の支援が必要であることを突き止めました。
オムロンは、設備稼働状況や気象データの共有、科学に基づく早期警報、多様な関係者による一元管理を実現する都市型の「スマート排水システム」の実現を目指して、徹底的に調査をしました。
「中国では都市型のスマート排水システムの実績は多くなかったのです」。
そう語るスマートシティ部門の責任者ジュ・リュチャオはプレッシャーにさらされました。
「チームは、排水会社や交通局など多様な関係者とコミュニケーションをとる必要があっただけでなく、どうすればこの課題が解決できるか?というソリューションの策定やソフトウェア/ハードウェアの開発といった技術的な課題にも直面したのです」。
スマートシティ部門の責任者 ジュ・リュチャオ
ソフトウェア設計で直面した主な課題の原因は、「スマート排水システム」で管理するデバイス数が多い上に、標準インターフェースの規格がないことにありました。ジュ・リュチャオはこう続けます。
「ソフトウェア設計では、提携企業と技術試験を何度も繰り返したことで、「スマート排水システム」の安定性、信頼性、安全性を確保しました」。
ハードウェアに関しては、パフォーマンス、互換性、セキュリティなどの観点を含む多次元評価を実施し、デバイスが「スマート排水システム」の要件を満たしているかどうかを適切にフィルタリングする選定指針を定めました。
ソフトウェア/ハードウェアに関するチャレンジングな課題に対してくじけることなく果敢に向き合ったことで、最終的に都市型の「スマート排水システム」の開発に成功しました。
ジュ・リュチャオは語ります。
「オムロンがこれまで培ってきた制御機器に関する専門知識やプロジェクト推進の豊富な経験を生かして、関係者と何度も議論を実施した結果、課題解決に向けたソリューションについて合意を得るに至りました。私たちの努力が報われて、みんなとても興奮しています。」
チームは、人工知能(AI)やオムロンのコア技術 "Sensing & Control +Think"をはじめとした様々な技術を用いたデータサービスを通じて、都市における排水トンネルの管理プラットフォームの提供を実現しました。
「スマート排水システム」導入後の排水トンネルのイメージ
H市の今後の災害を緩和・防止するために、オムロンは以下の対策を講じています。
オムロンが構築した「スマート排水システム」のプラットフォーム
このプロジェクトはH市が、「スマートで」「環境に優しく」「効率的で」そして「安全な」都市へと進化することを目指したもので、科学的アプローチにより都市型洪水防止と運用コスト削減に寄与しました。「スマート排水システム」は、H市の排水トンネルおよび排水ポンプ場に導入されており、精度の高い洪水防止対策を実現しています。
ジュ・リュチャオは、今回の成功事例を振り返り、次のようにコメントしました。
「オムロンは、革新的な技術と総合的なソリューションによって、都市が持続可能な排水管理を実現できるよう全力を挙げて取り組んでいます。私たちは目の前の課題に対処するだけでなく、将来的な都市開発の基礎を築くことも視野に入れています。気候変動や環境保護などのサステナビリティ課題と向き合うことで、私たちの暮らす街がより暮らしやすい場所になることを期待しています」。
オムロンはこれからも、長期ビジョンShaping the Future 2030で目指す「社会全体の豊かさと自分らしさの追求が両立する社会」の実現を目指して、「スマート排水システム」をはじめとしたあらゆるソリューションを生み出すことで、都市の持続可能な発展と人々の生活の向上に取り組みます。