オートメーションでESGに取り組み、持続可能な社会の実現に貢献

This content was paid for and produced by OMRON in partnership with the Commercial Department of the Financial Times.
本記事は英フィナンシャル・タイムズ(FT)とのパートナーシップコンテンツの日本語抄訳版です。

 

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)がエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催され、さまざまなステークホルダーが一堂に介して気候変動危機に関する課題について話し合いました。水資源と食料の安全保障、生物多様性の喪失、脱炭素化への取り組み、クリーンエネルギーへの移行など、300以上のテーマについて2,000名を超える参加者が議論を繰り広げました。

今後は、会場で語られた言葉をいかに行動に移していくかが問われています。

COP27の開催に先立ち、議長国を務めたエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、COP27について、「世界が『交渉から行動へ』と軸足を移し、これまで以上に環境に配慮した未来へと歩み出す機会になる」と述べました。事実、気候を巡るハイレベル会合の場では、ESGや、ダイバーシティ&インクルージョン(誰もが分け隔てなく社会参画・活躍できること)に関する理想論は語り尽くされているだけに、実際の成果に目を向けることが重要になっています。しかし、有言実行するためには、トップダウン型のリーダーシップとボトムアップ型の取り組みの両輪で持続的な行動を推進する必要があります。

そのような企業文化を醸成している企業の1つに、日本のテクノロジー企業、オムロンが挙げられます。

 

存在意義の発揮

オムロンは、1933年の創業以来、ファクトリーオートメーションからヘルスケア機器に至るまで多岐にわたる独自の技術を生み出してきました。こうしたイノベーションの原動力となっているのが、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という同社の企業理念です。

オムロンは、事業を通じて社会価値を創出し社会の発展に貢献し続けることを存在意義に掲げ、社員一人ひとりが日々の業務の中で企業理念の実践に取り組んでいます。その代表的な取り組みに、グローバルの全社員が参加する「The OMRON Global Awards(TOGA)」があります。TOGAとは、社会的課題の解決に向けて社員が自らのゴールを定めて企業理念の実践に取り組み、企業理念実践の物語をグローバル全社で共有し、皆で讃え合い、共感と共鳴の輪を拡大する年間を通じた取り組みです。世界各地から集まった活動テーマのエントリー数は今や6,000件を超え、この中から最終選考に残ったテーマに取り組むチームが京都の本社に集まり、活動内容を発表します。

過去の受賞テーマには、心筋梗塞など心血管疾患の発症・増悪の防止に役立つ世界初のウェアラブル血圧計の開発や、産業用ロボットに起因する災害件数の削減対策など、多岐にわたる社会的課題の解決に向けたテーマがあります。

オムロンの代表取締役社長 CEOの山田義仁氏は、TOGAをスタートしたきっかけを次のように説明します。

「社員それぞれが取り組んでいる企業理念実践の物語を掘り起こしたい。そして、そうした取り組みを社員皆で共有し、応援し、称賛すると共に、情熱や可能性を引き出したいと考え、TOGAを始めました」

 

海洋プラスチック削減に向けて

昨年の受賞テーマ*である、海洋プラスチックごみの削減に向けた開発テーマには、山田氏のビジョンが明確に反映されています。(*第10回TOGAゴールド賞受賞)

このプロジェクトはプラスチックごみの削減を目的に、消費財の包装にサステナブルな素材が使える技術の開発を目指したものです。プロジェクトリーダーを務めたのは、同社コンポ事業部で温度調節器の開発を担う西出美穂氏です。同氏は、80以上の機器メーカーや研究機関に、新たな技術開発のコンセプトに基づく実証実験を働きかけたと言います。

その末に誕生したのが、「Perfect Sealing(パーフェクトシーリング)」というソリューションです。この画期的なソリューションは、オムロンのセンシング技術やコントロール技術を組み合わせることで、包装材接着面の温度変化を従来の10分の1に抑え、包装不良をほぼゼロにすることに成功しました。クラフト紙や薄型包装材、生分解性フィルムなど、環境に配慮した包装材は熱耐性が低いという弱点がありましたが、今回開発されたソリューションにより、メーカー各社は、従来の包装材から環境に配慮した包装材に切り替えられるようになりました。パーフェクトシーリングを導入したメーカーはすでに350社を超え、プラスチックごみの削減量は推定で100万トンに達したといいます。

「社会的課題に対する解決策は容易に見つかるものではありません。オムロンには、社員自らが新たな課題へ挑戦する風土があります。社内外の知見を結集してブレークスルーを見出そうと精力的に取り組んできました」と西出氏は話します。

 

環境や社会の持続可能性に貢献する

製造現場のオートメーション化は、資源やエネルギーの利用効率を最大限に高めるだけでなく、生産活動が環境にもたらす負荷の削減にもつながります。

オムロンのヘルスケア製品の生産拠点では、制御機器事業やヘルスケア事業から集まった部門横断型チームが、エネルギー生産性の向上につながる次世代ソリューションの開発に取り組んでいます。

チームが取り組むのは、データを活用したオートメーション技術を生産現場へ導入することによる、生産量や品質、エネルギー消費量の可視化です。今年のTOGAの受賞テーマでもあり、エネルギー消費量削減の可能性を実証しています。同社では、エネルギー制御技術を確立し、将来に向けてこれまで以上にサステナブルな生産体制の実現を目指しています。

オムロンのオートメーション技術は、時代に応じた消費者ニーズの多様化やモノづくり現場における熟練労働者の不足、高騰する人件費といった様々な社会的課題を解決します。

例えば、ヘルスケア分野では、家庭での血圧測定の普及から始まり、現在は血圧管理(治療)までを可能にしています。オムロンの血圧計は、今や全世界の販売台数が3億台を突破しています。最終的には、自動測定で心血管疾患の急激な発症・増悪や喘息の発作を予測し、健康寿命の延伸に寄与することを目指しています。

また、気候変動対策として、蓄電池システムの品揃えを拡充し、太陽光発電システムと組み合わせた、分散型の再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでいます。この取り組みの結果、2016年度から2024年度までにオムロンの温室効果ガス排出量は53%減少しました。またスコープ3の排出量も同期間に18%減少する見通しとなり、2050年までに自社事業活動に伴う温室効果ガス排出量のネットゼロ達成を目標として掲げています。

さらに2022年11月には、NPO法人The Climate Group(クライメイトグループ)が主導する国際イニシアチブ「EP100」に加盟しました。現在、EP100にはエネルギーの効率利用に取り組む企業120社以上がメンバーとして名を連ね、それぞれがエネルギー効率向上に関する取り組みの進捗を報告しています。

オムロンマネジメントセンターオブヨーロッパ社長のプレベン・オルセン氏は次のように説明します。
「オムロンは、創業以来、事業を通じて社会的課題を解決し、社会の発展に貢献することに努めてきました。昨年、長期ビジョン『Shaping the Future2030 (SF2030) 』をスタートし、『人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける』ことを掲げました。このビジョンには、オムロングループの全社員が企業理念を実践し、オムロンのコア技術『センシング&コントロール+Think』で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていくという思いが込められています。
当社は、世に先駆けて、事業を通じて社会的課題を解決することに取り組んできました。だからこそ、日本の製造業として初めてEP100に参加を果たし、エネルギー生産性の倍増による気候変動問題に取り組むことを宣言しました」
さらにオルセン氏は次のように続けます。
「EUは、欧州グリーンディールを打ち出すなど、各国の政府やビジネス界をはじめとするすべてのセクターでカーボンニュートラルの実現を目指しています。オムロンは、気候変動対策のコミットメントの順守状況や温室効果ガス排出量ネットゼロ目標の達成状況について、社会に開示することに全社をあげて取り組んでおり、その牽引役を担っているのが、オムロンの欧州エリアです」

670_3.jpgオムロンマネジメントセンターオブヨーロッパ社長プレベン・オルセン氏

 

サステナビリティ達成目標に高評価

オムロンが掲げるサステナビリティ目標は、国内外のESG格付け機関からも評価されています。ESG投資指標である「Dow Jones Sustainability World」、「FTSE4Good」、「MSCI ESG Leader Index」でもオムロンは構成銘柄として採用されています。また、環境情報開示機関であるCDPからは、オムロンが環境問題や情報開示透明性でリーダーシップを発揮しているとして高い評価を獲得したほか、2022年度S&Pグローバルサステナビリティアワードのシルバークラスに輝きました。

SF2030では、事業とサステナビリティを統合し、社会価値と経済価値の両方を創出することで、企業価値の最大化を目指しています。オムロンでは、こうしたESGのゴールに向け、ステークホルダーと共に事業を通じて社会的課題の解決に尽力するとしています。同社は、企業理念経営をさらに進化させ、持続可能な事業成長を生み出し、将来に向けて様々な社会的課題の解決に向けて前進を続けています。