エネルギー生産性向上で世界中のパートナーとカーボンニュートラルの実現を目指す

Written by The Wall Street Journal Custom Studios, 2022
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オムロンは、長年にわたって、パートナーとの共創を通じたよりよい社会づくりに取り組んでいます。この取り組みをさらに加速させるべく、先頃、エネルギー効率の向上とカーボンニュートラルの実現を目指す国際企業イニシアチブへの加盟を発表しました。オムロンは、データ分析技術を駆使し、エネルギー生産性 に関する新たなモデルの構築を自社工場で進めています。こうした取り組みは、カーボンゼロ社会の実現を大きく前進させると期待されています。

エネルギー消費に対する経済的生産性の比率

これまで、生産現場のエネルギー使用量を削減することと事業成長を追求することは、二律背反であると考えられてきました。一方、最近の研究発表では、エネルギー効率を高めることで、2040年までにエネルギー関連の温室効果ガス(GHG)排出量を40%以上削減することが可能だとされています。また、結果的にコスト削減がなされることによって最終利益も改善されるという報告もなされています。こうしたことが実現すれば、企業価値の向上とグリーントランスフォーメーションを同時に推し進める好循環を生み出すことが可能になります。こうした中、カーボンニュートラルと事業の成長の双方を目指すオムロンは、エネルギー生産性の倍増を目標に掲げ、2040年までにギガワット時(Gwh)あたりの売上高を2016年度比で2倍にすることを宣言しました。

その先駆けとなる取り組みが、オムロンのヘルスケア製品を生産しているオムロン松阪工場(三重県松阪市)において、制御機器事業とヘルスケア事業のメンバーで構成された混成チームによって進められています。同工場でチームが目指しているのは、生産量や品質、エネルギー消費を見える化し、エネルギー削減の可能性を見極める、データを活用したオートメーションによるソリューションの開発です。

制御機器事業では、これまでも環境負荷を抑えながら製品の品質と製造現場の生産性を向上させる取り組みが推進されてきました。自社や顧客の製造現場で培ったノウハウを、現場データ活用サービス「i-BELT」として進化させ、これまで活用されることのなかった様々なデータを基に製造業の持続可能なモノづくりの実現を支援、製造業のエネルギー生産性向上をけん引してきました。同社は、現在、こうした取り組みを「事業を通じて社会的課題を解決する」ことの中核に位置付け、幅広い業種のパートナーと共に進めています。
さらには、エネルギー効率の向上を目指す国際的イニシアチブの「EP100」に国内の製造業として初めて加盟し、自社のエネルギー生産性を倍増することを宣言しました。国際環境NPO法人「The Climate Group」が主導するこのイニシアチブには、エネルギー生産性に関するパートナーシップへのコミットメントを表明している120余の企業が参加しています。

332_2.jpgオムロンエレクトロニクス(米州)CEO兼COO ロバート・ブラック氏

オムロンエレクトロニクス(米州)CEO兼COOのロバート・ブラック氏はEP100への加盟について、オムロングループを代表して次のように述べています。
「EP100加盟企業の一員になることができ大変喜ばしく思います。EP100は、企業が力を合わせることにより、エネルギー効率の向上を通じたGHG排出量削減を実現するという目標のもと変革を目指す枠組みです。オムロンが取り組むエネルギー効率に関する『共創』とは、今どこでエネルギーが消費されているか、どうやって全体の消費量を削減するかを、お客様とともに把握し検討することを意味します。EP100への加盟により私たちはこうした取り組みを次のステージに進めることができます。エネルギー生産性に関して培ったノウハウをグローバルの製造業各社と共有し、さらなる共創を加速させていきます」

 

モノづくり現場の思い

松阪工場での制御機器事業とヘルスケア事業の共創は、社内の関係者や顧客、さらにはEP100加盟社に対し、製造現場で培ったノウハウを共有する機会を生み出しました。

2022年9月に開かれた、オムロンの社内表彰制度「The OMRON Global Awards(TOGA)」の第10回グローバル大会において、松阪工場での共創取り組みのプロジェクトリーダーである制御機器事業の高市隆一郎氏が登壇しました。高市氏は、TOGAの壇上において、部門横断でどのようにエネルギー生産性の向上を成し遂げオートメーションによる事業価値の増大を目指しているかについて、世界中のオムロン社員に対して熱く語りかけました。

日々の仕事における企業理念実践の物語をグローバル全社で共有することで、オムロンの強みの源泉である企業理念に対する共感と共鳴の輪の拡大を促す社内表彰制度。

332_3.jpgオムロン制御機器事業 高市 隆一郎氏

高市氏は、今回の共創を始めた動機について次のように述べています。
「私個人には、三つの動機がありました。脱炭素と製造業の未来に対する危機感、社会の役に立つという私自身の目標とそれを共有する他部門の仲間との深い絆、そしてオムロンが持つ『社会にイノベーションを生み出す』という組織文化です。目的を共にする仲間たちとディスカッションを重ね、取り組むべき課題は、脱炭素と事業成長の両方であり、エネルギー生産性の向上によってその解決を図ろう、という結論に至りました。「どのようにして社会に貢献するか」という共通の問題意識を持つことで、周囲の支援と共感を得ながら、i-BELTを活用してエネルギー生産性を倍増するという全体の目標達成に向けて、革新的なソリューションを推進することができたのです」

高市氏の言葉の背景には、2010年から進められてきた、オムロン綾部工場(京都府綾部市)をはじめとする自社工場での取り組みがありました。制御機器事業では、10年以上前から、自社の生産現場において品質や生産性の向上と省エネの両立を目指した取り組みが進められてきました。気候変動が引き起こす問題の克服には、エネルギー生産性向上のためのモデルの開発が不可欠であるとの考えのもと、他社に先駆ける形で取り組みが進められてきたのです。

こうした取り組みについて、オムロンマネジメントセンターオブアメリカのIRマネージャー ティム・ヒル氏は次のように述べています。
「私たちは、自社だけでなくお客様の生産拠点に、エネルギー生産性向上に関する技術やノウハウを製品やプラットフォームサービスという形で提供しています。このように事業を通じて国内外の製造業および社会全体に貢献できていることを誇りに思います」

「EP100への加盟により私たちはこうした取り組みを次のステージに進めることができます。
エネルギー生産性に関して培ったノウハウをグローバルの製造業各社と共有し、さらなる共創を加速させていきます」
――オムロンエレクトロニクス(米州)CEO兼COO ロバート・ブラック氏

 

協業がもたらすシナジー

現在、松阪工場では、制御機器事業が有する、エネルギー消費量を見える化する技術によって、製造現場から集められたエネルギーデータの分析が行われています。

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こうした分析を支えているのが、i-BELTデータ管理プラットフォームです。松阪工場では、同プラットフォームによってエネルギーと生産性のデータを統合することで、カーボンニュートラルにも応用が可能な、エネルギー生産性に関する指標を確立しています。

オムロンヘルスケア 松阪工場長の曽根 直樹氏は、今回のプロジェクトについて次のように語っています。


「今回の共同プロジェクトは、オムロンの生産、開発、営業部門において組織の垣根を超えた新たなイニシアチブを生み出すきっかけになっています。また、生産拠点に留まらず、物流やサプライチェーンにも拡がりを見せ、パートナーシップとイノベーションの好循環を生み出しています」

332_5.jpgオムロンヘルスケア 松阪工場長 曽根 直樹氏

「松阪工場では、経営陣から関連部署の若手リーダーまで多様なメンバーがプロジェクトに参加しています。私たちが目指すのは、ヘルスケア事業だけでなく、オムロングループ全体、ひいては世界中の製造業にこうした取り組みをより広く深く浸透させることです。このような取り組みを通じて、エネルギー生産性の向上に向けて、飛躍的に我々の技術力を発揮ことができるのです」

 

共感の輪の拡大

さらに、i-BELTを牽引する、制御機器事業の滝口 秀昭氏は、企業理念に対する共感を得て、顧客やサプライヤを含む社内外のステークホルダーを巻き込むことができた点が、プロジェクトの成果だと述べています。
「私たちは、実際の成功事例や最前線で頑張ってくれている営業部隊に寄せられた顧客からのフィードバックなど、様々な情報を社内で共有することによって、相互理解と共感の輪を広げています」

最後に、ブラック氏は、オムロンが目指すカーボンニュートラルの実現について、次のように述べています。
「私たちが実践しているのは、これまで培ってきた知見、ノウハウのステークホルダーとの共有です。気候変動によって、自分たちの存在そのものを脅かすような脅威に直面する今、われわれが目指すべきはカーボンニュートラルの実現です。EP100が世界中の企業を束ね、将来的な課題を明らかにしたことを契機に、その解決に向けて取り組むべき道が開けました。オムロンはこれからも革新的なアイデアやソリューションを生み出し続け、そこから得られた知識をEP100のパートナーと共有すると共に、顧客との共創をさらに推し進めていきます」

This content was prepared in partnership with The Trust, the in-house creative consultancy at The Wall Street Journal Barron's Group.

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