持続可能な未来を皆でつくる

Written by The Wall Street Journal Custom Studios, 2022
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深刻化する気候変動や経済格差を前に、持続可能な社会の実現に向け「ソーシャル デザイン イノベーション」に取り組むテックカンパニーがあります。社会のニーズを捉えたオートメーションの開発で90年近い実績を誇る、オムロンです。

ペットボトルが散乱する海岸、ビニール袋が絡みついた海洋生物。そうした光景は深刻化する環境汚染の現実を人々に突きつけています。年間800万トン以上も海に流れ込むプラスチックごみ。その約半数が包装用のラップやビニール袋などです。
薄型プラスチックや生分解性プラスチックといった環境に優しい製品は解決策のひとつですが、それらは特性上、熱に弱く、焦げたり、縮んだり、破れたりしやすいという欠点があります。オムロンは、包装材の接着時の温度調節をAIが制御する「パーフェクトシーリング」を開発し、この社会的課題の解決に挑みました。

「オムロンは、これまで、製品の性能や品質によって価値を提供するモノづくり企業と見なされてきました。しかし、これからはモノ+サービスによる価値創造にフォーカスしていきます」とオムロンの代表取締役社長CEO 山田義仁氏は話します。「海洋汚染による健康被害は私たち人間にも及んでいます。パーフェクトシーリングは、海洋プラスチック汚染という社会的課題への取り組みから生まれたソリューションです。」

 

持続可能な社会の実現に向け、脈々と受け継がれるDNA

1933年に創業したオムロンは、現在、7,629億円(2022年3月末時点)の売上高を誇ります。家庭や、工場、自動車、病院、鉄道など、あらゆる場所で使用される機器やデバイスを高度化する技術に長け、特にセンシングの分野ではIoT革命に欠かせない存在となっています。

高性能なセンサーやスイッチ、リレーやインバーターなど、オムロンの技術は、普段目に付かないところで人々の暮らしに快適さや便利さを届けてきました。そして、家庭用血圧計から駅の改札機、小売店のキャッシュレス決済端末といった、私たちのあらゆる暮らしの中で役立てられています。
オムロンが次の10年で取り組む「ソーシャル デザイン イノベーション」は、同社だからこそ掲げられるものだといえます。


「事業を通じて社会に価値を生み出し、貢献し続けていくこと。
その企業ミッションは今後も決して変わることはありません」(山田氏)

オムロンが今年4月にスタートした、長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」には、同社が次の10年で実現する社会が、明確に描かれています。そこでは「気候変動」「高齢化」「個人の経済格差の拡大」を変化因子として捉え、その課題に挑むことで持続可能な経済成長、そして社会の発展をめざすことが宣言されています。

山田氏は次のように話します。「SF2030では、『モノとサービスの組み合わせによる新たな価値』の創出にこだわります。オムロンは社会や経済システムの変化によって生じる、社会の構造的な課題を見つめ直し、顧客が求めるものは何か、そして、社会がより豊かになるためには何が必要かを捉え、そこから革新的なソリューションを生み出していきます」

 

モノとサービスの組み合わせによる新たな価値の実現

独自のコア技術で、人々の豊かな暮らしに貢献し続けてきたオムロン。次の10年で注力して取り組む『モノとサービスの組み合わせによる新たな価値』を象徴する、製品とサービスの提供が始まっています。


各事業が提供する、社会的課題を解決する製品・サービス

  • カーボンニュートラル社会の実現に向けた、企業のCO2排出の算出、見える化および省エネ化の分析に役立つCO2モニタリングシステム
  • 脳溢血や心筋梗塞など循環器疾患の予防など、患者の健康管理に役立つ、ウェアラブル血圧計や遠隔診療サービス
  • 気候変動により頻発する自然災害、台風や大雨の影響による河川の氾濫や避難警報に役立つ環境センサー
327_2.jpg2019年に登場したウェアラブル血圧計HeartGuide

 

人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける

ときにオートメーションは、効率と生産性を重視した非人間的メカニズムと考えられる傾向があります。しかし、オムロンは、オートメーションを人の可能性を最大限に引き出すソリューションと捉え、誰一人取り残されることのない社会の実現に取り組んでいます。

SF2030では「人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける」というビジョンを掲げ、企業価値の最大化をはかると言います。そのために、"モノ" の価値に加え、"モノ+サービス"による価値を創出し、社会に実装していくのです。

オムロンがコア技術 "Sensing & Control +Think"で実現するオートメーションの進化系には、「人と機械の融和」があり、山田氏はこれこそが「様々な現場で、人の能力を最大限発揮させる"人が活きるオートメーション"」だと定義しています。

同社の卓球ロボット フォルフェウスは、この、「人と機械の融和を」具現化した象徴例だといえます。最新のロボティクスとAI技術を組み込み開発されたフォルフェウスは、対戦相手となる人の能力と感情を読み取り、それに合わせてプレイスキルを最適に調整します。対戦相手の表情や心拍数などを捉え、ボールを打ち返す強さや場所を瞬時に判断するのです。相手を打ち負かすことが目的ではなく、対戦相手のやる気とパフォーマンスを高めることを狙いとしています。

山田氏は、フォルフェウスを例に、次のように語っています。「オムロンは、さまざまなオートメーションをシーンによって最適に組み合わせることで、協働や融和といった、人の能力を最大限発揮させる"人が活きるオートメーション"を社会に実装していきます」

 

不確実性を成長機会に

先の見通せない状況が続く現在、オムロンは、社会の不確実性を、イノベーションを誘発するチャンスと捉え、事業展開を行っています。

コロナ禍によって急速に高まった、世界の空港や病院、企業、学校などの施設における非接触での除菌や消毒ニーズに対応した、紫外線光照射ロボットもその一例です。このソリューションも、またオムロンが長年培ってきたコア技術"Sensing & Control + Think"から生み出されたものです。

また、ヘルスケアの分野では、米国、イギリス、シンガポール、インド、ブラジルのパートナー企業と連携し遠隔診療サービスも提供しています。このサービスは、国や地域ごとに異なる病院のニーズや医療保険制度を踏まえカスタマイズされています。

327_3.jpg各国で展開されている遠隔診療サービス

持続可能な社会の実現に向け、モノとサービスの組み合わせによる新たな価値創出を追求するオムロン。コロナ禍に生み出されたこうした製品やサービスは新たな事業展開への道を拓くものといえるでしょう。

山田氏は次のように語ります。「オムロンの存在意義は、事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けていくことです。それは今後も決して変わることはありません」

This content was prepared in partnership with The Trust, the in-house creative consultancy at The Wall Street Journal Barron's Group.