We are Shaping the Future! 私たちが手繰り寄せる未来ストーリー
人間にとって当たり前のことが、ロボットにはとても難しい。ロボット分野では、しばしばそのように嘆かれることがあります。例えば、スマホに電源ケーブルを挿したり、コンセントに電源プラグを挿したり...これらの動作は、単純そうに見えて、実はロボットにとって、とても難易度の高いタスクなのだと言います。一体どういうことなのか。世界で活躍するトップ研究員 濱屋政志さん(オムロン サイニックエックス株式会社 プリンシパルインベスティゲーター)に直撃取材しました。
オムロン サイニックエックス株式会社が開発している「Saguri-bot」の最大の特徴は、手先とアームの結合部に、バネで遊びをもたせていること。一見すると、グニャグニャ曲がって、正確な作業が出来なさそうにも見えますが‥‥
あえて柔軟な構造を取り入れているSaguriーbot
あえて柔軟な構造(ソフトロボティクス)を取り入れ、AIで力のかけ具合を覚える「機械学習」と組み合わせることで、決まった位置、角度に穴がなくても、"さぐり"ながら、部品を挿すことが可能になります。この技術が発展すれば、工場の生産ラインにおいて、持たせる部品によって、毎回緻密に設定しなおすことが不要になるので、人が雑多に置いた部品をロボットが拾って、即座に組み立てたり、家庭やレストランで、ロボットが活躍したり...人と機械が"融和"した未来につながると、この研究をリードする濱屋政志さんは語ります。濱屋さんが仲間たちと発表した研究論文は、ロボット分野では、超難関と言われる国際会議「IROS」で採択されています。
Saguri-botの詳細については、以下の2つの論文をご覧ください。
【論文1】
タイトル:「A compact, cable-driven, activatable soft wrist with six degrees of freedom for assembly tasks」
著者:Felix von Drigalski, Kazutoshi Tanaka, Masashi Hamaya, Robert Lee, Chisato Nakashima, Yoshiya Shibata, Yoshihisa Ijiri
発表先:2020 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS)
参照URL:https://doi.org/10.1109/IROS45743.2020.9341487
【論文2】
タイトル:「Robotic Object Insertion with a Soft Wrist through Sim-to-Real Privileged Training」
著者:Yuni Fuchioka, Cristian C Beltran-Hernandez, Hai Nguyen, Masashi Hamaya
発表先:2024 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS)
参照URL:https://www.arxiv.org/abs/2408.17061
リポーター
藤尾 悠(ふじお ゆう)
ブランドコミュニケーション部 エクスターナルコミュニケーションユニット メディアコミュニケーション担当
2023年5月にオムロンへ入社。前職では6年間、高知県のテレビ局でアナウンサー・記者・ディレクターとして報道番組や情報番組を担当。
現在、オムロンの魅力をジャーナリスト目線で発掘、社内外に発信中。