持続可能な農業をオムロンの垂直農法ソリューションで実現

近年、垂直農法の自動化が急速に進んでおり、その市場規模は2030年には241億1,000万米ドルに達すると予測されています。垂直農法は、作物を垂直方向に積み上げて栽培することで空間を有効活用した生産方法です。わずかな土地があれば可能なため、環境負荷の低い持続可能な農業として期待が高まっています。
垂直農法の先駆者である英国のテクノロジー企業、インテリジェント・グロース・ソリューションズ(以下、IGS)は、世界中で問題になっている野菜価格の高騰と食料不足に対して懸念を抱き、農作物生産を最適化に行う "自働垂直農法"のコンセプトを考え出しました。そして、スコットランドのジェームズ・ハットン研究所やオムロンなどの技術パートナーと協業し、AIと機械学習を利用したIoTソリューションによる垂直農法の自動化に取り組み始めました。

A Report by Allied Market Research, a market research and advisory company of Allied Analytics LLP
https://www.alliedmarketresearch.com/press-release/vertical-farming-market.html
ジェームズ・ハットン研究所は、土地と天然資源の持続可能な利用を促進するための基礎・応用研究を行う機関として、世界的に認められ高く評価されています。
https://www.hutton.ac.uk/about

319_2.jpg

 

自動化技術による農作物栽培の最適化

自動垂直農法は、建物内にライト付きの苗床用エレベーターを設置し、作物の状態を常にセンシングしながら建物内の環境をコントロールする技術を搭載した生産システムです。オムロン インダストリアルオートメーション ヨーロッパのポール・シンプソン(以下、ポール)は次のように語っています。「私たちが目指したのは、作業のさらなる効率化と、シンプルな操作と管理を実現することでした。」 これらが実現することで、農業の知識や経験がなくても、最適な農作物生産が可能になります。ポールはさらに続けます。「このソリューションの実現には、複雑な制御プロセスを伴いました。しかし私たちは、これを最適なソリューションを開発するのに必要な前提条件として捉え解決策を模索しました。」 検討を重ねた結果、ポールたちは「Sysmacマシンオート―メ―ションコントローラー」を活用したIoT技術によるソリューションを生み出しました。Sysmac マシンオートメーションコントローラー」は、IT/OTの融合*を可能にします。この技術により、物の状態を常にセンシングしながら建物内の状態をコントロールするのみならず、垂直農法システムをクラウドに接続することで、生産者が農作物の生育状態をいつでも観察することが可能になりました。

IT/OT融合では、情報技術システム(IT)と運用技術システム(OT)を統合することで、相互にデータを送信することができます。

319_3.jpg

 

食料生産のスマート化でより良い未来へ

オムロンとIGSは2021年、グラスゴーで開催された「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)」で、自動垂直農法のデモンストレーション展示。その革新的な技術は、非常に高い評価を受け、IGSは、プロジェクトに向け6,000万米ドルの資金調達に成功しました。

オムロンは、2022年4月から長期ビジョン「Shaping the Future 2030」をスタートしました。「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」という3つの社会的課題を設定し、事業をつうじた課題解決に取り組んでいます。環境負荷の軽減を目指す垂直農法ソリューションは、「カーボンニュートラル社会の実現」に向けた取り組みの一例です。オムロンはこれからも、持続可能な社会の実現に貢献する製品・サービスを提供し続けます。

319_4.jpg

関連リンク