OMRON

Corporate | Japan

オムロンが目指す
ダイバーシティ&インクルージョンと女性活躍

小林 高度成長期には、同じものの考え方・行動をとる人の組織が求められました。ですが、例えばDXをはじめとした技術の進展や社会の多様化、グローバル市場での課題、なおかつサイバー攻撃といった様々な危機が襲ってくる今、組織は異質なものを取り込み、活用していけるよう変わらなければなりません。
冨田 ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)は、考え方の多様性を高めるのが本来の主旨で、性別や国籍、年齢などの属性多様性を高めるものではないということを前提に、日本は女性の活躍の観点から遅れている国だと思います。オムロンにおいても活躍する女性の比率は低いのですが、だからと言って10年後も女性活躍だけに取り組んでいるということはないようにしたい。それでも、まずは目の前の課題から少しずつしっかりクリアしていきたいという想いで、組織の目標を「女性活躍」と定めました。
冨田 D&Iの効能は、まずイノベーションが起こること。化学反応により新たな発想が生まれ新たなアイデアが出てくるということです。2つ目が、人的創造性が高まること。人の能力を引き出すということですね。3つ目は、レジリエンスが高まること。当然同質的な組織より、しなやかさは増していく。取り組む上で問題点も出るでしょうが、それを乗り越えた時に効能が生まれ、組織・チームの力になっていくのではと考えています。社会的要請という側面だけではなく、会社の持続的成長に必要不可欠なものですね。
小林 私は多国籍の中で長らく仕事をしてきた経験から、自分の正解が唯一の正解ではないと気付かされました。組織として目指すものに対し、正解は議論しながら作っていくものなんだと。自分がベストと思っていたものより良いものが出てくることも、思いつかなかったアイデアが出てくることもありました。

チャレンジは築いたものを崩すのではなく、
ステップアップのオポチュニティ

小林 前職では、新しいポジションに募集をかける際、必ず女性の候補を最低3割入れることというルールがありました。最終採用されるかどうかはその方の実力次第ですが、その可能性のある女性を一生懸命探すことが組織内・外で優秀な女性を発掘する機会になっていて、とても有効な施策だと思います。
冨田 オムロンでもそのアイデアは前向きに捉えられていますが、具体的に動き出すと、きっと様々な想いが生まれるはず。ですが、ぜひいろんな意見を出してほしい。そこから新しい発見やアイデアが生まれると期待しています。加えてD&Iを実行していく上で、例えば民族や、年齢など各地域が持っている課題は少しずつ違います。各地域の中でまずの前の対処すべき課題に1つでも2つでも取り組み、いろんな意見を出し合うことで、世界中のいろんな知見が集まりますよね。まさにグローバルなD&Iであり、これから進めていきたい方向性です。
小林 ところで、出産というライフイベントがなぜ大きな課題になるかというと、根底に「育児は女性が中心となって、全面的に行わなければならない」という考え方、それから時間軸の問題があると思います。「大体このくらいでステップアップして昇進していかなければ」という時間軸ですね。でも、今70歳まで働ける社会において、別に大した問題ではないのではないでしょうか。また、あまりジェンダーで分けたくはありませんが、女性は新しいことにチャレンジして失敗することを恐れる方が、比較的多いように感じています。「失敗しても、うまくいかなくても、それはあなたのこれまで築いてきたことが、全部なくなるんじゃないですよ」ということを、上の者がしっかり伝えてあげる。これは上に進むためのオポチュニティであって、今まで築いたものを崩すためのピンチではないんだということを、明確に示してあげることが重要なんじゃないかと思っています。

※本記事は対談内容を一部抜粋・再構成しています。

冨田 雅彦
オムロン株式会社 取締役 執行役員専務 CHRO 兼 グローバル人財総務本部長

1989年、立石電機株式会社(現オムロン株式会社)に入社。電子部品事業などの事業戦略部長、企画室長などを経て、2012年にグローバル戦略本部経営戦略部長に就任。2017年よりグローバル人財総務本部長に就任し、2019年に、執行役員常務 グローバル人財総務本部長に就任。2023年より、執行役員専務 CHROに就任。同年、取締役に就任。

小林 いずみ
社外取締役

三菱化成工業株式会社(現・三菱ケミカル株式会社)、メリルリンチ日本証券株式会社(現・BofA証券株式会社)代表取締役社長などを経て、2008年世界銀行グループ多数国間投資保証機関長官に就任。その後、複数の団体で役員を務め、2020年6月当社社外取締役に就任。

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