ICTで介護予防プラン策定を支援
オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長 CEO:辻永順太)は、大分県が国からの交付を受けたデジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプTYPES)において、大分県の事業パートナーとして契約を締結し、始動することをお知らせします。デジタル田園都市国家構想交付金事業は、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けて取り組みを行う地方公共団体に対し、必要な経費を国が支援するものです。オムロンは、大分県が全国に先駆けて取り組む介護予防プラン策定業務システムのAI化を支援します。今回の取り組みで交付されるのは、デジタル実装タイプTYPESと呼ばれる国や地⽅の統⼀的・標準的なデジタル基盤への横展開につながる⾒込みのある先⾏モデル的な取組を支援する補助金で、将来的に国や地方への展開が期待されます。
大分県と協力し、ICTを活用した効率的・効果的な介護予防ケアマネジメント、地域の現状や課題を把握、自立支援に資する地域づくりを推進してまいります。
■取り組むべき社会課題
日本の高齢者人口の割合は世界でも高く、内閣府によると、65歳以上の高齢者の人口は3,623万人、総人口に占める高齢者の割合は29.1%*¹で過去最高となりました。少子高齢化社会の日本が抱える介護にまつわる社会課題は、社会保障費の増大や介護職の人材不足など様々です。人材不足に関しては、2025年に約32万人、2040年には約69万人が不足すると言われています*2。大分県の総人口に占める高齢者の割合は34.2%と全国よりも高く、課題が顕在化しており、介護予防など高齢者のための対策が急務です。
オムロンは、長期ビジョンの中で「健康寿命の延伸」を取り組むべき社会的課題のひとつに設定し、事業を行っています。大分県とは高齢者が長く元気に過ごせる社会を実現したいという思いが合致しました。オムロンの技術力を生かしたICTで介護予防現場の業務効率化と社会課題の解決に貢献いたします。
*1出典:令和5年9月17日 総務省 統計トピックスNo.138 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
*2 厚生労働省 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数についてより
■オムロンが開発するICTについて
オムロンが提供するのは、地域包括支援センターの職員が、介護状態の軽い高齢者へ介護予防サービス等の支援を選定し、マネジメントする際に行う"介護予防ケアマネジメント"の支援をするICTです。
介護予防ケアマネジメントでは、"アセスメント" を通した高齢者の生活課題および阻害要因の抽出や本人が達成したい目標・意欲の引き出しを行った上で、"予防プラン(ケアプラン)" の作成をします。ICTを活用して"アセスメント" で聞き取るべき内容を提案・支援し、加えてアセスメントで聞き取った内容をもとに "予防プラン(ケアプラン)" の文章生成を支援することで、業務の効率化及び質の平準化・向上につながります。予防プランの質が向上することにより、利用者の改善可能性を見極めることができ、高齢者の自立支援・介護予防に資するサービスを選定できるようになります。
■大分県とオムロンのこれまでの取り組み
2020年7月から、大分県と高齢者の自立支援に向けた連携協定(大分県モデル事業)を結びました。ICTを活用した介護予防ケアマネジメントの質の平準化と業務の効率化、及び高齢者の生活機能の改善を目的とした短期集中予防サービス(C型)への誘因を目指しました。
質的効果に関する調査結果では"質的効果を実感"と答えた参加者が93%*3、
業務効率化に関する調査結果においては"業務効率化を実感"と答えた参加者が61%*4、
また、新規で介護予防サービスが必要と認定された人・総合事業の対象者と認定された人の中で、短期集中予防サービス(C型)を利用する方が令和3年度878名から令和4年度1,021名と143名も増加しました*5。
*3令和5年度大分県モデル事業中間成果報告会より。調査対象者の内、ICTを1件以上活用した方の回答結果
*4令和5年度大分県モデル事業中間成果報告会より。調査対象者の内、ICTを1件以上活用した方の回答結果
*5 令和4年度大分県モデル事業最終成果報告会より。独自調査結果 モデル事業に参加した12市町内での短期集中予防サービス利用者の比較
短期集中予防サービス(C型)へ誘引する介護予防ケアマネジメントでICTが有効なことが実証されました。今後は、地域の実情に合わせて高齢者の介護予防や生活支援のためのサービスを提供する総合事業全体でのICTの活用が必要です。更に、地域包括支援センター等が既に導入している、介護予防サービス等の利用実績を管理し、費用請求を行う給付管理・請求システムとの連結が必要になります。
■デジタル田園都市国家構想交付金事業の具体的内容
デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプTYPES)を活用し、3つの企画・開発を行います。
1.AI等デジタル技術の活用によるアセスメントの高度化
2.アセスメント結果を踏まえた課題の分析等、効果的・効率的に予防プランの策定を支援
3.給付管理・請求機能との連結企画・推進
総合事業全体でのICTの活用による介護予防ケアマネジメントを推進します。更に、ICTに蓄積したデータを活用することで、地域の現状や課題を把握し、総合事業の充実を図ることで、自立支援に資する地域づくりを推進し、健康寿命延伸への貢献を目指します。また、既存の給付請求システムとの連結に関しても、他社のシステムと連結できるようにすることで、地域包括支援センターの業務の質的向上、業務効率化への貢献を目指します。
また、短期集中予防サービス(C型)を提供する事業所が、利用者へ運動訓練を行う際に、適切な運動負荷をかけられるように、リアルタイムの脈拍測定などを用いて現在どの程度の強度で運動をしているかなどを推計するICTも導入し、個別性および質の高い介護予防サービスの提供を図ります。
■大分県からのコメント
今回取り組む介護予防プラン策定等に関する業務のデジタル化を実現することで、職員の業務負担の軽減を図るとともに、利用者の状態に適したサービスの提供が可能になります。また、これらのデータを活用することで、地域の実情に応じた効率的・効果的な介護予防の展開を図り、健康寿命のさらなる延伸に取り組みます。将来的な他地域への展開につながるよう、オムロン株式会社をはじめ内閣官房や厚生労働省と連携し、このモデル事業を着実に実行していきます。
<オムロン株式会社について>
オムロン株式会社は、独自の「センシング&コントロール+Think」技術を中核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、ヘルスケア、社会システム、電子部品、そしてこれらの事業をつうじて取得した多種多様なデータを活用したデータソリューション事業を展開しています。1933年に創業したオムロンは、現在では全世界で約28,000名の社員を擁し、130ヶ国以上で商品・サービスを提供し、よりよい社会づくりに貢献しています。詳細については、https://www.omron.com/jp/ja/をご参照ください。
本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
オムロン株式会社 ブランドコミュニケーション部
TEL: 075-344-7175
事業に関するお問い合わせ先
オムロン株式会社 データソリューション事業本部
TEL: 03-6718-3490