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オムロン サイニックエックス、ロボティクス領域のトップカンファレンス IROS 2022で5件の論文が採択 人と機械が融和する世界を目指すAI・ロボット研究の最新成果を発表

  • 2022年10月13日
  • オムロン株式会社

オムロン サイニックエックス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:諏訪正樹、以下OSX)は、ロボティクス領域の主要国際会議2022 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (以下 IROS 2022)に5件の論文が採択されました。各成果の詳細は、10月23日より開催される同国際会議にて発表を行います。

「IROS」は世界最大かつ最も影響力のあるロボットに関する国際会議の一つです。2022年は3,500件を超える投稿の中から、47.9%の論文が採択されています。
OSXでは、人を中心とした人と機械が融和する未来を目指し、研究を行っております。その中で、人のように柔軟な動きを実現するロボット、複数のロボットが協調し合いながら自律的に動作できるロボットなどの研究を自社のみでなく社外との積極的な共同研究やインターンシップの採用により行っています。今回のIROS 2022では、それらのロボティクス技術分野での研究成果が評価され5件の採択となりました。
これらの研究成果の中には、社会実装に向けて積極的に活用いただくために、わかりやすく技術を解説する記事やGitHubでオープンソースコードとして公開している成果もあります。詳細は、それぞれの論文内容のリンクからご確認ください。
今後もOSXでは、社外との連携を通じた技術革新による価値創出に取り組んでいきます。

<採択された論文内容>
1、タイトル:「Continuum-body-pose estimation from partial sensor information using recurrent neural networks」

  • 発表者:田中 一敏(OSX)、南 友菜(東京大学)、徳留 勇志(東京大学)、井上 克馬(東京大学)、國吉 康夫(東京大学)、中嶋 浩平(東京大学)
  • 発表日時:26日16:20-16:30
  • 概要:
    シリコーンゴムなどから作られた柔らかいロボットアームは高い自由度があるため、様々な用途に使用できる大きな可能性を持っています。しかし、高い自由度と複雑に変化する構造のため、カメラ画像の情報がないとアームの姿勢推定が困難でした。本研究では、アームに取り付けた歪センサーの情報からリカレントニューラルネットワーク(RNN)の一種であるリザバー計算を用いて姿勢推定を行う手法を提案しました。
  • 詳細は、こちらの記事をご参照ください。

2、タイトル:「Uncertainty-aware manipulation planning using gravity and environment geometry」

  • 発表者:フェリクス・フォン・ドリガルスキ(研究時所属:OSX、現所属:株式会社MUJIN)、笠浦 一海(OSX)、クリスティアン・カミロ・ベルトラン・エルナンデス(大阪大学)、濱屋 政志(OSX)、田中 一敏(OSX)、松原 崇充(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 発表日時:24日11:00-11:10
  • 概要:
    ファクトリーオートメーションのロボットシステムは、扱う対象物を正確に位置決めするため専用の治具を使用することが多く、システムのコストを増加させ汎用性が制限されています。我々は、専用の治具を用いず、汎用のグリッパーのみを用いて、対象物の姿勢の不確実性を重心位置の移動、動作環境との接触、グリッパーの形状等の情報を利用して制限を低減する方法を提案しました。提案手法により、専用の治具を用いることなく、高い位置決め精度を達成しました。
  • 詳細は、こちらの記事をご参照ください。
  • 本成果のプログラムはこちらで公開しております。

3、タイトル:「Quasistatic contact-rich manipulation via linear complementarity quadratic programming 」

  • 発表者:片山 想太郎(京都大学、2021年12月から2022年3月の間OSXインターン)、谷合 竜典(OSX)、田中 一敏(OSX)
  • 発表日時:24日10:20-10:30
  • 概要:
    生活環境でロボットが対象物を操作するには、物体を指で挟む把持だけでなく、指先を物体の上で滑らせる動きや、物体をテーブルや他の物体に対して転がし、滑らせるなどの器用な操作を瞬時に計画することが求められます。これまで、接触状態の変わる物体操作を計画するには長い時間がかかるという課題がありました。我々は、相補性条件を制約として考慮した二次計画問題法を解くことで物体操作の動作を計画する方法を提案しました。提案手法により3次元物理シミュレータ上で、実作業で活用できる計算時間で器用な操作を実現しました。
  • 詳細は、こちらの記事をご参照ください。

4、タイトル:「Robotic Powder Grinding with a Soft Jig for Laboratory Automation in Material Science」

  • 発表者:中島 優作(総合研究大学院大学)、濱屋 政志(OSX)、鈴木 雄太(総合研究大学院大学)、羽合 孝文(高エネルギー加速器研究機構)、フェリクス・フォン・ドリガルスキ(研究時所属:OSX、現所属:株式会社MUJIN)、田中 一敏(OSX)、牛久 祥孝(OSX)、小野 寛太(大阪大学)
  • 発表日時:24日14:20-14:30
  • 概要:
    材料科学の実験には粉体を粉砕する作業が必要です。しかし、実験で使う少量の粉を粉砕する専用機はなく、手作業が必要となり、時間を要することが課題でした。我々は、材料科学の実験のために粉体を粉砕するロボットを開発しました。ロボットは、乳鉢にある粉体の状態をカメラで認識し、粉末を集めるか粉砕を進めるかを自動で判断します。ロボットは柔軟な治具を有しているため、簡単な位置制御で粉砕する力を調整できます。このロボットにより、研究者が長い時間をかけて試料を準備していた作業を大幅に軽減することが可能となります。
  • 詳細は、こちらの記事をご参照ください。
  • 本成果の柔軟治具のCADモデルはこちらで公開しております。

5、タイトル:「Prioritized Safe Interval Path Planning for Multi-Agent Pathfinding with Continuous Time on 2D Roadmaps」

  • 発表者:笠浦 一海(OSX)、西村 真衣(OSX)、米谷 竜(OSX)
  • 発表日時:26日16:00-16:10
  • 概要:
    数多くの自律走行ロボットが衝突することなく移動できるようにすることは倉庫内の物流や自動運転において重要です。しかし、決められたグリッド上のルートでなくより効率的なルートで動くことのできる数百の自律走行ロボット(エージェント)に対し、衝突を回避しながら経路計画をするには多大な時間がかかっていました。我々は、経路計画における衝突チェックを軽減するために、事前にエージェントが移動するロードマップ上の頂点や辺に対して衝突が起こる条件を列挙する手法を提案しました。提案手法により、計画の成功率と実行時間の点で既存の手法を大幅に上回ることを実証しました。
  • 詳細は、こちらの記事をご参照ください。
  • 本成果のプログラムはこちらで公開しております。


オムロン サイニックエックス株式会社について
オムロン サイニックエックス株式会社は、オムロンの考える"近未来デザイン"を創出する戦略拠点です。「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財が研究員として在籍し、社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャに落とし込んだ"近未来デザイン"を創り出します。また、大学や社外研究機関との共同研究を通じて「近未来デザイン」の創出を加速していきます。詳細については、 https://www.omron.com/sinicx/をご参照ください。



■ 本件に関する報道関係からのお問い合わせ先
オムロン株式会社 イノベーション推進本部
エンゲージメント・コミュニケーション部
TEL: 0774-74-2010

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