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オムロン サイニックエックス研究員の牛久祥孝、画像の内容を説明するAI技術に関する一連の研究成果が評価され、「第8回ヤマト科学賞」を受賞

  • 2021年04月22日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社(本社: 京都市下京区、代表取締役社長CEO: 山田義仁)の子会社として近未来デザインの研究を担う、オムロン サイニックエックス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:諏訪正樹)のプリンシパルインベスティゲーターの牛久祥孝(以下、牛久)がこのたび「第8回ヤマト科学賞」を受賞しましたのでお知らせします。

オムロン サイニックエックス 牛久祥孝(中央、4月21日開催のヤマト科学賞授与式にて)ヤマト科学賞選考委員長 森川 智氏(左、ヤマト科学株式会社代表取締役社長)、同選考委員 廣瀬通孝氏(右)

オムロン サイニックエックス 牛久祥孝(中央、4月21日開催のヤマト科学賞授与式にて)
ヤマト科学賞選考委員長 森川 智氏(左、ヤマト科学株式会社代表取締役社長)
同選考委員 廣瀬通孝氏(右)


ヤマト科学賞は、ヤマト科学株式会社により、ライフサイエンス、マテリアルサイエンス、インフォメーションサイエンス及びそれらの融合分野を中心に、独創性、創造性に富む、気鋭の研究者を顕彰し、人類に夢と希望をもたらす科学技術の次世代リーダーとしての活躍を支援することを目的として設立された賞です。

牛久は、深層学習による第3次人工知能(AI)ブームが起きる直前の2010年頃から、コンピュータビジョン分野と、自然言語処理分野を融合させる研究に取り組み始め、画像の内容を説明する文章(キャプション)を生成する「画像キャプション生成」を世界に先駆けて実現しました。画像の中の事象や物体とその関係性を、文法的に正しく繋いで記述するモデルを提案し、「ビジョン&ランゲージ」と呼ばれる融合分野を切り開いたことが高く評価されました。人が情報を多面的に認識し活用しているように、AIも同じように情報を組み合わせて処理し認識できるようになれば、生命科学や材料科学の研究開発をデータ駆動で遂行する際にも大きな役割を果たすものと期待されています。また、AIを社会に実装していくためには、大規模なデータに頼らない学習手法が必要となりますが、牛久は機械学習の基礎研究についても継続的に取り組んでおり、少ないデータでも目標精度を達成できる転移学習と呼ばれる、ある領域の知識を別の領域の学習に適用させる学習手法を提案してきた点も評価されました。

今後は、この人間の視覚情報と言葉をつなぐ「ビジョン&ランゲージ」分野を拡大させ、人が見ている画像について機械に質問すると答えてくれるような、より対話的に人と機械が言葉でやりとりできる研究を進めていきます。これにより人と機械が、人同士で行うようなコミュニケーション手段を用いて協調しながら学ぶことができるようになり、より創造的な活動を行うことができる 「人と機械が融和」した世界の実現を目指します。

研究の概要
■テーマ:「画像など多様なデータへのキャプションを自動で生成する技術の創出とビジョン&ランゲージ分野の拡大」

画像を始めとする多様なデータを、人間に分かりやすい言葉と結び付けていく研究です。
現在のAIは、画像の中の物体や映像の中の動作を「列車」「走っている」といった単語レベルで認識する研究が進んでいます。一方で人間は、画像や映像の中の情景を言葉で表現したり、その補足情報を話すといった言語化が可能です。以上のことを踏まえ、画像や映像を見ながら人とAIが対話できる世界を目指し、これまでは単語レベルでしか認識できなかった画像に対して、「黄色い電車が駅の近くの鉄道の上にいる」といったキャプション(説明文)で認識ができる技術を開発しました。

技術イメージ


さらに、調理レシピのように連続的な映像から、その手順を自動で生成することができる研究も行っています。

受賞者(牛久祥孝)のコメント
これまでの一連の研究成果を評価いただき、栄えある賞を授与いただけたことに感謝します。我々が取り組んでいる、人間の視覚情報と言葉をつなぐ「ビジョン&ランゲージ」という分野は、機械が人を理解する社会の創造に貢献することができ、今後より一層の広がりをみせていくと確信しています。今後も積極的に社内外との協創を進め、研究を通じて新たなイノベーションを創造し、よりよい社会づくりに貢献していきます。

牛久祥孝(うしく よしたか)のプロフィール
オムロン サイニックスエックス株式会社 プリンシパルインベスティゲーター
2014年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了、NTTコミュニケーション科学基礎研究所入所。2016年に東京大学情報理工学系研究科講師を経て、2018年10月よりオムロン サイニックスエックス株式会社のプリンシパルインベスティゲーターに就任。また同時に2019年より、株式会社Ridge-iのChief Research Officerに就任し、現在に至る。主として画像キャプション生成など機械学習によるクロスメディア理解の研究に従事。

オムロン サイニックエックス株式会社について
オムロン サイニックエックス株式会社は、オムロンの考える"近未来デザイン"を創出する戦略拠点です。「AI」「ロボティクス」「IoT」「センシング」など、幅広い領域の最先端技術のトップ人財が研究員として在籍し、社会的課題を解決するために、技術革新をベースに「ビジネスモデル」「技術戦略」「知財戦略」を統合し具体的な事業アーキテクチャーに落とし込んだ"近未来デザイン"を創り出します。また、大学や社外研究機関との共同研究を通じて「近未来デザイン」の創出を加速していきます。
https://www.omron.com/sinicx/

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