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世界で初めてウェハレベル真空封止技術を活用した 人感センサ向け16×16素子MEMS非接触温度センサを開発

  • 2013年5月29日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長:山田義仁)は、赤外線センサとしては世界で初めてウェハレベル真空封止技術を活用することにより、90度の広い視野範囲と高精度なエリア温度検知を実現した16×16素子のMEMS非接触温度センサの開発を完了しました。2013年10月よりサンプル出荷を開始します。

近年、家庭やオフィスでの省エネ意識が高まり、省エネを実現しながら快適な暮らしを目指すスマートハウスや、必要な場所に必要な明るさを与え、省エネと快適性を両立したタスクアンビエント照明等を備えたスマートオフィスが研究段階を経て実証実験に入っています。そのような中、人数や人物の位置を把握するためのキーデバイスとして、人感センサの需要が高まっています。
人感センサとして広く普及している焦電型センサは、静止した人物の検出ができないため、人数や人物の位置の検出が困難でした。そこでオムロンは、静止した人物の検出ができ、かつ90度の広い視野範囲と高精度なエリア温度検知を実現した人感センサ向けの16×16素子MEMS非接触温度センサを開発しました。

MEMS非接触温度センサは、対象物から放射される赤外線エネルギーをMEMS技術で製作したサーモパイル部(熱電対列)で熱に変え、2種類の金属接点間の温度差に応じた熱起電力により温度を計測します。しかし、サーモパイル部で変換された熱の多くが空気を通して逃げてしまうため、金属接点間の温度差を大きくできませんでした。そのため熱起電力の発生が小さくなり、感度を向上できませんでした。
今回、世界で初めてサーモパイル部をチップ内で真空封止しました。真空封止によりサーモパイル部で変換された熱が空気を通して逃げることを阻止することができます。従って金属接点間の温度差が大きくなり、より高感度を実現できました。
今後は、人数や人物位置を検知するアルゴリズムと非接触温度センサを組み合わせてコンポーネント化した人感センサとしての商品化も目指していきます。

本非接触温度センサを搭載した人感センサの展示モデルを、7月3日(水)から5日(金)まで東京ビックサイトで開催される「ナノ・マイクロ ビジネス展 2013 (旧マイクロマシン/MEMS展)」に出展します。

なお本開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)の共同研究業務の結果から得られたものです。

※2013年5月29日現在 当社調べ。MEMS非接触温度センサにおいて。

特長

  • サーモパイル方式を用いることで、焦電型センサではできなかった静止した人物の検出が可能なため、人感センサの用途に最適です。
  • 256画素(16×16素子)の2次元エリア温度検知により、人物の位置検出精度の向上に貢献します。
  • 90度の広い視野角を有しているため、広範囲なエリアの温度を検出が可能です。たとえば、45度の視野角のセンサが4個必要だったエリアを、1つのセンサで検出できます。
  • 4fps(フレームレート:1秒あたりの出力回数)の高速での温度出力が可能なため、1.0m/sで移動する人物の検出が可能です。

センサ外観

MEMS非接触温度センサ

主な仕様

仕様項目  仕様値 
素子数 16素子x16素子
対象物温度検出範囲 5-50℃
視野角 90度以上 
電源電圧 DC2.7~5.5V
通信形態 SPI 
温度分解能(NETD) 0.15℃ 
外形寸法 W 20mm×L 37mm×H 10.7mm

発売時期

2013年10月(サンプル販売)

販売目標

2015年度 20億円

非接触温度センサの計測原理

2種類の金属接点間の温度差に応じた熱起電力が発生するゼーベック効果を利用しています。n型Poly Si、p型Poly SiとAlを材料とする熱電対を直列につないでサーモパイル(熱電対列)を形成しています。薄膜上に一方の金属接点(温接点)、熱伝導性の良いシリコン上にもう一方の金属接点(冷接点)を形成することにより、エネルギー効率を高めています。真空封止により、サーモパイル部で変換された熱が大気へ放射されることを防止しています。

非接触温度センサの計測原理

詳細お問合せ先
オムロン株式会社
エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー
事業統轄本部 センシング&モジュ-ルアプリ事業部
TEL:075-344-7148

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