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工場排水を利用した敷地内ビオトープにイチモンジタナゴを放流 ~地域の生物多様性保全に寄与~

  • 2011年4月21日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社 野洲事業所(所在地:滋賀県野洲市市三宅686-1、事業所長:鈴木 健)は、事業所に設置していたビオトープ(*)を博物館や大学、自然保護団体、環境コンサルタント等の専門家との連携の下で、環境への負荷のみを考慮していた工場排水をいのちを育む水として活用する新ビオトープ「ぼてじゃこの池」として改修しました。
4月21日、このビオトープに絶滅の危機にある淡水魚「イチモンジタナゴ」(環境省レッドリスト:絶滅危惧IA類)を放流し、希少種の保全を図ります。また、ビオトープを維持・管理することを通じて、従業員が生物多様性や環境保全について学ぶ場としていきます。将来的には地域の子どもたちへの環境学習会の提供を通じて、郷土の自然への愛を育むとともに、多様な関係者間の交流から、自然環境を媒体とした人と人のつながりを感じられるビオトープを目指します。
この事業は、環境省の「環境省生息域外保全モデル事業」への貢献の一環としてスタートするもので、琵琶湖博物館、ぼてじゃこトラスト、株式会社ラーゴ、結・社会デザイン事務所などのご協力ご支援をいただいております。

「ぼてじゃこの池」の「ぼてじゃこ」は「タナゴ」の仲間の総称です。タナゴは、かつて琵琶湖でごく普通に見られた魚でしたが、河川や水路の改修による生息環境の悪化や、産卵に必要な二枚貝の減少、外来種の影響などにより激減しています。
ビオトープでは、タナゴの中でも数が少なく、環境省のレッドリストでIA類(もっとも絶滅が危惧される種)に指定されている「イチモンジタナゴ」の保護増殖に社員参加で取り組みます。昨年より、専門家の指導・協力の下で、社員がビオトープに植栽する植物採取、タナゴが産卵する貝の採取、観察用の丸太橋づくりなどを行い、ビオトープの環境づくりを進めています。

当社は「企業の公器性」を企業理念として掲げています。つまり、企業は社会的な存在であり、よき企業市民として社会と共に生きねばならないという考えです。原材料やエネルギー、資本や人材など、さまざまな「資源」を社会から預かり、事業のためにそれらを活用していますが、「企業の公器性」とはそれらの資源を無駄なく有効に活用し、より良い状態にして社会に返していくことに他ならないと考えています。
日本初の8インチMEMSラインをはじめとした半導体の製造を行う野洲事業所でも、琵琶湖の水を工業用水として利用していますが、取水した時点よりも清浄な状態にして自然に返すことは企業の社会的責任であると考え、取り組みを進めてきました。
このビオトープも昨年、外部の方より「この豊富な排水を利用して、希少種の保全に役立つようなビオトープが出来ないか」とのご提案をいただき、工場排水を「負荷削減」の観点のみならず、「地域のいのちを育む水」として有効に活用すべく、専門家の皆様のご協力ご支援をいただき、改修作業を進めてきました。

新ビオトープの特長

イチモンジタナゴは、卵をドブガイ類などの二枚貝の鰓の中に産み、卵や孵化して間もない仔魚は貝の中で守られて過ごします。貝から出た仔稚魚は岸近くの浅瀬に集まり、成魚は流れがゆるやかな場所を好みます。一方、二枚貝は幼生期にヨシノボリなどの他の魚類に寄生します。ビオトープではこれら「タナゴ」「二枚貝」「ヨシノボリ」という異なる種類のいきものが共存できるように多様な環境を再現し、イチモンジタナゴという希少種の保全はもちろん、いのちのつながりを学ぶ場としての整備を目指します。
導入する植物は、郷土の自然環境にふさわしいものを選定しました。その他のいきものは、貝類やヨシノボリなど人の手を借りなければビオトープに入ることが困難でかつ、タナゴの保全に不可欠なものは魚類学会放流ガイドラインに基づき導入しますが(社員が専門家のアドバイスの下で、近くの河川などで採取)、他は導入せず、ビオトープにやってくる生きものの観察を通じて、周囲に暮らすいきものたちを知る場としての活用も予定しています。

その他の特徴・浚渫土の発芽実験フィールドの提供

琵琶湖の内湖の浚渫土を活用した埋土種子の発芽実験のフィールドを提供し、滋賀県立大学が研究を行います。

*ビオトープ:
ドイツ語の「生物」を意味するBioと「場所」を意味するTopの合成語で、野生動植物が生息する空間を意味する。最近は、生態系としての森林や川、沼、湿地、草地、雑木林などの総称としても使用される。日本では人為的に造り出したものの意味で使用されることが多い。(「生物多様性読本」日経エコロジーから引用)

オムロン株式会社 野洲事業所 ビオトープ
オムロン株式会社 野洲事業所 ビオトープ

詳細お問い合わせ先
オムロン株式会社 野洲事業所 所長 鈴木 健
〒520-2362 滋賀県野洲市市三宅686-1
TEL:077-588-9000(代)

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