製造現場におけるエネルギーの使用状況を仕分けする高精度電力量センサ 「スマート電力量モニタ KM50」の発売について
- 2010年3月29日
- オムロン株式会社
オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長:作田久男)は、生産設備の待機状態における微小な消費電力量を高精度に計測する「スマート電力量モニタKM50」を、本年4月1日より発売します。
形式 | 標準価格 | 販売目標 |
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形KM50-C1-FLK(ローコストタイプ) | ¥22,000(税抜き) | 年間累計 1万台 |
形KM50-E1-FLK(高機能タイプ) | ¥オープン |
KM50は、業界で初めて(※1)微小電流計測への自動切替機能(※2)を搭載したことで、従来の電力量モニタでは計測できなかった生産設備の稼動時に潜む無駄な電力を、リアルタイムかつ簡単に見える化(※3)します。無駄な電力の見える化は、データを基にした継続的なCO2排出量削減や原価低減活動の両立を可能にします。
従来の電力量モニタでは生産設備の稼動中に消費される電力と、非稼動中に消費される電力(停止電力)しか計測できず、稼動中に潜む無駄な電力を見える化することは困難でした。そこで、KM50-E1-FLKでは、設備の稼動中に消費される電力を、生産において本当に必要な電力(稼動電力)と、生産に直接関係しない無駄な電力(待機電力)に自動的に仕分けることを実現しました。たとえば、材料のプレス加工工程において、実際に材料を加工するために必要な稼動電力と、材料の搬送時などに生じる無駄な待機電力に仕分けることが可能となります。これにより、ユーザは材料のプレス加工に掛かる電力の使用状態を正しく把握できるため、無駄を省くための運用改善や設備改善が行えるようになります。
現在、既に一部の先進的な製造現場では、これまで固定費としてきた各種設備の消費電力を、生産に掛かる変動費に置き換え、削減に向けて運用改善や設備改善に取り組むことで、収益性の向上とCO2排出量削減の両立が図られています。この取り組みには、各種設備における電力の使用状態を明らかにし、ムダやムラを見える化することが欠かせません。
当社の連結子会社における実証試験を兼ねた改善活動においても、見える化した電力量データを基に工程を改善したことで、電力使用量10%の削減に成功しました。
KM50は、こうした自社内の活動を通じて得たノウハウを提供し、ユーザによる収益性の向上と環境負荷低減の両立に貢献すべく商品化したセンサです。
KM50は、2010年1月に発表したCO2見える化システム「ene-brain」を中核とするエネルギーの計測・制御機器の新たなラインナップの一つです。
当社では今後も引き続き、顧客のROC(※4)を最大化させるための手法や機器を、順次、市場に投入していきます。
- ※1 当社調べ 省エネ関連機器メーカでは初めての導入です。(2010年3月時点)
- ※2 電流の変化に応じて、計測可能領域を、定格電流計測と、微小電流計測モードに自動的に切替えます。
- ※3 計測した電力データは、モニタに表示、内部メモリへの保存や、管理用PCなどへの送信が可能です。
- ※4 Return on Carbon=炭素利益率の略で、営業利益をCO2排出量で割ることで求められます。
いかに少ないCO2排出量で、効率的に多くの利益を生み出せたかに着目した企業の環境効率を示す指標です。
≪自動感度切替による微小電流計測≫
計測中の電流値が定格の5%以下になると、微小電力計測モードへ自動的に移行し、高精度計測(※)を開始します。また、100msec周期で高速計測した結果を、リアルタイムで本体モニタに表示、内部メモリに保存します。さらに、保存されたデータは、通信によって管理用PCなどで取得が可能です。 ※ 定格電流5A変流器で、微小電流±4mAを計測 (参考値)
(以下、100A変流器の場合)
≪KMシリーズ全機種で、インバータ制御状態における高精度電力計測を実現≫
このたび、当社はアナログ計測技術を改良し、電力量モニタKMシリーズの全機種(※1)で、インバータを使用した設備における電力計測の高精度化(※2)を実現しました。
製造現場においてモータなどをインバータ制御化することは、代表的な省エネ対策の一つですが、インバータ制御は計測対象の電流波形を歪めてしまうため、当社従来品を含めこれまでの電力量モニタでは、省エネ効果を正しく計測することが困難でした。今回の改良により、KMシリーズ全機種で、製造現場における環境負荷低減活動の正しい検証・評価が可能となります。
- ※1 KM20(生産中止品を除く)、KM50、KM100の各シリーズ
- ※2 計測精度: フルスケール±2%。
≪製品の外観≫
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≪主な商品機能≫
- 電流, 電圧, 瞬時電力, 力率, 積算電力量, 瞬時無効電力, 周波数の計測が可能。
- オンパネル取付けタイプのため、目視による計測データの確認が可能。
- 積算電力量を月, 日, 5分毎に記録。本体の表示画面で過去履歴の確認が可能。
- 外部入力信号の利用による電力量の原単位管理が可能
- 充実したロギング機能で簡易データ解析が可能
- 韓国労働安全規格「Sマーク」に対応
- 三相400Vのダイレクト計測が可能(形KM50-Eのみ)
- 三相4線式によるグローバル対応が可能(形KM50-Eのみ)
≪ターゲット市場≫
自動車やFPD/半導体、食品、電子部品など各業界の大手製造メーカ様および関連装置メーカ様
≪主な仕様≫
通信方式 | RS-485 |
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プロトコル | CompoWay/F, Modbus(共有) |
定格電圧 | 形KM50-C1-FLK 単相2線 AC100-240V, 単相3線 AC100/200V 三相3線 AC100-240V |
形KM50-E1-FLK 単相2線 AC100-480V, 単相3線 AC100/200V 三相3線 AC100-480V, 三相4線 AC58-277V |
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外形寸法 | 形KM50-C1-FLK 48mm(H)×48mm(W)×84mm(D) |
形KM50-E1-FLK 96mm(H)×48mm(W)×93mm(D) |
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取得規格 | Sマーク、CE |
≪別売オプション≫
分割型変流器(以下の電流タイプ6種類)
定格一次側電流 5A、50A、100A、200A、400A、600A
- 詳細お問い合わせ先
- オムロン株式会社
環境事業推進本部
顧客開発部 営業推進課 滝口 秀昭
TEL: 03-3436-7281