ピッキング自動化を実用化する「ロボットの目」 3次元画像認識技術を開発 ~新技術搭載のシステムを2009国際ロボット展に出展~
- 2009年11月12日
- オムロン株式会社
オムロンは、ロボットピッキング用の3次元画像認識の新技術を開発しました。
近年、製造業においては部品の整列や配膳、組み立て工程などへのロボットの導入検討が積極的に進められています。これまで人手により行われていたピッキング作業の自動化を実現するためには「ロボットの目」となる部分の進化が不可欠ですが、多種多様な部品を安定して認識させるためには多くの課題があります。部品の形状、置き方など、実用化に向けてはまだまだ数多くの制約条件が存在し、それらがロボットピッキングの製造現場導入への大きな障壁になっています。
このたび、オムロンが開発した3次元画像認識技術は、これらの制約条件を大きく緩和する「ロボットの目」となる技術です。ピッキングの用途やワークの種類により、難易度が様々なピッキングアプリケーションに幅広く対応できる以下の技術を取りそろえました。ピッキング部品の形状によっては、バラ積み状態の認識も可能です。
- 360度不定な姿勢でバラ置きされたワークを認識できる、3眼ステレオ方式による認識技術
- 組み立てや位置合わせを想定した高精度な2眼ステレオ方式による認識技術
- 2次元と同じ感覚で手軽に認識できる、単眼カメラによる簡易3次元認識技術
さらに、これらの高度な技術を、実際の製造現場で使いこなしていただくためのHMIについても、汎用メニュー化させました。また、独自のハイダイナミックレンジ技術による外乱の環境変動に影響されない安定した認識や、ロボット座標変換機能などによるロボットとのつなぎ効率化など、お客様の現場に検査用途の視覚センサを数々導入してきた経験を元に、様々な工夫を加えています。
今回当社が開発した3次元画像認識技術は、製造現場でロボットピッキングを実用化するのに必要となる「認識技術」と「製造現場での運用性」の2つをセットで提供するものです。これにより、ピッキングや高精度な組み立てなど、「人の手による作業を自動化したい」という製造業の現場のニーズに、幅広くお応えしていきます。
製品の発売に先立ち11月25日(水)~28日(土)の4日間、東京ビッグサイトで開催される「2009国際ロボット展」にこの新技術を搭載したピッキングシステムを出展します。展示会では画像センシングの現場導入に数々携わった当社ならではの「実用化のための革新技術」をご紹介いたします。
主な特徴
バラ積み、バラ置き部品をピッキング
すでにロボットピッキングを導入されている現場であっても、実際には「ロボットが認識しやすいように部品を人の手で整列させる」という工程が含まれているケースがほとんどです。これに対し、オムロンが新開発した「3次元画像認識技術」では、360度不定な姿勢の部品の位置を認識可能。バラ置きされている部品の状態を認識し、次にピッキングすべき部品の位置を自動的に制御し、ロボットに伝達します。ワークによってはバラ積み状態の認識も可能です。組み立て用途に使える高精度な位置認識
従来、自動車業界の溶接工程などでは、大型の部品をロボットで組み付けするのに、事前に作業者が専用のジグやカセットなどに部品をセットして、位置決めしていました。このたびオムロンが新開発した「3次元画像認識技術」では、部品をある程度ラフに置いても、3次元位置を自動認識し、その部品の把持位置をロボット座標に変換して出力、組み付け位置に自動搬送させることが可能です。外乱光の環境変動を気にせずに安定認識
部品は変わっていないのになぜかエラーが頻発する、そんな現象の理由の1つに昼夜の日照変化や光の反射状態が不安定なことがあげられます。特に金属面は少しの外乱光でもハレーションをおこしてしまうため、照明調整に熟練の技術が必要となり、その調整に膨大な時間を費やすことになります。
オムロンでは従来よりこの問題に着目し、ハレーションや黒つぶれの影響を排除できる「ハイダイナミックレンジ技術」というオリジナル技術を開発。自然光やシンプルな照明だけで、金属部品も安定して認識できます。3次元画像認識技術とハイダイナミックレンジ技術を併用することで、ロボットピッキングの実用化を強力にサポートします。
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