アナログ信号を高速・広帯域で絶縁伝送する「高速アイソレータ」を開発
- 2008年9月10日
- オムロン株式会社
オムロン株式会社は、このたびセンサなどのアナログ信号をDC~20MHz以上の高速・広帯域で、絶縁しながら、信号伝送する「高速アイソレータ」(注1)を開発しました。なお本技術は、9月30日(火)から10月4日(土)まで幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2008」に出展します。 <イメージ写真>
開発の背景
これまでセンサなどのアナログ信号の伝送方式は、一定の交流信号に変換してトランスによるアナログ絶縁伝送(注2)を行う方式、またはアナログ-デジタル変換した後にフォトカプラにてデジタル絶縁伝送(注3)を行う方式が一般的でした。しかしながら、高精度な制御や計測ニーズの増加に伴い、近年のセンサなどのアナログ信号の大容量化、高速化により、従来の絶縁伝送方式のスピードでは大容量伝送に対応出来なくなってきました。この課題を解決するために、当社は財団法人電気磁気材料研究所と共同で、この課題に対応可能な「高速アイソレータ」を開発しました。
特長
- アナログ信号を高速伝送(20MHz以上)
電気磁気材料研究所と共同で独自の磁性材料技術と磁気デバイス設計技術を開発し、信号伝送の高速化を実現しました。 - 回路構成をシンプルに出来、アイソレーション機能を小型化
前述の従来絶縁伝送方式では外付けで変換回路などが必要でしたが、高速アイソレータではこれが不要であり、そのためお客様での周辺回路を含めての小型化を実現しています。なお、入出力仕様やパッケージ形態は、今後お客様のニーズを確認しながら、最適化を進めます。 - 経年劣化を低減
独自の磁気方式を採用することにより、既存の光結合方式で使われているLEDの経年劣化による減光が発生せず、性能劣化が改善されます。
今後の展開
この「高速アイソレータ」を産業機器等のアナログコントローラへ搭載することにより、高速サンプリングが可能となり、ロボットやメカトロニクス機器などの、より高精度な制御に貢献します。また、レーザ等の高速センシングによる計測用途で、絶縁しながら、高速計測信号を伝送出来るシステム構築に有効です。
また、今後の成長が予測される電力線通信など次世代の高速アナログ通信用途のさらなる高速化ニーズに対しても、小型・高速広帯域(1MHz~100MHz)伝送の特長を生かして展開が期待出来ます。
この「高速アイソレータ」は、現在、技術開発フェーズですが、商品開発フェーズを経て、09年度に商品発売を目指します。
(注1) |
アイソレータとは電気的に絶縁された回路ブロック間で信号を伝送する部品の呼称。 |
(注2) |
アナログ絶縁伝送方式とは、アナログ信号の状態でトランスなどアナログアイソレータを介して、絶縁しながら次の回路ブロックへアナログ信号を伝送する方式です。ただしトランスは直流信号を通さないため、一定の交流信号に変換しアイソレータを通過後、再度元の信号へ戻す処理など付加回路が必要になります。 |
(注3) |
デジタル絶縁伝送方式とは、アナログ信号をADコンバータでデジタル信号へ変換した後に、デジタル信号の状態で、フォトカプラなどデジタルアイソレータを介して、絶縁しながら次の回路ブロックへデジタル信号を伝送する方式です。この方式では、元のアナログ信号を高精度にデジタル化する場合、データ量が10倍以上に増大し、より高速なデジタルアイソレータが必要となり、さらに高速伝送の信頼性を高めるフィルタや同期回路など付加回路が必要になります。 |
主な開発目標仕様・性能
絶縁仕様 | 絶縁耐圧 | 4KV、1分間 |
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伝送仕様 | 入力信号 | 0~4Vアナログ信号 |
出力信号 | 0.5~4.5Vアナログ信号 | |
伝送周波数 | DC~20MHz | |
駆動仕様 | 1次側駆動電圧 | DC5V |
2次側駆動電圧 | DC5V | |
環境仕様 | 使用温度範囲 | -40~+85℃ |
外形仕様 | パッケージ | 8ピンMINI-SOIC |
大きさ | L:5mm×W:4mm×H:2mm |
- 詳細お問い合わせ先 ※お問い合わせ先が下記に変更となりました。(2009年9月17日)
- オムロン株式会社
京阪奈イノベーションセンタ
エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニー
エンジニアリングセンタ 開発センタ 山元 政昭
〒619-0283 京都府木津川市木津川台9-1
TEL:0774-74-2813 -
- 【旧】お問い合わせ先
- オムロン株式会社
エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニー
エンジニアリングセンタ・開発センタ 畑村 章彦
〒525-0035 滋賀県草津市西草津2-2-1
TEL:077-565-5665