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UHF帯 RFID リーダライタ V750シリーズがセキュアRFIDプロトコルに対応~2008年7月よりオプション機能として提供開始~

  • 2008年5月9日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長:作田久男/以下、オムロン)は、株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長:古川一夫/以下、日立)の協力のもとで、UHF帯のRFIDリーダライタV750シリーズを「セキュアRFIDプロトコル」に対応させました。

セキュアRFIDプロトコルとは、2006年8月から2007年3月まで経済産業省が実施し日立が中核企業として受託した「UHFタグの技術開発事業(通称:セキュア電子タグプロジェクト)」の中で開発されたプロトコルで、UHF帯RFIDの国際規格であるISO/IEC 18000-6 Type C規格との互換性を保ちながらセキュリティ機能を追加したものです。プライバシー情報の保護技術として、通信距離を制限する機能やパスワード認証によって読み出しを禁止したり解除したりする機能が採用されています。セキュアRFIDプロトコルに対応したRFID ICとしては、日立から「µ-Chip Hibiki」が発売されています。

UHF帯(860MHz~960MHz)のRFIDは、パッシブ型の中では通信距離が長く、また、HF帯(13.56MHz)との比較では高速で多様なデータ処理ができるなどの特徴があります。米国での大手流通業者での導入を契機に、製造分野や物流流通分野から店舗、オフィス、公共サービスやエンタテイメントなどの領域まで裾野を拡げながら、各国で急速に普及が進んでいます。その一方で、複数のユーザーにまたがるオープンな活用環境では、例えば、共用するデータのほかに各ユーザーが独自に管理するデータもタグに記録されたままで次のユーザーに渡される場合、誰でもデータが読めてしまうことや書き換えができることがかえって利用の妨げになる事例が出てきています。

オムロンは、HF帯とUHF帯を中心に、リーダライタおよびインレット・タグの両面で多数の製品を提供してきました。オムロンの製品は標準規格に対応するのはもちろん、その拡張機能や新規技術についても市場ニーズや重要性の高いものは積極的に実装しています。今回は、特に、物流流通分野でのRFID普及促進には企業や製品の情報保護や利用者のプライバシー保護が重要と考え、V750リーダライタの機能拡張の1つとしてセキュアRFIDプロトコルに対応しました。日本国内では書籍や家電製品などの流通でセキュリティを確保したRFIDシステムの導入検討や実証実験が活発になってきており、今後、オムロンもこれらに積極的に参画していきます。

オムロンのV750リーダライタは、ファームウェアの更新や追加によって新機能が搭載できる仕組みになっています。セキュアRFIDプロトコルの機能については、現行製品で実現されている標準機能とは別に、オプションとして必要に応じて追加する形態とします。まずは日本国内対応のリーダライタ向けに2008年7月から提供を開始し、その他各国向けについても今後セキュアRFIDプロトコルの普及の動向を見極めながら対応する予定です。

なお、本リーダライタは、2008年5月14日から16日まで東京ビッグサイトで開催される「RFIDソリューションEXPO」において、日立グループのブース(西10-53)、および、オムロンの国内販売特約店である日精株式会社のブース(西13-11)にて展示・紹介する予定です。オムロンのセキュアRFIDプロトコル対応について、日立は以下のようなコメントを寄せています。「日立は、セキュアRFIDプロトコルを採用したリーダライタの販売開始を歓迎します。セキュアRFIDプロトコルは、日本の産業界のUHF帯ICタグに対するニーズに応える機能の実現を目指してパートナーと一緒に取り組んで開発したものです。世界に展開する、流通・物流分野において最適なUHF帯ICタグのエアプロトコルであると確信しております。今般、オムロンからこのプロトコルに対応したリーダライタを販売開始されることにより、本格的なセキュアなICタグの普及と市場拡大が実現することを期待しています。日立も、引き続き、セキュアRFIDプロトコルの普及促進に努め、パートナーの皆様とともに、安心・安全・快適な社会の実現に貢献してまいります。」(セキュリティ・トレーサビリティ事業部 副事業部長:中島洋)

セキュアRFIDプロトコルについて

セキュアRFIDプロトコルとは、UHF帯RFIDの国際規格ISO/IEC 18000-6 Type Cとの互換性を保ちながら、新たに以下のようなセキュリティ技術・機能を追加したものです。これらの機能は、セキュアRFIDプロトコルに対応したタグとリーダライタを使用することで実現できます。

技術 機能 説明
プライバシー情報保護技術 通信距離制限機能 タグの通信距離を制限したり、その制限を解除したりする機能です。例えば、店舗での商品販売においては、外部の離れたところからはタグを読み取れなくすることで、お客様の購入情報の流出を防止できます。
読み出し禁止機能 タグの読み出しを禁止したり、それを解除したりする機能です。パスワード認証によってアクセスを制限することが可能で、例えば、流通の各段階で読み出せる情報のレベルをコントロールすることが可能です。
企業情報保護技術 ユーザー領域分割機能 ユーザー領域を複数ブロックに分割し、ブロックごとのパスワード認証によって個別に読み出し・書き込みの可否を設定する機能です。本機能によって、複数の企業をまたがるオープンな環境においても、各企業の情報の秘匿や改ざん防止が可能になります。

(参考資料:「セキュアRFIDプロトコル概要」
http://www.hitachi.co.jp/Prod/mu-chip/jp/pdf_files/secure_p_0906.pdf)

V750リーダライタについて

オムロンのV750リーダライタは、標準規格EPCglobal Class1 Generation2(のちにISO/IEC 18000-6 Type Cとして規定)に準拠した高出力の固定(据置)型で、高機能および高速処理を特長としています。例えば、読み取り条件を自動的にチューニングする機能や、アンテナごとに出力を変更できる機能などを備えており、多様な環境に対応できます。また、上位システムの負荷軽減や省配線化に貢献する機能や、設置調整や運用をサポートする機能も充実しています。

オムロンでは、2006年10月に北米(アメリカ・カナダ)むけにV750シリーズのリーダライタの提供を始めて以降、日本、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、中国など、対応国を拡大してきました。V750リーダライタの優れた機能・性能は、国内外のシステムインテグレータやユーザーから高い評価をいただいています。オムロンのV750は、日本国内メーカのUHF帯RFIDリーダライタの中では、唯一、EPCglobalの認証を取得しています(2008年4月末現在、当社調べ)。オムロンのV750リーダライタは、海外にRFIDシステムを展開される際にも安心して選択いただける製品です。

V750リーダライタの主な機能
機能 説明
シングルアクセス タグを1つ読むごとに、直ちに読み取り結果を返します。
マルチアクセスおよび自動チューニング 交信領域内にある全てのタグにアクセスし、読み取り結果を一括して返します。その際、タグを最適に読み取るための条件を自動的に設定します。
外部I/O制御および自己実行 外部I/O接続端子を備えており、外部入力をトリガーとして交信処理を実行し、読み取り結果によって外部出力を制御できます。
チャネルモニタ チャネルごとに電波の使用状況をモニターできます。
フィルタリング 交信領域内のタグの中から、指定したデータを持つタグだけを読み出すことができます。
アンテナ別出力設定 アンテナごとに電波出力レベルを設定できます。
タグ返信レベル出力 タグからリーダライタに返信された信号のレベルを出力します。アンテナやタグの取り付け位置・向きによる読み取りへの影響などを検証できます。
V750リーダライタおよびアンテナの外観
  • V750リーダライタ

    外形寸法:246(W)×215(H)×43.5(D)mm

  • V750アンテナ

    外形寸法:256(W)×256(H)×57(D)mm

詳細お問い合わせ先
オムロン株式会社 事業開発本部 RFID事業開発部
TEL: (03) 3436-7317
FAX: (03) 3436-7387
WEB: http://www.omronrfid.jp

弊社の2009年3月21日付組織変更において、「事業開発本部 RFID事業開発部」は解消(廃止)となりました。本製品につきましては、2009年4月1日以降、弊社インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーから提供させていただくことになりました お問い合わせは、こちら

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