図研、オムロン製Visual Meisterの販売を開始 - PLMシステムの品質・知識管理領域を強化 -
- 2008年1月16日
- 株式会社図研
オムロン株式会社
図研はオムロン株式会社(本社:京都市)と契約締結し、同社の品質・知識情報管理支援システム「Visual Meister」を1月より、正式に販売開始します。図研は、Visual Meisterを自社のPLMシステムePLM DS-2の重要な支援ツールとして位置付けて提供してゆく方針です。これによって図研は、EDAシステム事業と並ぶ中核の事業として展開するPLMシステム事業において、エレクトロニクス製品の設計・製造領域でのプロセス最適化のソリューションにプラスして品質の最適化ソリューションを補完することが可能になります。
図研はePLM DS-2においてエレクトロニクス製品の設計段階、および製造段階のプロセス最適化ソリューションを提供し続けてきましたが、その機能のひとつとして、部品表や工程表をもとにした設計FMEA、工程FMEAのフォーマットの自動出力があります。これは品質管理の局面において、設計・製造準備システムとの連携により構成・工程検討時のFMEA検討を支援するものです。しかしこの機能は帳票のフォーマットを作成する工数を削減する事に効果があっても、FMEA の本来の目的である品質向上の支援ができない状況がありました。
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)とは、不具合に対する事前対策を目的とした体系的な分析方法です。宇宙・航空産業を中心に1960年代から実施されてきたこの手法は、現在では、ISOの品質管理手法として採用され、特に自動車産業ではISO/TS-16949規格により、品質マネジメント上の必須手法と位置づけられています。FMEAでは、製品を構成する部品や、工程を構成する要素作業ごとに、故障モード(不具合)を網羅し、これらの故障モードが製品品質や工程品質に及ぼす影響を予想することによって対策を事前に実施し、不具合が起きる前に防止しようとします。故障モードの網羅や影響の分析においては、過去の知見が非常に重要ですが、従来のFMEAでは設計者のノウハウ(=過去の記憶)に基づいて網羅・分析が行われてきました。しかし、設計者のノウハウのレベルにより、結果としてのFMEA品質、製品品質、工程品質にバラツキが出るという課題があり、近年IT技術を用いた支援が注目され始めています。
品質向上に寄与するFMEA検討を実施することにおいて重要となるのが、実際に発生した不具合や現場知識といった事例情報との連動です。Visual Meisterでは、これらの事例情報を設計FMEA、工程FMEAと関連付けて管理することができ、活用性の高い知識データベースを構築することが出来ます。事例ベースでFMEAを実施することで抜けモレによる再発を防止し、共有化された事例データベースを利用することで属人性を排除することが可能になります。
事例情報との紐付けを行うにあたり、非定型のデータである不具合(過去トラブル)情報の管理がキーポイントになりますが、Visual Meisterでは、不具合情報の知識化を行うエンジンとして、独自開発の「意味ネットワーク」と呼ばれる技術(オムロン株式会社により特許取得済)を採用しています。
「意味ネットワーク」とは、不具合情報の文章中に含まれるキーワード間の関連性を自動学習し、その意味を考慮した検索と整頓を行うことによって、本来 非定型のデータで分類しにくい不具合情報の知識化を支援する技術です。
このようにVisual Meisterでは不具合情報を知識データベース化し、それに基づいた構成・工程検討時のFMEA検討を実施することで、不良の再発を防止する品質フィードバックプロセスを一貫してサポートし、効率的で精度の高い上流品質チェックを仕組み化します。
また、ePLM DS-2からは機能ブロック、部品構成要素、製造工程などの情報をVisual Meisterに連携することでFMEA検討スタート時のフォーマット作成の工数削減を可能とする連携機能や、成果物としてのFMEA帳票の履歴を管理する連携機能などを今後提供していく予定です。
- オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ITソリューション事業部 事業部長 小林光生のコメント
- 「このたび、図研様とVisual Meisterの販売パートナーシップを確立できましたことを光栄に存じます。
今日、エレクトロニクス製品製造領域では、品質管理の大幅な精度向上と効率化が求められており、Visual MeisterとePLM DS-2 による連携で実現できる環境が、ユーザー様のお役に立てると確信しております。」
図研はひきつづきPLMシステム事業において、ePLM DS-2 によって 製品の設計・製造プロセスの最適化を支援するソリューションやサービスを強化し、エレクトロニクスものづくりの効率化に貢献します。
ePLM DS-2 / D-Shop Floor およびVisual Meisterの詳細については、
をご覧下さい。図研について
1976年に設立し、日本はもとより、世界中のエレクトロニクス系製造業に設計から製造までの自動化・効率化のソリューションを提供している企業です。 EDA分野においては、PCB/MCM/HIC設計ソフトウエアで常に世界トップクラスのシェアを持ち日本国内において事実上の標準となっています。さらに、PLMをはじめとする製造業向けITソリューション、半導体(SOC)向けの設計・検証ソリューション、設計を支援する各種コンテンツ事業、なども拡充を続け、設計・製造環境というインフラ全体を提供するソリューション提供企業として実績を重ね発展しています。加速するグローバリゼーションへの対応など、製品のライフサイクル全体を通じて事業収益拡大に貢献するソリューションとして、図研のPLMプラットホームは、国内外の先端的エレクトロニクス企業への導入が進んでいます。早くから海外展開を図り、現在、グループ全体で全世界10カ国に販売サポート拠点があります。図研についてのより詳細な情報は、http://www.zuken.co.jp/ にてご覧いただけます。
オムロンについて
1オムロン株式会社(本社:京都市 代表取締役社長 作田久男)は、FA(ファクトリーオートメーション)制御機器分野のグローバルリーダー企業です。創業 1933年、現在世界34ヶ国に約35,000人の従業員がおり、FA制御機器、電子部品、車載電装部品、公共・交通・セキュリティ、ヘルスケアのあらゆる分野の顧客に商品・サービスを提供しています。オムロンは、日本(京都)、中国(上海)に本社を、アジアパシフィック(シンガポール)、欧州(アムステルダム)、米国(シカゴ)に地域統括会社を設置し、グローバルな企業活動を行っています。
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