建物内のセキュリティレベルを常に把握する「リスクの見える化」を実現「リアルタイムセキュリティ管理システム」を共同開発・オムロン草津事業所に適用
- 2006年11月20日
- オムロン株式会社
株式会社竹中工務店(本社:大阪市中央区、取締役社長:竹中 統一)、オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長:作田 久男)、株式会社セキュアプランニング(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 樋村恭一)は、建物内に存在する重要資産に対するリスクを常にモニタリングし、過去から現在におけるセキュリティレベルをリアルタイムで把握できる「リアルタイムセキュリティ管理システム」を共同開発しました。実運用の第一弾として、竹中工務店の設計・施工で4月に竣工した、オムロン草津事業所新3号館(住所:滋賀県草津市西草津2-2-1)にこの度導入しました。
通常セキュリティレベルを上げていくには、セキュリティセンサーや監視カメラなどの設置数を増やすという手段があります。しかし、実際には設置したセキュリティ機器や監視カメラから出力される信号や画像を、常時警備員がモニターで監視するのは非現実的であり、本当にセキュリティレベルの向上につながるのかが課題となっています。今回の開発ではここに着目し、今のリスクを定量化し、また過去のリスクも同時に表示し「リスクの見える化」をすることでセキュリティのレベルを連続して一目で把握できるものとしました。
今回の開発においては、オフィスビルやマンションの犯罪リスク診断で多くの実績がある犯罪リスク診断・評価システム(ISSOP-C *1)を竹中工務店が提供、アセットセキュリティマネジメントシステム*2 に基づいたリスクレベルの定量化ノウハウを、オムロンが提供し、本システムの実現が可能となりました。犯罪リスク診断における評価基準は、竹中工務店とISSOP-Cの防犯関連ノウハウをもつセキュアプランニングが共同検討することで実現しました。今後、工場やオフィス、マンション、データセンター、商業施設、学校、病院など様々な建物におけるセキュリティの向上とリスクマネジメントに適用していきます。
*1 ISSOP-C: I ntegrated Secure Solutions and Planning - Crime、敷地周辺における各種の犯罪の頻度、建物の侵入のしやすさ、ターゲットになる資産価値により犯罪PML(予想最大損失額)を求めセキュリティレベルを定量化するシステム。竹中工務店と東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻小出治教授のグループで共同開発した。
*2 アセットセキュリティマネジメントシステム:企業向けセキュリティマネジメントシステム。情報セキュリティだけでなく、人、物へのフィジカルセキュリティも管理策に含み、企業における投資対効果でバランスのとれたセキュリティソリューションを提供します。
リアルタイムセキュリティ管理システムとは
今回共同開発したシステムは、たえず変化するリスク状態に対して「どの資産を守らなければいけないか」を表示、すなわち資産に対する「リスクを見える化」をするシステムです。建物の構造と外部環境の情報に加え、建物に設置されている各種のセキュリティシステムから得られる稼働情報・履歴情報を基に、重要資産に対するリスクをリアルタイムで算出、数値化します。また、建物内における重要資産の位置の変化を把握、表示し、同時に外部からの侵入経路の扉の開閉状態や重要資産付近の人の状況を加味して、その瞬間のリスク値を算出します。管理者は、パソコンの画面上でリアルタイムにリスク値を把握することができ、必要に応じて最適なリスク対策を講じることで、効果的かつ経済的なセキュリティマネジメントを行うことが可能になります。
開発の背景
建物内の重要資産に対するリスクは、第三者の外部からの進入や、セキュリティ事故からの情報漏洩など多岐に渡り、通常は事前の想定に則って様々な対策が行われます。しかし、重要資産に対する管理状態のリスク評価は、ほとんどの場合、建築時、リニューアル時、マネジメントシステムによる年に1回~数回程度のリスクアセスメント時以外は、定常的に行われていないのが現状です。
このような状態では、想定を超える事象が発生したり、リスクが比較的低いにも関わらず過剰な対策が行われ、無駄なコストを発生させるなどの不整合が起こっています。また、定期的なリスクアセスメント回数の増加は、業務負荷増や経費増という形で企業経営を圧迫します。資産が質・量ともに多くなり、リスクが絶えず変化する企業環境の中では、リスクをよりリアルタイムで定量的に把握することが必要となっています
今後の展開
オムロンは、今回開発した「リアルタイムセキュリティ管理システム」を、他社にない強みの一つとして、お客様に対してご提案をさせていただきます。
竹中工務店とセキュアプランニングは、今後もオムロンと共同で、既存の工場やオフィスを主なターゲットとして同システムの普及を図っていきます。また、設計時点からISSOP-Cを利用することにより、高セキュリティな建物の実現をめざしていきます。
見える化商品イメージ
オムロン草津事業所新3号館外観
- 詳細お問い合わせ先
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ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネスカンパニー
セキュリティソリューション事業推進室 事業推進部 [担当:杉立]
東京都港区虎ノ門3-4-10
TEL : 03-3436-7102