左右60°までの斜め顔を0.033秒で動画顔検出可能 ~「OKAO Vision動画顔検出LSI」を開発~
- 2006年9月22日
- オムロン株式会社
オムロン株式会社は、このたびカメラなどで撮影された人物のディジタル画像から、0.033秒以内の高速で、左右60°までの斜め顔を検出できる機能をLSI化する技術を開発しました。なお本技術は、10月3日(火)から7日(土)まで幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2006」に出展します。
<イメージ写真>
開発の背景
これまで、当社はパソコンや携帯電話などのCPU(中央演算装置)上でのソフトウェアによる顔認識システム「OKAOTM Vision」を開発し、入退出システムの露出補正や写真印刷の明るさ補正および美肌機能を実用化してきました。しかしながら、静止している人物を捕らえることは比較的容易なものの、動きの早い人物を正確に補足することは、高性能パソコンでも困難な状況でした。
特徴
- 処理時間0.033秒以内を実現
オムロン独自の「Real Classifier(リアル・クラシファイア)手法(注1)」の開発によりアルゴリズムの高速化を実現し、さらにLSIチップ化することで、動画の描画速度である1秒当たり30画面の処理が可能な1画面あたり0.033秒以内の高速な顔位置検出が可能となりました。 - 左右60°までの斜め顔を検出可能
「Real Classifier手法」では、顔かどうかの識別を確率分布に基づいて行うことにより顔の識別能力が向上し、左右60度、上下30度の斜め顔の検出も可能となりました。 - 高い検出率と低い誤検出率を同時に達成
様々な撮影環境下においても高い検出率と、2個/100画像 以下の低い誤検出率を実現しました。
今後の展開
例えば「OKAOTM Vision動画顔検出LSI」を監視カメラへ搭載することにより、動きのある人物でも顔画像のみを画像から高速に抽出できます。さらに拡大・露出補正・自動焦点などの機能を別途付加することにより、より鮮やかな顔画像を補足できるようになります。
また、テレビなどの映像機器では、顔位置がわかるためにより自然な肌色の再現が可能となります。さらにはプリンターなどの印刷機器などに組み込むことで、顔に合わせた印刷時の明るさ補正や色補正などの付加機能が搭載できます。
このように撮像から画面表示、さらには印刷に至るまでの画像を扱うあらゆる機器類への搭載の可能性があり、今後マーケティングを強化し、搭載機器に合わせたLSI チップを製造し、市場投入をしていきます。
注1) Real Classifier手法
顔か顔以外かの識別を、顔らしさの確率分布に基づき判別するオムロン独自の手法。従来は顔か顔以外かの識別を、「顔=1」もしくは「顔以外=0」の二値を様々な観点で識別し、複数の識別処理を実行することにより最終的に判別していました。Real Classifier手法では、顔らしさの確率分布にもとづいた多値識別(0~1の間のアナログ値による識別)を用いることで、従来の二値による識別に比べて複雑な識別が可能となり、正面顔だけでなく、60°の斜め顔でも検出できるようになると共に、処理に必要な識別工数を同条件で1/4に削減できます。
主な仕様・性能
入力画像 | QVGA(320×240ピクセル) 8bitグレースケール |
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顔の傾き | 顔の検出方向に対して±45° |
顔の向き | 左右60° 上下30°以内 |
最小顔サイズ | 20ピクセル |
最大顔検出数 | 35個 |
パッケージ | 100ピン FBGA |
大きさ | 10mm×10mm |
検出率(*1) | 約90% |
誤検出率(*1) | 2個/100画像 以下 |
処理時間(*2) | 0.033秒以内 |
(*1)運動会、旅行等、一般撮影画像4400枚での検証結果であり性能を保証するものではありません
(*2)動作クロック100MHz、最小顔サイズ20ピクセルでの動作。
処理速度は画像の条件により異なります。
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