世界初、橈骨動脈の脈波をセンサが自動的にとらえるオムロン血圧脈波検査装置AI『HEM-9000AI』 -9月7日発売-
- 2005年9月1日
- オムロン ヘルスケア株式会社
オムロン血圧脈波検査装置AI『HEM-9000AI』
オムロン ヘルスケア株式会社(本社:京都市、代表取締役社長:赤星慶一郎)は、世界初 手首橈骨(とうこつ)動脈の脈波をセンサが自動的にとらえ、循環器系疾患の指標AI(Augmentation Index)値を手首で簡単に測定することができる「オムロン血圧脈波検査装置AI『HEM-9000AI』」を、医療機関向けに9月7日より発売します。
近年、がんに次ぐ日本人の死亡原因として「脳梗塞」「心筋梗塞」などの循環器系疾患が上位を占めています。そして、これらの疾患の原因となる「高血圧」「肥満」「糖尿病」などの生活習慣病患者も年々増加しています。生活習慣病が進行すると、循環器系疾患を引き起こす動脈硬化が進みます。中でも、血管に大きな負担をかける高血圧は、動脈硬化のスピードを速めることが分かっています。そのため、「血管の状態」を検査し、心臓への負荷、動脈硬化の進行具合を把握することで、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患の予防・治療を効果的に行うことができます。
現在、「血管の状態」は、「脈波」*1を測ることで把握することができます。「脈波」を測る主な指標には、心臓の収縮とともに発生する「駆出波」と、駆出波が末梢血管や動脈の分岐部で反射することにより発生する「反射波」の比率で求めた「AI」値と、腕から足首までなど、2つの部位間での脈波の伝播速度である「PWV(Pulse Wave Velocity)があります。しかし、脈波の重要性にもかかわらず、既存の脈波計測機器ではその計測方法が難しく、なかなか普及しませんでした。
このたび医療機関向けに発売する「オムロン血圧脈波検査装置AI『HEM-9000AI』」は、当社新開発の脈波センサにより、世界で初めて自動で手首の橈骨脈波を捉え、AI値を計算するものです。
測定方法は、左手首を手首台に置き、橈骨動脈上に脈波センサユニットを手首に装着し、本体のスタートボタンを押すだけです。計測時間は約1分で、同時に右手で血圧測定も可能です。AI値の計測と同時に心拍数75に換算したAI値*2、脈波波形、脈拍、血圧値、血圧測定時の脈拍数、反射波の最高血圧値、駆出波の最高血圧値を計測でき、その結果は本体表示画面に表示され印刷することができます。印刷されたデータでは、患者にも自分の血管の状態が簡単に分かるように、被測定者のAI値の年齢標準値との比較がグラフに示されます。
医師は、患者のID(氏名、生年月日、性別、身長、体重、メモ)を登録し、記録を保存できるため、患者の測定結果の推移を確認することが可能です。また本体は、幅240mm×高さ260mm×奥行き235mm、脈波計測ユニットも幅170mm×高さ145mm×奥行き315~410mmと診察室の机上にもおけるコンパクトサイズです。
なお当商品は、当社グループ会社のオムロン コーリン株式会社が販売します。
詳細は次のとおりです。
*1 脈波とAI値について
脈波は、心臓が血液を全身に送り込むために収縮することによって発生する「駆出波」と、その駆出波が全身に行きわたる際に末梢動脈や動脈分岐部などで反射することによって発生する「反射波」とで構成されています。
心臓は血液を全身に送り出すために収縮を終えた後、血液が心臓(左心室)に逆流しないよう大動脈起始部にある大動脈弁を閉じます。この間に冠状動脈に血液が送られ、同時に心臓が拡張します。そしてまた収縮を繰り返します。
「反射波」はこの大動脈弁が閉まる前後に心臓に返ってきます。ここで末梢動脈や太い動脈の脈波伝播経路が硬いと反射波の振幅が大きく、また反射波が戻ってくるまでの時間が短くなります。従ってこの場合、反射波は大動脈弁が閉じる前に左心室へ戻ってくることになり、心臓に非常に大きな負担を与えることになります。
この反射波の特性を利用し、動脈の硬さや心臓への負荷を示す指標として、脈波の駆出波に対する反射波の大きさの割合をAI(Augmentation Index)と定義しています。反射波が大きいほど、また反射波が戻ってくるまでの時間が短いほどAI値は大きくなります。
反射波が大きくなる(AI値が大きくなる)と、心臓はそれに負けないように血液をより高い圧力で送り出そうとし、血管はその力に耐えるために硬くなります。その繰り返しの結果、心肥大、高血圧、動脈硬化が進んでいくと言われています。
このようにAI値は「心臓にかかる負荷」や「動脈の硬さ」を表す指標と考えられます。
AIの計算式
年齢によるAI値の変化
*2 脈拍数75に換算したAI値について
AI値と脈拍数には、負の相関があることが分かっています。つまり、脈拍数が多いとAI値は低く出ます。そのため、患者のAI値を管理するには、同じ心拍数でのAI値での比較が必要になります。
当社では、測定時のAI値と心拍数とともに、心拍数75に換算した場合のAI値も表示します。
主な特長
1. 世界初 橈骨動脈の脈波をセンサが自動的にとらえ、AI値を手首で簡単に計測
当社が新開発した脈波センサにより、世界で初めて自動でセンサを最適押圧し、最適なポジションのセンサを選択することで、忠実な橈骨(とうこつ)脈波による精度の高いAIの計算が可能になりました。これにより、座位のままで、熟練を要することなく、簡単にAI値を計測することが可能になりました。
測定法には、トノメトリ法*の採用と前述の自動押圧、自動センサ選択の技術により、カテーテルによる直接法とほとんど同じ波形が得られるようになりました。
橈骨動脈
橈骨動脈
*トノメトリ法について
動脈に扁平な接触面を持つセンサを押し当て、このセンサに抗して拍動する動脈の内圧の変動を電気信号に変換して測定する方法。血管壁の硬さや張力の影響を受けることなく血管内圧を測定できます。トノメトリ方式を採用することにより、カテーテルで測定された(直接法)波形に近い、精度の高い波形を得ることが可能になります。
手首直接法と手首トノメトリ法の脈波形の比較
2.外来での使用が可能な、熟練不要の簡単操作、コンパクト設計
測定方法は、座位のまま左手首を手首台に置き、脈を取り、橈骨動脈上に脈波センサがくるように脈波センサユニットを手首にぴったり装着し、本体のスタートボタンを押すだけです。測定時間は約1分。熟練の必要もなく、診察室で簡単に測定できます。同時に右手で血圧測定も可能です。
本体は、幅240mm×高さ260mm×奥行き235mm、脈波計測ユニットも幅170mm×高さ145mm×奥行き315~410mmと診察室の机上にも置けるコンパクトサイズなので、場所を選ばずに設置できます。
①まず脈をとる
②ベルトをかける
③再度脈をとる
④センサを移動
⑤スタートボタンを押す
3.測定結果を大型画面と印刷にて表示
脈波波形、脈拍、AI値、心拍数75に換算したAI値*2(p3参照)、AI測定時の心拍数、血圧値、血圧測定時の脈拍数、反射波の最高血圧値、駆出波の最高血圧値の計測結果は、すばやく本体表示画面に表示されるとともに、印刷もできます。印刷されたデータでは、被測定者のAI値が、年齢標準値と比較して高いか・低いかがグラフ上に示されるため、患者にも自分の血管の状態が簡単に分かります。
本体表示画面
印刷画面
4.ID登録で、患者情報を管理
患者のID(氏名、生年月日、性別、身長、体重、メモ)を登録し、記録を保存できるため、患者の測定結果の推移を確認することが可能です。
付属の128MBメモリーカードで、全波形保存なしの場合は約8,000回、全波形保存ありの場合で約320回分のデータが保存できます。(30秒測定の場合)
販売目標
初年度 150台(05年9月~06年3月)
2006年度 300台(06年4月~07年3月)
販売元
オムロン コーリン株式会社
主な仕様
名称/型式 | オムロンデジタル自動血圧計「HEM-9000AI」 | |
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医療機器分類 | 管理医療機器 特定保守管理医療機器 | |
測定方法 | オシロメトリック法(血圧計測)、トノメトリ法(AI計測) | |
基本性能 | 血圧 | 圧力 : 0~299mmHg 測定精度 : ±4mmHg以内 |
脈拍 | 脈拍 : 30拍/分~199拍/分 測定精度 : 読み取り値の±5%以内 |
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脈波計測 | 測定範囲 : 30拍/分~199拍/分 | |
電源電圧 | AC100V、50/60Hz | |
消費電力 | 150AV | |
使用温湿度 | +10~+40℃ ・15~85%RH | |
保存温湿度 | -20~+60℃・10~95%RH | |
質量 | 本体 約5.3Kg(電源コード・接続ユニット含む、カフ・プリンタ用紙・メモリーカード含まない) 脈波計測ユニット 約1.3Kg(脈波センサユニット含む) |
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外形寸法 | 本体 幅240mm×高さ260mm×奥行235mm 脈波センサユニット 幅140mm×高さ55mm×奥行60mm 脈波計測ユニット 幅170mm×高さ145mm×奥行315~415mm |
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医療用具承認番号 | 21600BZZ00216 | |
JANコードNo. | 4975479605017 |
- 詳細お問い合わせ先
- オムロン ヘルスケア株式会社
E-mail : pr_ohq@omron.co.jp - 詳細お問い合わせ先
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