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世界最高レベルの安全制御を実現するセーフティネットワークコントローラの発売とセーフティ事業の展開について

  • 2005年4月6日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー(以下:IAB、 カンパニー社長:立石文雄)は、安全制御の拡張、トータルシステム制御を容易にする セーフティネットワークコントローラ(以下SNC)の発売を4月20日から開始します。 <イメージ写真>
また、IABでは新たな社会ニーズである「安全」への対応力強化を図るために今回の新商品リリースに加えて、4月1日付けでセーフティコンポ事業部を新設し、2007年度のセーフティ事業の売上を現在の2倍にあたる150億円に引き上げる予定です。

SNC開発の背景1~製造業を取り巻く環境変化~

製造業を取り巻く環境変化として、経験やノウハウを持った熟練者の減少によるパート労働者の増加やアウトソーシングの増大、といった労働環境の変化があげられます。これらは、生産設備の設計、保全をはじめ、機械の安全化とノウハウをいかに継承、伝承していくのか、という新たな課題を引き起こしています。
また、自動車や半導体/FPD(フラットパネルディスプレイ)装置をはじめとする日本企業のグローバル化の進展により、生産設備自体に対しても、安全設計が求められています。
このように「安全」は、重要な経営課題になってきています。

SNC開発の背景2~高度化する機械装置~

自動車製造などでは、大型の機械設備が多数使用されています。こうした機械設備で用いられる安全回路設計では、回路構成やセンサ間の接続に大量の配線を施す必要があるため、安全回路の複雑化をまねき、施工や保全面を困難なものにしていました。  
従来は、リレーを組合わせて安全回路を構成していましたが、機械制御に必要な入出力配線のほか、安全制御にも別途配線をする必要がありました。しかし、リレーによる安全回路では、設備機械の高度化に伴い、配線が複雑になり、安全回路の変更、追加が困難でした。
保全性の効率を上げるため、分散している安全機器をモニタリングしたい、製品ライフサイクルの短命化による製造ラインの変更を容易にしたい、といったニーズを解決するために、安全回路のプログラム化とネットワークに対応したセーフティコントローラの開発が求められていました。今回発売するSNCは、こうしたニーズを背景に開発したものです。

SNCの特長

今回発売するSNCは、セーフティコントローラとしては世界で初めてDeviceNet Safetyのインターフェースを内蔵しています。また、安全回路に必要な機能をモジュール化し、プログラマブル化を実現しています。機能安全としてはIEC61508のSIL3(*1)、機械安全としてはEN954-1のカテゴリー4(*2)に適合しており、世界最高レベルの安全基準を満たしています。
SNCは、以下の3つの特長を持ちます。

  1. 安全制御回路のプログラマブル化に対応 安全規格(IEC61508 SIL3/EN954-1 カテゴリー4)に対応した安全制御回路のプログラマブル化を実現していることで、設備の設計変更にともなう安全回路の変更/追加を容易にします。
  2. ネットワークによる柔軟なシステム拡張
    SNCをセーフティネットワークと組み合わせ、安全機器との配線をDeviceNet Safety化することで、コントローラへの配線は最低限となります。複雑で規模が大きいシステムでは、安全回路の入出力の配線以外に論理構築のための回路間の配線が必要となりますが、最大50%の配線削減が期待できます。これにより設置時/メンテナンス時の配線ミスの軽減、変更時の作業性が向上します。
  3. 既存システムとの親和性
    従来、安全制御はハード的に機械制御と分離しなければいけなかったため、最適制御/保守性確保のために配線接続を別途おこなっていました。SNCは、オープンネットワークであるDeviceNetを利用しているため、物理的に同じ線で保全情報を機械制御側のコントローラに伝送することができ、省配線と保全情報の確保が容易となります。
(*1) IEC61508のSIL3

安全回路には、いざという時に必ず機能する「安全性」が必要です。その指標としては、逆に「どの程度、安全でない状態にあるのか」が利用されます。
IEC61508では、「時間あたりの危険故障確率」、つまり失敗確率(Probability of Failure pre Hour)を定義し、このPFHによって、SIL(Safety Integrity Level)を4段階に分類しています。SIL3は、危険な故障が起こる確率が1000年に1回以下、という失敗確率を意味し、機械安全の分野では最高水準です。

(*2) EN954-1のカテゴリー4

EN規格では、機械のリスクの大きさを評価し、リスク低減策を講じるように義務づけています。
リスクの大きさは、
1)怪我の度合い(軽傷なのか、重傷なのか?)
2)危険にさらされる度合い(まれに発生するのか、頻繁に発生するのか?)
3)危険を避けられる度合い(可能であるのか、逃げられないのか?)
によって査定・評価されます。
「EN954-1」では、5つの安全カテゴリーで規定されており、カテゴリー4は最も安全レベルの高い設計要求になります。「重症(手足の切断、死亡など)、頻繁に発生し、危険回避の機会がほとんどない」という危険度の最も高い場合に要求されるカテゴリーです。
このカテゴリーにおいては、いずれの部分の単一の不具合(障害)も安全機能の喪失をまねかない、かつ不具合の蓄積が安全機能の喪失をまねかないことが要求されます。

価格 オープン価格

セーフティネットワークコントローラ
NE1A-SCPU01:200,000円
セーフティ I/Oターミナル
DST1-ID12SL-1:90,000円
DST1-MD16SL-1:94,000円
DST1-MRD08SL-1:95,000円
セーフティネットワークコンフィグレータ
WS02-CFSC1-E/J :オープン価格

セーフティ事業の位置付け

IABは「品質」「安全」「環境」といった新たな社会ニーズに対応した事業も展開しています。IABでは、セーフティ事業を中期経営構想(GD2010)の「成長構造の実現」を具現化させるための戦略的施策として位置付け、お客様に対して、“センシング&コントロール”技術という当社独自のコア技術を用いることで、新たな価値を提供していきます。

セーフティ事業のコンセプト

オムロンは、セーフティ事業のコンセプトを「労働安全の確保に対して、ユーザ様/装置ベンダ様へそれぞれに最適な安全方策をグローバルに提供する」として、これまでの強みであるグローバルなサポート力と総合メーカとしての品揃えの更なる強化に取り組んでいきます。
これまでの事業は、「安全防護対策によるリスク低減」及び「追加の予防策によるリスク低減」という課題に対して、セーフティスイッチ、セーフティライトカーテン、セーフティリレー等のセーフティコンポーネントの提供をしてきました。しかし、昨今の日本の製造業のグローバル化や労働安全の強化に伴い、機械装置の設計段階からの安全設計構築や具体的な対策などの課題が顕在化してきました。
こうした課題にお応えするため、セーフティコンポ事業部を設置し、
・ 製造現場の様々な危険源を未然に排除するためのセンシング機器、コントロール機器
・ 複雑な安全回路と制御回路のシステムソリューション
・ 安全設計ノウハウのコンサルティング
を行い、機器の提供にとどまらず、お客様固有の課題を解決するソリューションパートナーへと転換を図ってまいります。

詳細お問い合わせ先
インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー
技術統括センタ インテグレーション戦略・推進センタ
企画部 竹村 宏昭
〒600-8530 京都市下京区塩小路通堀川東入
TEL (075)344-7123
FAX (075)344-7172

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