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米国流通業界向けに、EPC Global仕様UHF帯RFID製品を納入開始

  • 2005年3月29日
  • オムロン株式会社

オムロン株式会社は、2005年1月からの米国流通業界でのICタグ導入に対応し、今月末よりEPCグローバル仕様(*1)のUHF帯RFID製品を国内メーカーとして初めて、大手小売業への納入業者やラベル加工業者等に納入を開始します。2005年度には北米市場で年間20億円の売上げを見込んでいます。

2005年度 北米RFID事業規模見込み(年間出荷枚/台数)
ICタグインレット V740-D12P01 4,000万枚
リーダライター V740-BA50C02-US 7,000台
アンテナ V740-BA50C02-US 14,000台

今回納入するICタグインレットは、米国で使用されているUHF帯902~928MHzの周波数帯域に対応し、国際標準化団体EPCグローバルの規格であるEPCグローバルClass 1b(*2)に準拠しています。また、このICタグインレットは、オムロンが独自で開発した「超音波を応用した実装技術」を採用しています。この技術により、ICチップのモジュールへの短時間実装を実現し、さらにそのモジュールをコイルへ金属融着により強力に接続しています。その結果、高品質なICタグの大量生産を可能にし、お客様に低価格なICタグインレットを提供することができます。
なお、EPC規格の最新仕様であるC1G2(Class1, Generation2(*3))に準拠したICタグインレットは、チップメーカーよりICチップが供給された時点で反映する計画です。

また、リーダライターは、米国のUHF帯域用に設計され、EPC規格であるプロトコルClass0、Class1、Class1bの各種ICタグと読み書きすることができます。EPC規格の最新仕様であるC1G2対応のリーダライターは、CIG2仕様のICタグインレットと共に、準備でき次第市場へ投入していきます。既に出荷済みのリーダライターについては、リーダライター本体のソフトウェアを更新することで対応します。

米国流通小売業界でのICタグ導入の背景

2002年以来、米国大手流通小売店であるウォルマート・ストアーズは、①サプライチェーン上でバーコードによる入出荷作業の削減、②欠品による売上機会損失を防止、③流通過程における不正行為を防止、④サプライチェーン上の商品追跡のコスト削減などの導入効果の検証をしてきました。また、ウォルマート・ストアーズへの納入業者であるサプライヤー、大手ラベルメーカーなどは、各ベンダーの開発したICタグのサンプル製品評価のため実証実験を行ってきました。
その検証結果を受けて、2005年1月1日に、ウォルマート・ストアーズは、納入業者に対してパレット・ケースにICタグの装着を義務化に踏み切りました。製品を梱包したケースや、それを積載するパレットにICタグを装着するため、ICタグインレットの需要は急激に増し、大型の商談が活発化しています。オムロンでは、RFID機器ベンダーとして、RFID導入の豊富な実績、経験に基づくノウハウ、商品技術力の高さを武器に市場での拡販を図っています。米国市場は、2005年に「市場創造」から「実ビジネス」の段階に入り、2006年から2007年にかけて急拡大し、隆盛期を迎えるものと予測できます。

オムロンは、UHF帯のICタグインレット普及・拡大が、米国市場から欧州市場へ、さらに、生産基地である東アジアへと波及するものと予測しています。オムロンは、ICタグインレットとリーダライターの商品化技術・生産技術で、このニーズにマッチした製品をタイムリーに提供し市場を段階的に拡大し、事業量の拡大を目指していきます。

(*1) EPCグローバルについて

EPCグローバルは、流通標準化機関である欧州の国際EAN協会と米国の流通コード機関であるUCCが共同で2003年9月に設立された非営利法人で、ICタグとネットワーク技術を組み合わせたEPC (Electronic Product Code)システムの管理および運営を行っている。ICタグシステムの研究と国際標準化を進めてきたオートIDセンターの研究成果を引き継いでいる。なお、オムロン株式会社は、EPCグローバルの日本組織であるEPCグローバルJAPANの会員です。

(*2) EPCグローバル Class 1b について

サプライチェーンでのアプリケーション向けに規格化されたEPCグローバル標準バージョン1.0のプロトコルClass 1のひとつのバリエーションのことで、128ビットの記憶容量を持ち、そのうち96ビットをユーザーが使うことができます。不揮発性メモリーの搭載により、サプライチェーンでのタグ貼付時にユーザーがプログラミングして、個別アイテム毎に所定のコードを入力できるほか、移動や処理が進むごとにデータを更新することが可能である。128ビットのメモリーは、8ブロック(各16ビット)に区分され、EPC標準に基づく16ビットCRCデータ、中央の6ブロックは、ユーザーに解放され、サプライチェーンで使用される96ビットの製品コードを格納できます。終端のブロックは、メモリー保護するLOCKコマンド、タグが役目を終えたときにICチップを永久停止するプライバシーコマンドといわれるKILLコマンドで使用します。

(*3) EPCグローバル C1G2(Class1, Generation2)について

2004年末に国際標準化団体のEPCグローバルにより承認されたプロトコルのことで、その特徴は、①メモリーの中にEPCを格納するメモリー領域を備え、②高速な読み取り速度を実現し、③プライバシーやセキュリティ機能を付加し、④リーダライターの高密度配置での動作環境への対応など大幅に改善されたことです。ICタグとリーダライターへの伝送速度は、最高640kbpsと高速です。プライバシー対策として、ICタグを永久停止できるKILLコマンドを用意しています。また、セキュリティ面では、パスワードによりメモリーへのアクセスを制限できる機能を用意しています。さらに、リーダライターの高密度配置での相互干渉を回避する機能を用意したことです。ICタグの反射数周波数をリーダライターからの設定できるので、リーダライターからICタグに対する送信周波数と、ICタグからリーダライターへの反射周波数との干渉を回避させることができます。

詳細お問い合わせ先
オムロン株式会社
事業開発本部 RFID事業開発部 
TEL : (03) 5435-2016

本製品は、2008年12月に販売を終了しております。お問い合わせは、こちら

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