0.05秒、全てが止まり 生産現場にイノベーションが起こる

最先端のものづくりが変わる

今、群を抜いて緻密さや品質が要求される半導体の世界をはじめ、薬品・食品などあらゆる世界の製造業がこぞって採用する技術がある。

「制振制御技術」
字を読んで如く、揺れをコントロールする技術であり、世界で唯一オムロンが開発し、ものづくりをする人なら誰しも'うなる'技術がこれだ。

例えば、車を運転している時に横から突然人が出てきて、危ない!と思って急ブレーキを踏んだ瞬間にカップホルダーに入っているドリンクをこぼす、誰しもこんな経験をしたことがあるはず。 制振制御技術を使えば、高速で走っている状態から急停止をしても、カップからは1滴の液体もこぼすことなく、ぴたりと動きを止めることができるようになる。いわば、こぼさないように揺れを極限まで抑えるために、人の手足をどうコントロールするかのノウハウを埋め込んだ技術、これが制振制御技術にあたる。

ものづくりの何を変えるのか?

制振制御技術

今までは製品がこぼれないようゆっくりゆっくり時間をかけて動かしていた時間。揺れが収まるまでしばらく待たなければならない時間。 これからは、どれだけ早く動かしても揺れが収まる時間がほぼゼロの0.05秒になる。

世の中一般的な制御技術では、同じ条件で揺れが止まるまでに13.5秒もかかっていたことと比較すると、この技術の凄さがお分かりになるだろう。

1回13.5秒、この時間が積み上がれば、1日数十分、場合によっては数時間単位の時間が短縮できる。言いかえれば、この技術があれば、機械の台数を増やさずに生産される製品数を劇的に増やすことができる。つまり、少ない設備投資でものづくりができるようになった分、新しいものづくりに投資できるということになる。 だからこそ、ものづくりの現場では1秒単位で時間を縮めることに拘っている。

この技術の凄いところは、これだけではない。
この制御技術を組み込むだけで、揺れない、ずれない、こぼれない、倒れない、崩れないといった応用が、いろんな組み合わせでできるようになる。
大がかりな設備投資なしで、精度の高い作り方ができるようになる。
世の中のニーズに即応し、従来以上の品質でコストも下がり、新しい製品開発に投資ができるようになる。経営も現場もうれしいことばかりになる。

この世界にオムロンにしかない技術開発をリードするのが、オートメーションセンターのエンジニアたちだ。

「どこにもできない技術だけを開発する」と宣言して、こうして蓄積された制御技術は僅か数年の内だけでも数十に積み上がる。
毎月新しい技術が1つ生まれている計算になる。

「わたしたちのお客様は、ものづくりにイノベーションを起こして、人々の生活を豊かに便利にしたいと考えていらっしゃいます。

わたしたちは、お客様と思いを一つに現場の課題に向き合い、解決してきました。こうした蓄積があるからこそ、ものづくりを変える制御技術が生み出せるのです。」

なぜ、ものづくりの先端を走る企業がこぞって採用する技術を生み出せるのか?
この問いに、真っ直ぐにお客様の現場を見ているかのように、エンジニアメンバーをリードする中西は当たり前のように答える。

そして続けた言葉は、
「ものづくりを変える技術はオムロンの中に沢山ある。もっとこの技術を沢山の人に知ってもらえれば、世の中に起こるイノベーションのスピードも上がるはず」

日の目を見なかった残り9割の蓄積技術が活きてくる

日の目を見なかった残り9割の蓄積技術が活きてくる

世界中のお客様の課題を聞きながら、日々実験室、自社の機械、そしてお客様の生産の現場で検証を続ける中で、蓄積されてきた技術が課題と結びつき、技術が日の目をみるタイミングがやってくる。

制振制御技術は、実験を日々繰り返すなかで、ある日、より短い移動時間で揺れが収まるポイントを偶然発見したことがきっかけだった。

「この制御方法を応用すれば、生産現場のあらゆる振動を止めて、より生産が効率的になるのではないか?」

この発見から、生産現場の課題をイメージし、振動が発生するメカニズムの解析など技術開発に取り組んだ。
そして、構想から3年の間に変化成長させながら、多くの工場で使われる技術になった。

この技術ができるのも、常識を超えるレベルの制御の高速化にチャレンジしてきた製品がベースにあったからこそ、そして、その技術を礎に現場で経験を積み上げてきたからこそ。

「わたしたちは商品を売っていません。世の中をもっとよくするために、粘り強くものづくりを変えていきます。」
最後に、力強く中西は言葉を結びました。

制御技術

ものづくりでしのぎを削ってきた日本で生まれた制御技術は、今では進化しながら世界中で採用され、人々の豊かな生活を見えないところから支えています。

オートメーションは、人のためにできることがもっとある。
そう信じるわたしたちです。

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