リサイクル素材を活用したフェイスシールドホルダーで地域社会へ貢献

新型コロナウィルス感染症(以下、コロナウィルス)の蔓延によって、世界中の国々が困難に直面していました。マレーシアもその例外ではありませんでした。感染数の爆発的な増加をうけ、政府はやむなく厳格なガイドラインの遵守を国民に義務付け、マスク着用を必須としました。また、使い捨てマスクの不足を防ぐために、12歳以下の小学生に対してはフェイスシールド着用を推奨しました。その一方で、急増した感染予防のための個人用防護具(PPE)の需要に追いつくために、国内の最先端の技術をもった製造業各社が力を出し合わなければならない状態でした。

 

志と英知の結集

オムロンのマレーシア工場でも、社員たちが一丸となって、この難局に立ち向かいました。この工場では、家電用部品であるリレーなどを中心に月間約1200万台を生産し世界各地へ出荷しています。同工場のエンジニアリング部門の社員たちは、コロナウィルスに立ち向かう政府の取り組みに貢献したいという思いから、金型を設計・製造する専門技術を応用して、フェイスシールドのホルダーを作ることを決めました。そこで出たアイデアが、現在使用していない金型を使い、湯道廃棄物*から取り出したリサイクル可能なポリカーボネートを活用するというものでした。

*湯道は部品を製造するときに溶融プラスチックを型に流し込むための通路ですが、部品の製造が終わると湯道は廃棄物になります。

315_2.jpg使用していない金型とリサイクル可能なポリカーボネートを活用して制作したフェイスシールドホルダー

 

オムロンの企業理念を行動に移す

通常業務に従事する中で、過去に経験のないフェイスシールドホルダーの企画設計に取り組むことは、非常に困難な挑戦でした。しかし、オムロンの企業理念にある、Our Values「絶えざるチャレンジ」が彼らの背中を押しました。子供たちや最前線で働く方々にとって、着け心地が良く、耐久性があり、かつ安価なフェイスシールドホルダーを設計するために、入念な話し合いと試行錯誤を行いました。

315_3.jpg試作品の試験

 

地域社会への還元

試作品テストと改良を何度も繰り返し、ついにフェイスシールドホルダーが完成。地域の学校や最前線で働く方々、同じ工場で働く仲間にむけて、合計約500点寄付されました。エンジニアリング部門のメンバ―は、コロナ禍のもっとも厳しい時期に、自らの技術と知恵で社会に貢献できたことをとても誇らしく思っています。

315_4.jpg完成したフェイスシールドホルダーを学校へ寄付

今回の取り組みは、オムロン社員の優れたチームワークと、「ソーシャルニーズの創造」「絶えざるチャレンジ」「人間性の尊重」という企業理念実践の結果そのものです。誰かが動くのを待つのではなく自らの手で課題に取り組む社員の姿勢は社会課題の解決につながり、地域社会の充実した豊かな暮らしに貢献すると固く信じています。