東西の十字路から世界のモノづくり革新を トルコ最大の包装機械メーカー、ベタパック社との共創

トルコ共和国は、アジア大陸とヨーロッパ大陸の2つの大陸にまたがる国。2018年に総人口は8,000万人を超えた。様々な文化の交差点に位置するこの国の経済成長は現在右肩上がりだ。

それは製造業も例外ではない。地理的にヨーロッパと中東、そして西アジアを輸出相手とするトルコは、ヨーロッパの求める品質基準やクオリティーを達成しながら、アジアで競争するためのコスト対応力も必要である。

このような市場でチャレンジを続けるオムロントルコを牽引する、ジェネラルマネージャーのベンギーとそのチームを追った。

よいチーズをつくるにはよい牛乳が要る

ベタパック社のジンギス会長がオムロンのオートメーション技術を評して語った言葉だ。

ベタパック社はトルコ最大の包装機械メーカーとして、マクドナルド、バーガーキング、ユニリーバなど多くのグローバル企業と取り引きする地元で有名な企業だ。同社の技術は高く評価され、トルコを代表する航空会社「トルコ航空(Turkish Airline)」の機内食でも使われるようになった。

トルコ航空の機内食を製造するベタパック社の包装機械トルコ航空の機内食を製造するベタパック社の包装機械

「オムロンとは、約20年の付き合い。PLCを購入したことからオムロンとの関係が始まったが、今では生産現場全体のオートメーションと生産量の管理を見てもらっている。当社のマシンは世界でもよく売れているが、やはりよいチーズをつくるにはよい牛乳がいるね。」と、ジンギス会長は語った。

ベタパック社 ジンギス会長ベタパック社 ジンギス会長

ファクトリーオートメーションはセンサーやコントローラー、ロボットなど機器単体だけの話ではない。幅広い制御機器や技術を有機的に繋げる現場を熟知したアプリケーションの知見、そして人とロボットが協調して働けるよう生産現場では安全性の担保も欠かせない。さらにはアフターサービスも含めたトータルケアが、オムロンのソリューションの魅力だと言う。

リレーションシップマネジメントからコンサルティングが生まれる

「ソリューション提供には、お客様の声を聞くことから始まります。」と語るのは、オムロントルコ ジェネラルマネージャーのベンギー・ペキメゾール。

トップからボトム、マシンの領域を問わず、情報を集めると全体を俯瞰することができる。そこで初めてリスクや効率化のポイントなど、全体最適に向けた重要なポイントが浮き上がってくる。部分最適から全体最適への進化であるファクトリーオートメーションでは、現場でのヒアリングを通じて、お客様の課題を点として、一つずつ繋げて線にすることが重要なのだ。

オムロンは過去20年で大きく変化した。スイッチやコントローラーなど単体の製造・販売から、ファクトリーオートメーションのソリューションプロバイダーとなった。この変化を大きく加速させたのが2016年から提唱している、"i-Automation!"というコンセプトである。

※"i-Automation!"はオムロンが提供する価値の方向性を示したコンセプトワードです。生産現場における"制御進化"(integrated)、
"知能化"(intelligent)、"⼈と機械の新たな協調"(interactive)のオートメーションでモノづくり革新に取り組んでいきます。

「営業は、お客様との信頼関係がキーになります。信頼関係があれば、新たな取り組みにも好意的に耳を傾けてくれ、まずデモンストレーションを見てみようかという話になります。もしお客様の生産現場で、すでにInteractive(人と機械の協調)とIntegrated(制御進化)の取り組みが進んでいれば、そこにIntelligent(知能化)を導入するとどのようにスマート化するのか、お客様のニーズにあった形で補完します。そして、実際にイノベーションラボ(オムロンにあるテストセンター)でお客様の実機を利用しながら生産現場のイノベーションを一緒になって創造していきます。テクノロジーはきっかけに過ぎません。全ては信頼関係とサービス力がお客様を動かすのです。」とベンギーは続けた。

オムロントルコ ジェネラル マネージャー ベンギー・ペキメゾールオムロントルコ ジェネラル マネージャー ベンギー・ペキメゾール

私たちの仕事の先には、社会的課題の解決がある

ジンギス会長とベンギーのインタビュー中よく聞かれたのが、ローカライゼーションという言葉。トルコは輸入依存国であるため、株式市場や為替相場の影響を受けやすい。自国で生産して自国で消費、可能であれば輸出量を増やそうと国をあげて取り組んでいるのだ。過去20年で数回の経済危機とインフレを経験したお国事情が背景にある。

ファクトリーオートメーションを進めることで、より多くの生産が可能になり、エネルギー消費も抑えることができる。また、自分たちの仕事を通じて産業が活性化すれば、トルコの経済が安定する。そうした思いが彼らの中にはあった。

「私たちは、企業理念と共に生きています。ソーシャルニーズの創造、絶えざるチャレンジ、そして人間性の尊重。これらは私たちのファクトリーオートメーション事業だけでなく、お客様に対するコミュニケーションとしても大事にしています。例えば、オートメーションが改善されれば、エネルギー消費を削減することができ、効率的な生産が可能になります。このことが環境問題の解決や、トルコのインフレ抑止につながる。事業を通じて、わたしたちは社会的課題と向き合っているのです。」とべンギーは熱く語った。

このチームに感謝している

トータルソリューションを提供するためには、チームが大事だとベンギーは言う。具体的なアプリケーションに沿った課題解決提案からカスタマーサービスまでの各分野を強化し続けなければならず、加えてそれらが有機的に繋がって機能していなければならない。だからこそ、べンギーはチームビルディングやモチベーション管理にこだわる。

ベンギーの想いはチーム内でも浸透しており、お客様の現場における"i-Automation!"の実現に向けて、エンジニアの課題解決力とトータルソリューション提供の視点、そしてきめ細かいアフターサービスや技術者の教育支援など、各専門機能が特長を活かし活躍するチームが形成されている。

「私は高校生の時から、英語を活かしてグローバル企業で働くという夢がありました。電気工学を専攻し、人に対して価値を与えたいと常に思っていました。これは夢であると同時に目標でした。エンジニアとしての夢を叶えた私はいまではよきチームと従業員にも恵まれ、管理職としても挑戦を続けています。今この仕事ができている私は幸運です。」

最後にベンギーはこう締めくくった。

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