CorporateJapan

RECRUITING INFORMATION
新卒採用 MY
PAGE
2025
キャリア採用 障がい者採用 事業別
採用サイト
D&I

英国における高血圧患者のリモート診療を実現。
「Hypertension Plus」の開発に挑んで。


心不全や脳卒中の主要因となる、高血圧。効果的な血圧管理は、世界中で喫緊の課題となっている。特にイギリスでは4人に1人が高血圧症と言われ、これらは循環器疾患につながり患者を苦しめることはもちろん、医療現場を圧迫している。
オムロンヘルスケアヨーロッパ(OHE)のデジタルヘルス部門サービス企画マネージャー ブライニングさんを中心としたチームは、このイギリスにおける社会的課題に着目した。
高血圧に苦しむ人を減らし、医師の負担をなくしたい——その想いが、画期的な高血圧遠隔診療サービス「Hypertension Plus(ハイパーテンションプラス)」を誕生させた。

高血圧を抱える患者と
医療現場の負担を解消するために

高血圧は、世界的にみても心血管疾患の主要なリスク因子とされており、心臓発作と脳卒中の50%以上が高血圧に起因すると言われている。例えばイギリスでは4人に1人が高血圧に苦しんでおり、その40%以上が未診断のままとなっている。その一方、毎日約560人もの患者が心臓発作や脳卒中で入院している。
こうした状況は、患者はもちろん医療現場にとっても大きな負担となっている。イギリスの場合、緊急時を除き、受診する医療機関は事前に登録した「かかりつけ医」と決められているが、その診療予約の約12%が高血圧に関連するとされる。患者1人当たりの平均診療予約回数は6〜7回にも上り、医師は多大な時間を費やしている。
この喫緊の社会的課題を解決するためにブライニングさんを中心としたチームが取り組んだのは、医師が高血圧患者の状態をタイムリーにリモートで確認し、患者の状態にあわせて投薬プランを提案することができる新たなサービスだ。
イギリスでスタートしたこの画期的な高血圧遠隔診療サービスは、「Hypertension Plus(ハイパーテンションプラス)」と名づけられた。 ※1オムロン ヘルスケアニュースリリース  https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2021/0414.html

高血圧を抱える患者と医療現場の負担を解消するために

在宅での高血圧治療が可能に。
「Hypertension Plus」の強み

「Hypertension Plus」を企画するうえでブライニングさんらは、主に2つの目標を掲げた。
一つ目は、患者が自分の健康を管理・把握することで健康状態を改善させ、血圧を5mmHg下げること。二つ目は、医師の業務負担を軽減すること。高血圧に関する診療予約を30%減らすことで、本当に診療が必要な患者に時間を割けるように、効率的な治療環境をサポートする。
ではブライニングさんのチームはどのようなサービスでこれらの目標を達成したのだろうか。
Hypertension Plusでは、患者が朝晩に家庭で測定した血圧データをアプリで医師と共有し、医師は電子カルテに接続された管理用画面で患者の血圧データを詳しく確認することができる。医師は最適な治療を受けているか、薬の調整が必要かを判断できることに加え、高血圧ガイドラインに準拠した服薬プランなどを医師に提供する点も大きな特徴となっている。また、モニタリングが必要な患者を把握し、必要時に医師の注意を喚起するシステムになっているため、医師側からプラットフォームを訪れて患者を常にチェックする必要がない。アラート機能もあり、患者は在宅で服薬管理ができるため、通院の負担を軽減しながら高血圧治療を行うことが可能となり、医師も限られた時間内で患者の状態を詳しく確認し、臨床研究によって効果が確認された投薬プランを参考にしながら、診療を効率的に進めることがでる。

在宅での高血圧治療が可能に。「Hypertension Plus」の強み

国を跨ぐプロジェクトを支えたのは、
健やかな生活の実現への揺るぎない想い

患者と医師の双方にとって革新的なサービスだが、開発の途中では壁にもぶつかった。
新型コロナウイルス感染症の流行という予想外の事態で、医師の時間がワクチン接種などに大幅に割かれることとなり、新たなサービスの導入を躊躇するケースも見られたのだ。この課題を克服するために、ブライニングさんらはプライマリーケア(初期治療)の専門家を支援するNational Association Primary Care(NAPC)と協働し、医師が「Hypertension Plus」のサービスで患者を受け入れるサポートを実施した。また、医師がKPIダッシュボードにアクセスできるようにすることで、「Hypertension Plus」が患者にもたらす結果を閲覧し、効果を実感できるような工夫を行った。
オムロンヘルスケアヨーロッパ(OHE)の拠点があるオランダから研究開発チームはイギリス、日本へと各国に跨がり、オックスフォード大学をはじめとするさまざまなパートナーシップが構築された。そして各部署や海外パートナー企業との協働を経て、ついに医療デバイスとしてオムロン初のソフトウェアとなった「Hypertension Plus」が完成。過去1年において2400人以上の利用患者数を計上し、半年後の収縮期血圧を平均で約8mmHg低下させることに成功した。これは、「血圧が10mmHg下がれば心臓発作・脳卒中のリスクが約20%減少する」と推定されるなかで、大きな成果と言える。
ブライニングさんは、これまでを振り返りながら語る。
「1人でも多くの高血圧患者を減らし、医師の負担を減らしたいとの想いで、チームで力を合わせながら、挑戦を続けてきました。より多くの患者さんに広く使用してもらうために、今後も迅速にそして柔軟にプラットフォームを進化させていきたいです」。
ブライニングさんらは現在、「Hypertension Plus」の後継に当たる「Viso(ヴィソ)」の展開に向けて取り組んでいる。これは、高血圧患者向けだった「Hypertension Plus」の遠隔モニタリングサービスを心不全や喘息、糖尿病や脳卒中などにまで広げたものだ。「Hypertension Plus」を利用していた医師から、高血圧患者以外にも同じシステムを使用したいとの声が寄せられたことが、サービスを進化させるきっかけとなった。
循環器疾患と呼吸器疾患、日常生活に影響する痛みの分野で「3つのゼロ」をめざすオムロン ヘルスケアのビジョンのもと、ブライニングさんのチャレンジは加速を続けている。

case003画像

取り組みの事例

地域共助型生活交通サービス「meemo(ミーモ)」の開発

葛藤を乗り越えるプロセスこそ「挑戦」。
「meemo(ミーモ)」で挑む
地方創生への想い。

地域共助型生活交通サービス「meemo(ミーモ)」の開発

交通分野の社会的課題を解決する、地域共助型生活交通サービス「meemo(ミーモ)」。平坦ではなかった実現までの道のりを支えたのは、東日本大震災を機に抱き続けた、地方創生への揺るぎない想いだった。

詳しく見る
寄り添う想いが、未来を変える。視覚障がい者の移動・コミュニケーションを支援。

寄り添う想いが、未来を変える。
視覚障がい者の移動・コミュニケーションを支援。

視覚障がい者の移動とコミュニケーションを支援

視覚障がい者の移動やコミュニケーションを支援する、「AIスーツケース」。オムロンが誇る画像センシング技術が用いられた、この画期的な製品開発の裏側には、視覚障がいを持つメンバーによる協力と絆の物語があった。

詳しく見る
英国における高血圧患者のリモート診療を実現。「Hypertension

英国における高血圧患者のリモート診療を実現。「Hypertension Plus」の開発に挑んで。

温度調節器の製品開発を通じてサステナブルな社会への貢献に挑む

成人の約3割が高血圧症と言われる、イギリス。高血圧に苦しむ人を減らし、医療現場の負担をなくすために、画期的な高血圧遠隔診療サービス「Hypertension Plus(ハイパーテンションプラス」が誕生した。