「家庭での心電図記録文化の創造」にチャレンジ
Going for ZERO ー予防医療で世界を健康にー
ヘルスケア事業では、1973年に家庭向けに血圧計を発売して以来、家庭で測定した血圧が人々の健康に役立つという信念のもと、その普及に取り組んできた。今では、家庭血圧が高血圧治療に活用され、血圧値を適正にコントロールできている高血圧患者が増えたという成果が見られる。
しかし、高齢化にともない高血圧患者はグローバルに増え続け、脳卒中や心不全など高血圧に起因する脳・心血管疾患の発症数は増加している。それにともない医療費の高騰、医療現場では医療リソース不足などの課題がグローバルに顕在化している。一方、デジタル技術やAIの導入といったIT革新は、遠隔診療サービスなどこれからの医療のあり方に変革をもたらしている。
オムロン ヘルスケア株式会社(オムロン ヘルスケア)は、これらの社会的課題や事業的環境の変化をとらえ、「Going for ZERO ー予防医療で世界を健康にー」をビジョンに掲げ、世界中の一人ひとりが健康で健やかに生活できる社会の実現をめざしている。
見過ごされがちな「心房細動」を家庭で見つける
脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)の実現には、血圧管理だけでは限界がある。そこで、脳梗塞のリスク因子であり、高血圧と併存して発症しやすい心房細動に着目。心房細動とは、心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心臓の小部屋(心房)が痙攣したように細かく震え、血液をうまく送り出せなくなる病気である。心房細動は早期発見・早期治療により完治が可能な病気であり、その診断には発症時の心電図を記録することが必要である。しかし、心房細動は自覚症状が常に現れていない、または一定時間安静にしていることで治まってしまうこともあるため、見過ごされやすく人間ドックや健康診断では確認できないことも多い。一方で、心房細動患者の50~60%は高血圧であるというデータや、高血圧患者の10~20%は心房細動を有するというデータもある。
そこで、家庭で血圧を測定する際に、心電図も同時に記録できる心電計付き上腕式血圧計を開発。高血圧患者が家庭で血圧を測定する際に、一緒に心電図を記録することで、心電図の記録機会を増やし心房細動の早期発見につなげる。
心房細動がもたらすリスクを広め、
家庭での心電図記録を身近にする
心房細動は、早期発見・早期治療で脳血管疾患の発症リスクを低減できる。しかし、心房細動のリスクや家庭で心電図記録が取れるデバイスの存在、家庭心電図記録の重要性は、患者にも医療関係者にもまだ浸透していない。
そこで、日本では、デバイスを発売するだけでなく、記録した心電図を活用した早期発見、早期治療開始につながる取り組みを開始した。一般社団法人スマートヘルスケア協会とパートナーシップを結び、地域の調剤薬局やドラッグストアで、心電計付き上腕式血圧計とチェックシートを活用した「心電図による受診勧奨モデル」を展開。生活者の身近にあるドラッグストアに心電計付き上腕血圧計を設置し、希望者の心電図を記録。生活習慣や既往歴などのチェックシートおよび心電図記録、解析メッセージから心房細動の可能性を確認した場合は薬剤師が受診勧奨を行い、治療を促す。
日常生活の中で心房細動を早期に発見する機会を増やし、治療が必要な方々に早期の受診を促すことでイベント発症を未然に防ぐ取り組みである。

「家庭での心電記録文化」を創造する
高血圧患者が抱える心房細動という見えないリスクに気づき受診を促す心電計付き上腕血圧計と受診勧奨モデル。さらに、日頃から自覚症状を感じている人が脈の乱れや動悸などを感じたときの心電図を自分で記録することができる携帯型心電計も発売した。
今後、心房細動の疾病リスクや家庭心電図記録の重要性の啓発などの取り組みをグローバルに拡大し、「家庭での心電図記録」という新しい文化を創造し、ゼロイベントを実現していく。
地球上の一人ひとりの健やかな生活に貢献するために、オムロン ヘルスケアによるゼロイベント実現への挑戦は続く。
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プロジェクトストーリー

「家庭での心電図記録文化の創造」にチャレンジ
心原性脳梗塞の主因でありながら、自覚症状がなく見過ごされやすい「心房細動」。オムロン ヘルスケアは調剤薬局との連携のもと、新たな「心電図記録による受診勧奨モデル」の普及を通じ、心房細動の早期発見への貢献をめざす。